技術・技法
1 綴にあっては、次の技術又は技法により製織されたつづれ織物とすること。
(1)先染めの平織りとすること。
(2)よこ糸(模様部分を除く。)は、「手投杼」を用いて筬に対し斜めに打ち込み、筬打ちをすること。
(3)模様の有るものにあっては、模様部分のよこ糸は、「小杼」を用いて筬に対し斜めに打ち込みをした後、爪先又は「筋立」を用いて筬に対し平行に掻き寄せること。
2 錦にあっては、次のいずれかによること。
(1)経錦にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。
イ 「ジャカード機」を用いる先染めの平織り又は綾織りとすること。
ロ たて糸は、3色以上とし、3本以上の男巻から引き出し一群とした後、手作業により筬羽一羽ごとに引き込むこと。
ハ よこ糸は、「かげぬき」と「地よこ糸」とを交互に打ち込むこと。この場合において、よこ糸の密度は、1センチメートル間40本以上とすること。
ニ 紋は、たて糸で表わすこと。
(2)緯錦にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。
イ 「ジャカード機」を用いる先染め又は先練りの綾織り又は平織りの変化織りとすること。
ロ 製織には、「手投杼」、「引杼」若しくは「八丁以上の杼」、6枚以上の「伏せ綜絖」又は「引箔装置」を用いること。
ハ 紋は、よこ糸で表わすこと。この場合において、八丁以上の杼を用いて製織するものは、「縫取り紋」をすること。
3 緞子にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。
(1)「ジャカード機」を用いる先染め又は先練りの朱子織りとすること。
(2)製織には、「手投杼」、「引杼」若しくは「八丁以上の杼」、10枚以上の「伏せ綜絖」又は「引箔装置」を用いること。
(3)紋は、「地上げ紋」及び「縫取り紋」とすること。
4 朱珍にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。
(1)「ジャカード機」を用いる先染めの朱子織りとすること。
(2) 製織には、「手投杼」、「引杼」若しくは「八丁以上の杼」、6枚以上の「伏せ綜絖」、又は「引箔装置」を用いること。
(3) 紋は、よこ糸で表すこと。この場合において、「八丁以上の杼」を用いて製織するものは、「縫取り紋」をすること。
5 紹巴にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。
(1)「ジャカード機」を用いる先染めの綾織り、朱子織り又は平織りの変化織りとすること。
(2) 製織には、「手投杼」、「引杼」又は「両松葉杼」を用いること。
(3) 紋は、「地上げ紋」とすること。
6 風通にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。
(1)「ジャカード機」を用いる先染め又は先練りの二重織りとすること。
(2) 製織は、織物の表裏が転換するように2色以上のたて糸及び2色以上のよこ糸を用いて経緯二重織りをすること。
(3)「縫取り紋」をすること。
(4) たて糸の密度は1センチメートル間120本以上とし、よこ糸の密度は1センチメートル間40本以上とすること。
7 綟り織にあっては、次の技術又は技法により製織された搦み織物とすること。
(1)「ジャカード機」を用いる搦み織りとすること。
(2) 製織には、「手投杼」若しくは「引杼」、「紋振い」又は「変り筬」を用いること。
8 ビロードにあっては、次の技術又は技法により製織されたパイル織物とすること。
(1)先染め又は先練りのたてパイル織りとすること。
(2) パイルは、「パイル用針金」を手作業により筬に対し平行にさし入れて形成すること。
9 本しぼ織にあっては、次の技術又は技法により製織されたしぼ出し織物とすること。
(1)先染め又は先練りの平織り又は二重織りとすること。
(2)お召糸に使用する糸は、下よりをした後、米のりその他の植物性糊料を手作業によりもみ込むこと。
(3)お召糸のねん糸には、八丁式ねん糸機を用いること。
(4)しぼ出しは、「湯もみ」によること。
(5)たて糸の密度は、1センチメートル間100本以上とすること。
10 絣織にあっては、次の技術又は技法により製織されたかすり織物とすること。
(1)先染めの平織り又は朱子織りとすること。
(2)かすり糸は、たて糸又はたて糸及びよこ糸に使用すること。
(3)たてがすりにあっては、男巻から送り出されるかすり糸のかすり模様を手作業により柄合わせし、かすり模様を織り出すこと。
(4)たてよこがすりにあっては、たて糸のかすりとよこ糸のかすりとを手作業により柄合わせし、かすり模様を織り出すこと。
(5)かすり糸の染色法は、「手くくり」、「手摺り込み」又は「板締め」によること。
11 紬にあっては、次の技術又は技法により製織された無地織物、紋織物又はしま織物若しくはこれに類する織物とすること。
(1)先染めの平織りとすること。
(2)よこ糸の打ち込みには、「手投杼」又は「引杼」を用いること。
(3)たて糸に使用する糸は生糸又は真綿のつむぎ糸とし、よこ糸に使用する糸は玉糸又は真綿のつむぎ糸とすること。