伝統的工芸品の材料、製造用具等の不足情報 Material & Production tool

経済産業大臣指定伝統的工芸品を製造するには、後継者不足のほか、原材料、製造用具、重要な補助用具が不足していたり、
近い将来不足が見込まれるものがあります。
ここでは、産地の作り手の声を紹介して、新たな提供先、調達先等をご紹介し、伝統的工芸品の安定的な製造を支援するものです。
いろいろな分野からの情報ご提供をお待ちしております。

工芸品名：美濃和紙

原材料
不足が見込まれるもの 楮白皮（主に茨城県産、高知県産）
指定要件または検査基準に関る部分 指定要件・検査基準に産地の記載はないが、国産の高級材料の生産量、特に栽培よりも加工する生産者の不足がある。
現在の調達方法と不足する理由 産地内の問屋もしくは業者から直接入手している。原産地の継続生産を支えてこなかった事や楮畑などで近年増え出した獣害による影響も見逃せなくなってきている。
代替え可能品 産地内で自主的に栽培する動きがあるが、加工の担当者を確保する面で課題がある。外国産の原料も流通しているが仕上りに影響する。
製造用具類
不足が見込まれるもの 簀編み用の絹糸
指定要件または検査基準に関る部分 竹簀を編む際に使用する特性の糸（指定要件・検査基準に定めはない）
現在の調達方法と不足する理由 国内生産者が2名しかいない。需要は多くないが、現在、全国の和紙生産者の供給に影響が出始めた。関連団体で代替えに生産してくれる方に依頼しているが、十分な品質、供給の管理ができない。
代替え可能品 一部ではナイロン製の糸を使用する例はあるが、主だった和紙生産者は、絹糸を必要としている。
製造用具類
不足が見込まれるもの 桁用の官材（檜）
指定要件または検査基準に関る部分 指定要件・検査基準に定めはないが、紙漉きに使用する木枠の材料は、近年入手が難しくなっている。
現在の調達方法と不足する理由 桁の生産者が自ら在庫を持ち、材料問屋から入手しているが、後継者が使用する十分な量を確保できない。長野県内の業者へ相談する準備をしている。
代替え可能品 代替えの可能な材料は、現在見当たらない。
製造用具類
不足が見込まれるもの 桁用の金具（鉄または銅製）
指定要件または検査基準に関る部分 指定要件にはない。
現在の調達方法と不足する理由 県内の生産者が亡くなり入手できなくなった。静岡県に銅製の生産者がいるが、依頼しても生産していない模様。新しい担い手か生産体制の確立が不可欠。
代替え可能品 近代の技術を使用すれば可能であろうが、少量の生産に応じてもらえるかどうかが課題。文化的要素が失われる懸念がある。

工芸品名：越後三条打刃物

原材料
不足が見込まれるもの 木炭（鍛冶炭（かじこ）と言われる雑木炭）
指定要件または検査基準に関る部分 指定要件・検査基準に定めはないが、鋼の焼き入れに重要な燃料
現在の調達方法と不足する理由 地元の炭焼きが、ほとんど廃業。
代替え可能品 一般炭。ただし、絶対量が不足気味であり、高価なことも問題。
原材料
不足が見込まれるもの 国産コークス
指定要件または検査基準に関る部分 指定要件・検査基準に定めはないが、加熱用として現在も標準的に使用している。国産の良質なコークスが不足している。
現在の調達方法と不足する理由 海外からの供給に委ねる。
代替え可能品 現行は、海外からの輸入品が一般的。
製造用具類
不足が見込まれるもの 包丁の柄類
指定要件または検査基準に関る部分 指定要件・検査基準に定めはないが、和包丁の柄は木製が標準
現在の調達方法と不足する理由 木工業者の不足。（一部廃業）
代替え可能品 他産地からの調達等

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