伝統的工芸品ニュース

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2018/11/12ニュース

グーグルが熱視線、現代の名工に 「電気を通す糸」開発

 厚生労働省が各分野で卓越した技能を持つ人を表彰する「現代の名工」に、今年は150人が選ばれた。東京都八王子市で織物工場を営む沢井伸さんは、IT大手の米グーグルも注目する織物職人。伝統の技を先端技術にも応用できる腕前が評価された。
 古くから織物の生産が続く八王子市で、創業約120年の歴史を誇る沢井織物工場は、先染めで色をつけた数種類の絹糸を使い、5種類の布を織り分ける「多摩織」を生産している。1980年に、国の伝統工芸品に指定された。
 バブル経済が崩壊した90年代、主力の着物が売れなくなった。「受け継がれた技術も、顧客の需要がなければ途絶える」と考え、主力商品を着物からマフラーなどのファッション小物に切り替えた。
 ほどなく、デザイン性の高さに有名ブランドが目をつけた。「時代を先取りする商品を」と難しい発注を受けたが、職人としての信条は「『できない』とは言わない」。苦労の末に生み出したマフラーはよく売れた。評判は業界に広まり、他のブランドからも依頼が殺到。有名ブランド10社以上のOEMを引き受けるようになった。
 評判は海外にも響き、2004年にはニューヨーク近代美術館が商品カタログの表紙に、同社製のマフラーの写真を採用した。
 そして、グーグルとつながりのある企画会社が、その技術の応用力に注目。14年冬に「電気を通す糸」の開発を要請された。髪の毛より細い銅線がすでに開発されており、課題はその銅線にどうやって強度を持たせるかだった。
 提案したのは、複数の糸を組み上げて強いひもにする「組みひも」の技術の応用だ。銅線の周りに何本もの化学繊維を組み合わせることで、銅線が切れにくくなった。この糸は、衣類の袖口にタッチパネルのような機能を持たせ、触るとスマートフォンを操作できる最先端の衣類に使われ、海外で市販されたという。
 「流行を追いかけると二番煎じになる。オリジナルのもので勝負したい」。この道50年。仕事への意欲に衰えはない。

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2018/11/9ニュース

ふるさと納税で伝統工芸後継育成

 伝統工芸の担い手不足が深刻な山形市は、後継者の育成などに必要な資金を「ふるさと納税」を活用して集めることになりました。
 山形市ではかつて鋳物作りなどの伝統工芸が盛んでしたが、現在、県内で活動している山形和傘の職人は1人になるなど深刻な後継者不足に陥っています。
 山形市は、伝統工芸の後継者を育成する事業者や、担い手となる人に対して助成や給付を行っていますが、さらに支援を充実させようと、「ふるさと納税」を活用して資金を集めることになりました。
 寄付をすると、金額の一部が住民税や所得税から控除されるのに加え、返礼品として鋳物の鉄瓶や和傘といった伝統工芸品などが山形市から贈られるということです。
 期間は9日から年末までのおよそ2か月間で、200万円を目標に一口1万円から寄付を受け付けます。
 伝統工芸の後継者の育成にふるさと納税を利用するのは全国でも珍しいということで、山形市の山形ブランド推進課は「伝統工芸を未来に引き継ぐのはもちろん、全国の人にも山形の伝統工芸を知ってもらいたい」と話しています。

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2018/11/6ニュース

「地域の宝」破損の恐れも…佐野常民の壁画移設、心配する住民 佐賀

 「佐賀の七賢人」の一人、佐野常民の功績を伝える有田焼の陶板壁画の行方に、佐野の出身地である佐賀市川副町早津江の人たちが気をもんでいる。壁画は地元の中川副公民館に設置されているが、老朽化で施設の移転新築が決定。壁画を損なうことなく新公民館に移設できるか、まだはっきりしていないからだ。
 現公民館は1971年に完成。公民館としてだけでなく、佐賀藩海軍の創設に尽力し、日本赤十字社の前身となる博愛社を創設した佐野の顕彰を目的とした記念館の役割も担っていた。
 館内でゆかりの史料を展示するほか、2種の巨大な陶板壁画で佐野の業績を紹介。「佐賀藩三重津海軍所俯瞰(ふかん)の図」(縦2メートル45センチ、横6メートル90センチ)は、佐野が責任者を務め、遺構が世界文化遺産となった三重津海軍所に国内初の実用蒸気船「凌風丸」などの船が集まり、人々が作業している様子を再現している。「西南之役における博愛社の救護所の図」(縦2メートル45センチ、横4メートル60センチ)は、西南戦争の際に博愛社が救護所を設け、負傷兵を分け隔てなく助ける様子を描いている。
 2004年、早津江に佐野常民記念館が新設された際、公民館にあった史料約100点は記念館に移されたが、陶板壁画は公民館に残った。現在は自由に見学でき、壁画目当てに多くの人が県内外から訪れるという。「『こんな素晴らしいものがある公民館はほかにはない』とみんな驚く。地域にとっての大切な財産だ」と、公民館の木原昇館長(75)は語る。
 市公民館支援課によると、新公民館は記念館そばに整備される予定。来年度に着工し、20年度までの完成を目指している。

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2018/10/30ニュース

<信楽焼>スタバにエプロン姿のタヌキの置物 滋賀・甲賀

 日本六古窯の一つ、信楽焼がある滋賀県甲賀市の「スターバックスコーヒー甲賀水口店」にエプロン姿でマグカップを手にした、名産のタヌキの置物が登場した。
 昨年、地元の伝統産業とのコラボ企画で信楽焼のマグカップを販売。店員から「せっかくならタヌキの置物も作りたい」との声が上がり、窯元と協力して制作された。
 店内にはマグカップから顔を出したり、車に乗ってコーヒーを飲んだりするタヌキも陳列。関係者は「タヌキがどこにいるのか、楽しんで探してみてほしい。店員に化けているかもしれませんよ」。

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2018/10/25ニュース

フランフランが京都・祇園に伝統工芸品の新業態

 フランフランは11月23日、伝統工芸品などを扱う新業態「マスターレシピ(MASTER RECIPE)」の国内1号店を京都・祇園にオープンする。店舗は花見小路通からすぐで町家風のファサードが特徴だ。総面積は約112平方メートル。
 「マスターレシピ」は2017年に「フランフラン(FRANCFRANC)」のプロダクトラインとしてスタート。素材や人、技法、歴史、産地に着目し、国内26地域と世界20カ国から取り寄せた現代の暮らしに調和するクラフトを展開する。同年9月15日には香港にコンセプトショップをオープンした。
 ブランドPRによると「伝統や素材などを重視するブランドポリシーに相応しい地であると考え、京都に1号店をオープンするに至った。これまでは『フランフラン』の店内のみで販売してきたが、今後はプロダクト数を増やし女性を中心に新ブランドとして訴求していきたい」と語った。

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2018/10/22ニュース

映画「ハルカの陶」クランクイン 岡山・備前焼まつり会場で撮影

 備前焼を題材にした映画「ハルカの陶(すえ)」の撮影が21日、備前市伊部地区などで開かれた「第36回備前焼まつり」の会場で始まった。同市内の備前焼工房や登り窯などで11月2日までロケを行い、2019年秋の公開を目指す。
 原作の同名漫画は、主人公の小山はるかが訪れた陶芸展で備前焼作家・若竹修の大皿に一目ぼれし、作家を志す物語。製作は映像製作会社・ニューマーク(さぬき市)や山陽新聞社などでつくる「備前焼映画製作委員会」が手掛ける。
 撮影は午前8時、観光客らでにぎわう備前焼まつりのシーンでスタートした。岡山県の伊原木隆太知事がオープニングセレモニーであいさつしたり、来場者に交じって特産品を買い求めたりする場面を収録。漫画のモデルとなった登り窯でのロケも行った。
 この日、撮影現場で取材に応じた末次成人監督は「備前焼の魅力と岡山らしさが伝わる作品にしたい」と抱負を語った。はるか役の女優奈緒さん、修役の俳優平山浩行さんらメインキャストは22日に撮影入りする。
 映画製作を後押しする備前市がインターネットで寄付を募るクラウドファンディング型ふるさと納税を1日から始めており、12月末まで仲介サイト「ふるさとチョイス」で受け付けている。

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2018/10/15ニュース

信楽焼タヌキはコーヒー好き? 滋賀・甲賀のスタバ

 滋賀県甲賀市水口町水口のコーヒー店「スターバックス甲賀水口店」でコーヒーカップを手にした信楽焼のタヌキ像が設置され、このほど披露された。
 スターバックスコーヒージャパンは、各地の地場産業と連携して作ったオリジナルカップの販売を全国で進めており、水口店では昨年10月から信楽焼のカップを扱っている。今回、甲賀らしさをさらにPRしたいと、タヌキのオブジェ設置を決めた。アルバイトを含む店員らで話し合ってデザインスケッチを描き、窯元「陶器屋」(信楽町)に制作を頼んだ。
 入り口ドア横に置かれたタヌキ像は高さ1メートルで、店員と同じ緑色のエプロンをまとい、「卯山製陶」で作られた大型マグカップを両手に一つずつ持つ。ほかに、ドライブスルーの商品受け渡し窓口にも車に乗ったタヌキ像を置いた。沖縄県にシーサー像を置く店はあるが、オリジナルの像を作って設置するのは全国で唯一という。
 上原透店長は「地元の人が愛着を持つきっかけになればうれしい」と話す。

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2018/10/15ニュース

金沢和傘に北前船 日本遺産を記念、小松・北村さん描く

「北前船寄港地・船主集落」の日本遺産認定を記念し、千日町の松田和傘店は14日、北前船を描いた金沢和傘7本を小将町の県指定名勝・西田家庭園「玉泉園」でお披露目した。
 3代目の松田重樹さんが、全国北前船研究会員で北前船を題材にした作品も手掛ける小松市の九谷焼作家北村隆さんに絵付けを依頼した。
 職人の手による戦前の和紙を使い、松田さんが海をイメージした青の金沢和傘を仕上げ、北村さんは雲母を混ぜた金や銀で、北前船の勇姿や、桜、鶴などを7本それぞれに描いた。
 玉泉園では、加賀友禅大使ら8人が北前船の金沢和傘を手にポーズを取り、魅力を紹介した。来年の百万石行列でも大使が北前船の和傘を手に参加を予定するなど、北前船文化を発信する。

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2018/10/5ニュース

堺刃物、欧州市場切り開け パリ見本市へ6社

 切れ味に定評があり、料理人が使う包丁の多くを占めると言われる堺刃物を取り扱う事業者らが、本格的なヨーロッパ進出を目指している。これまでは主にアメリカでPRしてきたが、パリで21日から開かれる世界最大級の国際食品見本市に6社が出展。世界から、よりすぐりの食材が集まる「食の都」で高い品質を披露し、ヨーロッパ市場に販路を広げる。
 堺刃物は安土桃山時代にタバコの葉を刻む包丁から発展したとされ、鉄をたたいて作る。硬い刃金はがねと比較的軟らかい地金じがねを重ねた構造で、地金の研ぎやすさを生かした鋭利さが特徴だ。
 堺刃物商工業協同組合連合会に加盟する事業者だけで約70社あり、食材の味を最大限引き出せるとして、国内の一流レストランのシェフらが愛用している。
 見本市に打って出るのは、堺市産業振興センターが事務局を務める「堺食産品海外セールス実行委員会」。国内市場が飽和状態の中、海外に活路を見いだそうと2011年に設立され、昨年度まで米ニューヨークやロサンゼルス、サンフランシスコ、シンガポールでの見本市に出展を続け、堺刃物をPRして事業者の商談の場を提供。アメリカについては一定の成果が上がったとして、パリに照準を定めた。
 この秋、出展するのは前回、15万人以上が来場したという見本市「SIALシアル Parisパリ2018」。堺刃物を扱う6社は25日まで製品を並べ、ヨーロッパ各地から集う商社や食品メーカー、ホテルの関係者らと商談を行う。
 会場では、堺打刃物伝統工芸士の味岡知行さんが包丁の研ぎ方を実演。フランス在住のシェフが料理作りを披露して、入場者に包丁の切れ味を確かめてもらう。期間中、パリのレストランなどでは現地のシェフに堺刃物についての講義や研ぎ方の研修も行う予定。
 堺市産業振興センターの担当者は「まずは堺刃物の良さを知ってもらい、多くのフランス人に使ってもらいたい」と期待し、出展する「福井」社長の福井隆一郎さんは「高い品質から、どこに出しても大丈夫という自負がある。今回の見本市を機に、堺刃物の魅力を世界中にアピールしていきたい」と話している。

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2018/10/4ニュース

「阿波藍ルーム」が完成 ルネッサンスリゾートナルト

 徳島県鳴門市鳴門町のホテル・ルネッサンスリゾートナルトは、2020年東京五輪・パラリンピックのエンブレムなどで「ジャパンブルー」が注目を集めているのを受け、県内の藍染師らが監修した「阿波藍ルーム」2室(和室)をオープンさせた。
 502号室(62平方メートル)は、「鳴門の渦潮 波・青海波(せいがいは)」をテーマに藍住町の矢野藍秀さんが手掛けた。床の間に「天然灰汁(あく)発酵建て」と呼ばれる伝統技法で染められた「鳴門渦潮」(縦1メートル、横1・45メートル)が飾られ、座布団カバーやふすまも藍染製品で統一。壁の一部にはカエデの皮を藍染した建材を市松模様に貼り合わせ、角度によって色の濃淡が変わる仕上がりになっている。
 602号室(62平方メートル)は、徳島市の近藤美佐子さんが「阿波踊り」をテーマに、藍染の額装やテーブルセンターを配置。ふすまや障子などは吉野川市の阿波和紙製造会社などが担当した。
 このほか、鳴門市のふたあい政則はらださん、徳島市の古庄紀治さんが手掛ける2室は10月中旬に完成する。

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