匠を訪ねて
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あらゆる可能性を試す、三条仏壇の蒔絵師

三条仏壇 : 春日美雪

2017年3月31日 青山スクエアで制作実演中の春日美雪さんを訪ねました。

三条仏壇:春日美雪

三条仏壇は新潟県三条市の伝統的工芸品。「仏都三条」と呼ばれるほど、有名な寺院などが建立されている土地柄でもあります。三条仏壇としての始まりは、江戸時代に造られた東本願寺別院造営に携わった職人とも言われており、現在も、その技術を受け継いで作り続けています。

昔から縁があった三条仏壇

兄に誘われて

昔から絵を描くことが好きだった春日さん。進路について考えていた頃、兄(この時すでに、三条仏壇の木地師として活躍中)に、蒔絵をする人が少ないから、興味があったらやってみないかと言われ、三条仏壇の蒔絵師としての道を歩み始めたそうです。

両親は作り手ではありませんでしたが、仏壇屋の友人が両親にいたため違和感なくその道を選んだのかもしれません。

三条・燕・西蒲仏壇組合での活動

三条・燕・西蒲仏壇組合は昭和53年にでき、昭和55年に国から伝統的工芸品としての指定を受けました。春日さんはその中で、組合の立ち上げから関わっていた一人だと言います。

途中、結婚をしたのもあって、組合を抜けたこともありましたが、再び復帰して、今では主要メンバーとして活動を行っているそうです。

三条ものづくり学校

土曜日は講師として

春日さんは現在、物作りだけではなく講師としても活躍をしています。

同じ三条仏壇の塗箔をしている山田さんと一緒に「三条ものづくり学校」で、伝統的工芸品【三条仏壇】製作体験工房を開いているのです。

三条ものづくり学校では、三条仏壇の他に鎚起銅器や活版印刷体験、彫金体験、工場蚤の市などが行われており、「はたらく」「まなぶ」「あそぶ」で体感できるようになっています。

春日さんは土曜日のみの講師ですが、ここでの体験はとても楽しいとお話をしていました。

これまで思いつかなかった発想や刺激を強く受けるので、春日さんの物作りの幅も広がるそうです。

春日さんの蒔絵師スタイル

春日さんがこの世界に入ったばかりの頃は仏壇への蒔絵がほとんどで、伝統的な図柄の鳳凰や七福神、山水などを丁寧に描いていました。ですが、師匠にもっと自由に描いた方がいいよと言われてから、自己流の表現の仕方を始めたと言います。

春日さんが蒔絵師になってから何十年か経った時、知人から仏壇以外のものへの蒔絵を頼まれ、描いてみることに。他のものに描くという発想がなかったため、それはとても新鮮で楽しかったそうです。

今ではもっといろいろな可能性を感じており、棗(なつめ)などの茶道具にも描いてみたいとおっしゃっていました。

様々な蒔絵

こだわりのスプーン

ステンレス材に蒔絵を施すのは初めてだったので、すぐに取れてしまうのではないかと不安だったそうですが、使ってみると問題はなく、商品化した作品。

ダイス型のピアス

今回の展示のために新しく作った商品。とてもキュートです。

新しい試みの蒔絵

この半円には小さな穴が開いており、紐やチェーンを通すとネックレスになります。何かできないかと模索しながら作った商品。

この先の三条仏壇

最後に、三条仏壇の後継者について聞いてみたところ、蒔絵師はまだ若い世代の人たちがいるそうです。ですが、木地師と金具師が危機的状況に立たされています。同じ新潟県の他の産地でも、やはり蒔絵や塗師は後継者がいても、木地師になろうとする若者がいない状態の様で、今後どうしていくかを考えているとおっしゃっていました。

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今回お話をしていただいたのは現在匠コーナーにて行われている「次の一歩へ!三条仏壇展」に出展をしている蒔絵師の春日さん。春日さんは4月2日まで青山スクエアで実演をしてくださっています。

その後、4月3日~5日までは金具師の五十嵐考宏の実演も見ることができますので、ぜひ青山スクエアにお越しください。