2019/10/30(水)

ミツワ硝子工芸 江戸切子の技法「見える化」

ガラス工芸品、江戸切子を制作するミツワ硝子工芸(埼玉県草加市)。江戸時代から脈々と続いてきた技を「見える化」したことで、次代を担う20~30代の職人たちが次々と誕生している。若手ならではの感性を生かし、独自デザインにも積極的に挑戦する。

江戸切子は一つ一つ手作業で製作する

工房「硝子工房 彩鳳」を訪ねると、回転盤がガラスを削る音で満たされていた。江戸切子はガラス器を円盤状のダイヤモンドホイールで削って線を描き、磨き砂などで艶を出す作業をひたすら繰り返す。技術力と共に、根気も必要な作業だ。

会長の林恒司氏は江戸切子の美しさに将来性を感じ、勤めていたガラス問屋を退職して1971年に同社を創業した。機械や道具を取りそろえて、独学で製作方法を模索した。

回転盤の回転数や削る時間などのデータを記録しながら、デザインに応じた切削方法を「見える化」。その経験を生かし、今も職人の間には、伝統技術にありがちな「見て覚えろ」は一切無い。「先輩は後輩に1~10まで全て教える」(林恭輔社長)

業界では職人の高齢化や後継者不足が深刻な問題となるが、そうした社風もあって同社の門をたたく若手は後を絶たない。現在、20~30代の職人が10人。全員が一から経験を積み重ねた。

2018年に国の伝統工芸士に認定された同社の石塚春樹さんは「教える時に言葉にしようとすると、慣れている作業についても改めて考え、学ぶ機会になる」と話す。

商品は工房名でもある「彩鳳」ブランドで、主に百貨店で販売されている。江戸切子といえば赤色や瑠璃(るり)色が思い浮かぶが、紫や黄、緑のガラスなど幅広い種類を扱うのが特徴だ。

斜線を等間隔に入れた矢来文様、菊の花を描く菊つなぎ文様といった伝統文様や、職人の感性を組み合わせた独自のデザインも生み出す。

職人の創作作品を集める今年の「第31回江戸切子新作展」では同社の職人3人が入賞した。

ほとんど手掛ける職人がいなくなった技法の復刻にも挑む。魚類の骨や皮などを煮て固めた「膠(にかわ)」で独特な模様を描く加工技法を復活させ、タンブラーなどの試作品を製作。クラウドファンディングを通じ、12月末までに商品を提供する予定だ。

伝統工芸品に日常生活で触れる場面はなかなかない。林社長は「まずは江戸切子を知ってもらい、若い世代などにもファンを増やしていきたい」と意気込む。(藤田このり)

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