2019/10/10(木)

それぞれの夢を後押ししする京都伝統工芸大、次世代の育み方

京手描き友禅を学ぶ伊藤さん
木彫刻専攻3年生の望月つかささん(21)は、高校3年生までは医療分野への進学を考えていたが、「木地に色を施す彩色の存在を知り『これだ』とひらめきました」。 卒業制作へ向け、黙々と手先を動かすのは仏像彫刻専攻の4年生、飯村友紀さん(21)。東京出身で、仏像とは縁もゆかりもない生活を送っていたが、偶然、町で見かけた仏像の制作風景に衝撃を受け、この道を志したという。
立体物に興味があったと語る仏像彫刻専攻4年生の飯村さん
金属工芸専攻3年生、須藤智恵さん(20)は美大の付属高校で金属工芸に出会い、「美術的なオブジェよりも、日常遣いできる工芸品に魅力を感じ、この世界にのめり込みました」と語る。伝統とコンテンポラリーな要素を融合した作品づくりを目指している。

「本当にやりたかったこと」探して

社会人を経験しながらも、「本当にやりたかったこと」を追求する人もいる。蒔絵専攻の4年生、太田知良さん(44)は、20年あまりデザイン関係の仕事に携わっていたが、華やかでありながらも華美でない繊細な蒔絵の技法に魅せられ、この道を志している。9月中旬にフランス留学から帰国したばかりの新村真規人さん(35)も社会人経験者。塾講師などを経て、陶芸家の道を志す。 そんな新村さんが指導を仰ぐ工藤良健教授はこう語る。「陶芸の技術は形を作るろくろ成形と、これを加飾する絵付けの技術に分かれますが、分業化されているのが一般的でした。しかし、これからの時代、一人ですべてできる方が可能性は広がります」。実際、教室では、一人一台の電動ろくろや絵付け台、さらには計6基の電気窯が装備され、総合的な陶芸の技を習得することができる。 学生の多くは、言うまでもなく、「幼い頃からものづくりが好き」と自認する。前出の新村さんとともにフランス留学していた竹工芸専攻2年生の田中南帆さん(20)は、往復の飛行機内でも竹を編み続けていたと言うほど、「繊細な作業を根詰めるのが好き」。
左から須藤智恵さん、望月つかささん、新村真規人さん、田中南帆さん
そんな学生が、それぞれの分野の基礎から応用まで体系的に学び、社会に踏み出す第一歩は、全国の産地の工房や窯元、あるいは企業への就職が中心。その後、スキルを磨いて独立し作家やアーティスト、デザイナーとして活躍するケースもある。一方で学生たちが、危惧するのは「産地での就職先が少なくなっている」実情だ。安価な海外生産品の流入や、原材料の調達が困難になるなど構造的な問題が背景にある。 次代を担う人材が、これまでの枠にとらわれない多様な活躍スタイルを示すことが、伝統工芸産業の活性化につながり、ひいてはこの世界を目指す人材がさらに増える好循環をもたらすだろう。
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