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TRADITIONAL CRAFTS

長岡仏壇Nagaoka Household Buddhist Altars

長岡仏壇は17世紀頃、長岡市を中心とした地域に寺院、社殿等を建てるために全国各地から集まった宮大工、仏師、彫刻師、塗師(ぬし)等が冬の間に内職として、仏壇製造を手がけたことがその始まりと伝えられています。19世紀前半には、仏壇は地場産業として成り立つようになりました。
これは長岡藩が行った浄土真宗を保護する政策の結果、それぞれの家で位牌をまつる習慣が定着し、仏壇を求める人が増え、仏壇が広まっていったためです。

During the 17th century, a number of temples and shrines were built in and around the city of Nagaoka. It seems that the specialist carpenters, sculptors of Buddhist images, sculptors of other carved elements and lacquerers who had come into the area from all over the country because of this building work, started making household Buddhist altars during the winter months.
Then, during the first half of the 19th century, a production center became established in the area. This had a lot to do with the fact that the Nagaoka clan gave its official patronage to the Jodo Shinshu. As a result, the demand for household altars increased as the worship of Buddhist mortuary tablets took hold, and homes throughout the fief were furnished with them.

Because the upper cabinet and lower stand of the Nagaoka Butsudan can be separated, it is possible to re-apply surface coatings of lacquer periodically, over say 30 to one hundred years. The ""trinity style"" of roofs of the kuden or inner part of the altar is a noteworthy feature. Traditional in style, there is a combination of Chinese style gable and a more conventional gable with a rising profile above further Chinese style gables to either side.

  • 告示

    技術・技法


    「木地」の構造は、「ほぞ組み」による組立式であること。


    なげしは、「弓型なげし」又は「わらび型なげし」とすること。


    宮殿造りは、「板組み」によること。


    塗装は、精製漆の手塗りとし、「木目出し塗り」にあっては、「ろいろ仕上げ」をすること。


    蒔絵及び金箔押しをすること。

    原材料


    木地は、ヒメコマツ、ヒバ、ケヤキ、ホオ、イチイ若しくはヒノキ又はこれらと同等の材質を有する用材とすること。


    金具は、銅若しくは銅合金又はこれらと同等の材質を有する金属製とすること。


    漆は、天然漆とすること。

  • 作業風景

    製造工程は木地づくりにはじまって最後の組立てまで大きく分けて6つの工程に分かれます。もちろん、それぞれの工程がさらに複雑な工程を重ねているのは言うまでもありません。

    工程1: 木地

    木地には姫小松、ホウ、ケヤキ、ヒノキ、ヒバ、イチイを使用します。まず、原木を板目の木目を生かして製材します。その後乾燥させ、長い一本の棒「尺定(しゃくじょう)」を使って寸法取りし切断していきます。この尺定に記されている何種類もの数字や文字を基準に木地職人は寸法を測っていくのです。こうして寸法通りに切られた材をカンナやノミなどで加工していき、最終的にはホゾ組みにして仕上げます。同時に宮殿(くうでん)づくりが行われます。

    工程2: 彫刻

    彫刻では立体感を出すために圧板を表裏から透かして彫る「丸彫り」や、薄手の板を1枚ずつ彫って重ね上げる「重ね彫り」、薄板に厚材に見えるように彫る「平彫り」と技法を使い分けています。丸彫りは板材も厚さ3センチ以上のものを用い、図柄の遠近を考えた彫りが施されています。

    工程3: 金具

    銅板および真ちゅう板による打ち出し作業などを行い、着色して製作します。

    工程4:

    木地の工程でホゾ組みされた仏壇を分解し漆を塗ります。これを湿度で乾燥し、表面を研いでさらに漆を上塗りしていきます。これら一連の作業を最低3ヶ月繰り返します。
    塗の場合は、木目を鮮やかに出す「木目出し塗り」、つやを抑えた「呂色(ろいろ)塗り」、金や銀、すずの梨子地粉をまいて仕上げる「梨子地塗り」、あわび貝のかけらをちりばめる「青貝塗り」、砂をまぶしてザラついた表面に仕上げる「砂粉塗り」などの種類があります。漆本来の深い光沢を生かしているうえ、変り塗りの活用によって豪華さと気品を生み出しています。

    工程5: 蒔絵

    花や鳥、および人物などが手製で描かれていきます。技法としては「平蒔絵」や「漆盛蒔絵」があり、特に何度も漆を塗って絵柄の部分を盛り上げる「漆盛蒔絵」は立体感を作るだけでなく、より荘厳な雰囲気を演出するのに効果的な技法です。

    工程6: 金箔押し

    漆塗りが仕上がったものに純金箔をはっていきます。一枚ずつ丁寧に作業が行われます。金箔押しには「艶出し押し」「艶消し押し」「金粉蒔」とあり、その使い分けにより適度な華やかさと気品のある高級感を作り出しています。

     

  • クローズアップ

    悠久の歴史に培われた技の結集 長岡仏壇

    越後の粘り強い職人気質が研鑚を積み重ねてきた長岡仏壇。その独特の宮殿(くうでん)は荘厳華麗なたたずまいを見せる。そして長年培われた伝統的技法を守り続ける長岡仏壇は今、新たな風を生み出している。

     

    三ツ屋根の宮殿が長岡仏壇の特徴

    長岡仏壇は今から約150年以前、長岡市を中心とした地域で、寺院や社殿などの建立に全国各地から集まった宮大工、仏師、彫刻師、塗師などが冬期間に内職という形で仏壇製造を手がけたものがその起源とされている。
    仏壇の最初の工程である木地づくりをはじめて54年の丸山さんは、「ここの仏壇の特徴は、仏壇の内部にある宮殿の形が三ツ屋根であることと、原材料にケヤキを多く使用しているところです」と話す。一般的に東本願寺型の仏壇は宮殿が二ツ屋根、西本願寺型は屋根が一ツ屋根であるのだが、長岡仏壇には両者の折衷という形で三ツ屋根の宮殿が使われている。

    長岡仏壇の特徴である「三ツ屋根型宮殿」。この華麗さの中に職人の魂がこめられている。

    肝心なのは木を見極める目

    ケヤキの木目をいかにきれいに見せるかが職人の腕の見せどころ、と丸山さんは言う。木目が細いほど美しく、玉目という丸い模様があるほどよいケヤキであるそうだ。「材料を見る目というのが木地づくりをする上で一番重要な部分ですね。つまり、時が経つにつれて狂う木なのかどうかを見極めなければなりません。そこが仏壇づくりのはじまりでもあります。あとはただ無心で仕事に向かうのみ。仕事の質は絶対に落としません」

    仏壇の命「塗り」

    仏壇が出来上がるまでには大変な手間がかかる。本体と宮殿を製作する「木地づくり」、人物や鳥などを彫刻する「彫り」の後に行うのが、天然漆による「塗り」の工程だ。もともと長岡地方では高温多湿な気候が漆の乾燥に適していたなど、仏壇づくりの基盤となる条件が揃っていた。今回は滝沢潤一さん、川上信次さん、廣川勝彦さん、以上3名の塗り職人の方々にお話を聞いた。「仏壇は塗りが命です。塗りが悪ければ、金箔を貼った時に表面がでこぼこになってしまいます」と語るのは新潟県小千谷市の塗り職人、滝沢さんだ。そして、川上さんは「漆というものは季節によっても、その日の気候によっても調合が異なります。その調合は長年のうちに培われた勘が頼りとなってきます」と話す。漆は70%前後の湿度で乾燥する。漆を塗り、乾燥させて表面を研ぎ、そしてまた塗る、これら一連の工程を続けていき、塗りの工程が終わるのはだいたい半年、早くて3カ月程だという。こうして丹念に仕上げた仏壇は塩分にも湿気にも強く、格調高いたたずまいを見るものに感じさせる。「鏡のような塗りを目指しています」とは、廣川さんの言葉だ。それぞれの工程で、根をつめた職人の丁寧な手仕事を経て、あの荘厳華麗な風格が生み出されるのだ。

    長岡仏壇を手がける職人の皆さん。左から廣川勝彦、栗原英一、滝沢潤一、丸山良一、川上信次(敬称略)

    時代に合わせた仏壇への挑戦

    長岡地域仏壇協同組合では新しいデザインの仏壇づくりにも意欲的である。中でも現代の生活様式を考慮して、仏間のない家庭でも家具と一緒に並べて置くことができる家具調仏壇は、全国的なコンクールで受賞するなど輝かしい功績を得ている。「わたしたちは昔ながらの仏壇の作り方しか知らないので、製作途中は果たして売れるのだろうかと不安でした」と語るのは同組合の理事長である栗原英一さん。栗原さん自身も長岡仏壇の木地づくりと彫りの職人だ。この仏壇は、組合の青年部10人ほどが、それぞれの工程を分担。デザインは共同で考案し、1年がかりで仕上げたそうだ。「新しいものを共同製作で作り上げていくことは、それぞれの職人の意見をまとめていくなど、とても難しいものでした。新しいデザインだからといっても、もともとある伝統的な手法が細部まで活かされています。当初は一般の関心が低かったのですが、年々店頭に並ぶ数は増えていっています」と栗原さんは話す。海外からの安い仏壇が氾濫する中で、長岡仏壇は手づくりの伝統を守りながら常に新しいものへの挑戦を続けている。

    職人プロフィール

    丸山良平

    仕事はじめは15歳。ノコ・カンナ・ノミといった道具を自在に使う。中でもカンナは50種類以上「全部数えたこともない」とか。

    こぼれ話

    現代に調和する、新デザイン仏壇の提案

    現代では、住環境も以前とは大きく変化しています。マンション居住者の増加、家屋の小型化などの従来の仏壇とは異なった型の需要が増えています。
    そんな中、長岡仏壇では現代生活にも調和する、小型で新感覚なデザインでありながら、伝統的工芸品としての美しさと品質の良さを兼ね備えた新しい仏壇を提案しています。
    現代的なフォルムの中にも職人達の豊かな経験と高度な技術、そして何よりも「より良いものをつくりたい」という熱い情熱が込められています。
    平成11年に開かれた全国伝統的工芸品仏壇仏具展のコンクールでは、この新しいデザインの仏壇が「こぢんまりとしながらも、奥ゆかしさがある」と講評され、新デザイン部門第1位に選ばれました。こうした輝かしい受賞は、長岡仏壇の新しい風が時代に受け入れられてきている証であると言えるでしょう。

    • 扉を閉じれば、違和感なく他のインテリアと並べられるデザイン

    • 椅子に座ったとき、ちょうど本尊が目の高さとなる設計

     

概要

工芸品名 長岡仏壇
よみがな ながおかぶつだん
工芸品の分類 仏壇・仏具
主な製品 金仏壇
主要製造地域 新潟県/長岡市、小千谷市、十日町市
指定年月日 昭和55年10月16日

連絡先

■産地組合

長岡地域仏壇協同組合
〒940-2035
新潟県長岡市関原町5-5
有限会社廣川仏壇店内
TEL:0258-46-2210
FAX:0258-46-2210

■関連展示場・施設

特徴

長岡仏壇は台座と主体が分かれる組立方式のため、30年から100年経っても塗り変えて再生できます。特徴的な所は、宮殿(くうでん)の三ツ屋根作りです。「唐破風(からはふ)」と「千鳥破風(ちどりはふ)」を組み合わせた二重屋根の両側に「唐破風」の脇屋根のついた伝統的なものです。

Nagaoka butsudan is built with a base and Kuden which can be separated, which allows them to be reborn with fresh lacquering even after 30 or 100 years. A key feature is their Kuden palace having a unique design using three roofs. The roofs are arranged in a traditional design with a large central Chidorihafu pointed roof with Karahafu cusped gables, and a smaller gently curving Karahafu cusped gable roof on each side of the central roof.

作り方

仏壇の製作工程は木地、彫刻、金具、漆塗りや金箔押し等の塗装、蒔絵、の5部門からなります。それぞれが高度な技術を持った独立した職人によって作られています。

The construction of a household Buddhist altar is divided into five major stages: assembling the wooden base, carving the wooden sculptured decorations, making the gold finishings, lacquering, applying gold dust and leaf, and painting the Maki-e gold lacquer paintings. Each stage of the process is handled by a separate independent master craftsmen unique to the long years of experience and demanding techniques required.

産地からの声

仏壇は仏間に入れ、手入れをするときは、毛払いで軽くゴミをはらい、布等で強くこすらないように心掛けて下さい。