2019/9/3(火)

西陣織の細尾が初の旗艦店 世界へのアピール拠点に

西陣織の老舗である細尾(京都、細尾真生社長)は、自社オリジナルブランド「ホソオ(HOSOO)」初の旗艦店を本社ビル1、2階に9月2日オープンした。国内外から高い評価を得るテキスタイルコレクションと、家具やインテリア小物がそろう初のホームコレクションを展開。職人が作る伝統工芸の器に触れながら日本茶やオリジナルのスイーツを味わえるラウンジスペースと、日本の染織文化にまつわる展示を行うギャラリースペースも併設する。

同社は2006年から欧米の展示会に出展し、これまでは「ディオール(DIOR)」や「エルメス(HERMES)」などラグジュアリーブランドの店舗や、フォーシーズンズ(FOUR SEASONS)など高級ホテルの内装材のテキスタイルを提供してきた。ブランドの認知度が高まるにつれ、一般からの問い合わせも増えてきたことから、消費者向けのホームコレクション事業を本格スタート。旗艦店では、西陣織の技術から生まれたテキスタイルを贅沢に用いたソファや椅子、クッション、ルームシューズ、ポーチなどを販売する。価格はクッション3万3000円、ポーチ2万1000円、ラウンジチェア59万円など。店内のテキスタイルセラーコーナーには、オーダーカーテンや壁紙、ソファ用のコレクション約100点を展示する。

 細尾の12代目であり、グローバル戦略を担ってきた細尾真孝常務取締役は、日本のモノ作りの発信基地にしたいと話す。「当社は1688年から西陣の織屋として家業を営んできたが、もう一方では曽祖父の代から始めたきものと帯の問屋業という顔があり、国内の染織作家の作品を紹介してきた。また、2012年からは京都の伝統工芸を担う若手後継者によるプロジェクト『GO ON』にも取り組んでいる。西陣織をはじめとする日本の染織文化のみならず、伝統工芸を世界に向けて発信する拠点として位置付けている」。

 旗艦店の入る本社ビルは全面改装され、伝統的な左官技術など職人技が随所に感じられる建物になった。ファサードに使われている4色の土壁は、飛鳥時代から伝わる「版築」という技術を生かし、京都近郊の4つの地域の土を積層したもの。黒漆喰の外壁面には、本金箔を使った直線ラインが施されている。「版築塀や黒漆喰壁などで内部空間は閉じられているが、塀間の視界の抜けと、外壁を走る金箔目地の流れが街ゆく人を建物の中にいざなうような設計になっている」(建築設計担当の細尾直久氏)。

5階には、横浜のメーカーと共同開発した世界初の西陣織外壁材「NISHIJIN refleced」を使用。防水性、不燃性を特徴とした素材で、夜になると明るく光る。「ミニマリスティックでモダンだが、使用している素材は圧倒的に伝統的なもの。今の時代にしかできないグローバルな価値観を持った新しい解釈の伝統工芸とは何なのかをここで問うていきたい」(真孝常務)という。

 ギャラリーでは、織物をメディアとして日本の歴史、文化、未来について発信する展覧会を年間2〜3回不定期で行う。こけら落としとして12月14日まで「THE STORY OF JAPANESE TEXTILES−日本の美しい布−」を開催。真孝氏が国内33カ所の染織産地を訪ね歩き、集めた布や道具などの貴重な資料と記録写真などを展示する。

 「海外からの目を通して自分たちのポテンシャルに気付かされたが、その気づきを日本人にも紹介し、同時に伝統工芸品を買っていただくことで職人に還元していきたい。これまで受け継いできた染織文化を100年、200年後まで絶やさずつなげていくチャレンジでもある」と、真孝常務は熱く語る。

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