2019/10/18(金)

黒壁スクエア(滋賀県長浜市)歴史とアートが融合する街 ガラス工芸文化のハブ

 国内外から集めたガラス工芸を基軸にした街並みが美しい「黒壁スクエア」。琵琶湖の北、滋賀県長浜市にあり、豊臣秀吉や石田三成、浅井長政ら戦国武将ゆかりの地は平成に入り、新しいまちづくりのコンセプトを採用して飛躍を遂げた。市街地の一画には、伝統的建造物をキャンバスにガラス館やギャラリー、工房が入居し、各地から観光客を引き寄せている。歴史とアートが融合する湖岸の街を訪ねた。

大阪市内からJR新快速で1時間半余り。長浜駅を降りると、西側の湖畔には秀吉が初めて城持ち大名となった長浜城、東側には和風建築物群を基調とした美しい街並みが碁盤の目状に広がる。

 

◇黒壁銀行が由来

「黒壁」の名は、1900年建築の旧第百三十国立銀行長浜支店が「黒壁銀行」と呼ばれたことに由来する。黒漆喰(しっくい)の堂々たる洋館は当時の装いもそのまま「黒壁ガラス館」へと模様替えし、食器や花器、アクセサリーをはじめ、欧州を中心とする世界の工芸品を出展。「ガラス工芸文化のハブの役割を果たしたい」と話すのは、まちを運営する「株式会社黒壁」広報・デザイン課長の田中仁さん(49)。毎年、全国から作品が集まる「グラスアート展」も恒例になっている。

 

◇年間200万人

疲弊した長浜の商店街は“シャッター通り”となり、街のシンボルでもある黒壁銀行は取り壊しの危機を迎えていた。市と地元企業8社で構成する第3セクターを設立したのは昭和の終わり、88年のこと。元は紡績で栄えた土地柄だが、有志が各地を視察する中で得たまちおこしのヒントが「ガラス」だった。

設立の翌年、旧銀行を含む一画から始まったプロジェクトは平成とともに歩み、今は約30館にまで広がった。来街者は訪日外国人も含めて年間200万人、累計約5千万人に上り、田中さんは「5月の大型連休やお盆は混雑で身動きが取れないほど。人もまばらだった当初を考えると驚いている」と話す。

 

◇体験工房も人気

街の発展とともに関連施設も増え、有名作家の作品を集めたギャラリーや雑貨店のほか、郷土食の「焼き鯖(さば)そうめん」や「のっぺいうどん」など、地元名物も手軽に堪能できる。

工房では、とんぼ玉やステンドグラスの製作体験も可能で、週末は予約でぎっしり埋まるほどの人気だ。共に吹きガラス体験をしたのは愛知県の会社員、矢的輝久さん(33)とネイリストの坪内なぎささん(31)。坪内さんは「意外と力が必要で加減が難しい。街もきれいで良い感じ」と満足そうだった。

 

 

【黒壁スクエア】 1900(明治33)年に建てられた旧第百三十国立銀行長浜支店が、その外観から「黒壁銀行」と呼ばれたことが発端。疲弊する街の活性化を目指して89年にこの建物を「ガラス館」として再生し、ガラス工芸を基軸としたまちづくりに成功した。3館で始まった「スクエア」は、周辺の古民家を改装するなどして約30館にまで広がり、来街者は年間約200万人に及ぶ観光名所に発展した。
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