瀬戸染付焼と益子焼のトークショー
青山スクエアでは今日から、
「瀬戸染付焼展 青の広場Vol.5 -涼-」と「益子焼伝統工芸士 大塚雅淑展」の二つが始まりました。
そして14時からは恒例のトークショーも開催されたので、
その時の様子をご紹介いたします。
まず初めにお話をしていただいたのは特別展でいらっしゃっている、
瀬戸染付焼の作り手の方、加藤さん。

理事長をされている瀬戸染付焼の加藤さん
まずは、瀬戸染付焼の歴史について、
お話をしていただきました。
瀬戸市は陶磁器の町で、
瀬戸染付焼の他に赤津焼なども、この地に根付く伝統的工芸品です。
瀬戸染付焼は、
江戸時代後期に広がった焼き物。
当初は土で作っていたのですが、
この時期に焼き物で既に有名だった伊万里有田焼が、
土ではなく磁器だったため、
瀬戸染付焼も今の時代は磁器だという流れになり、
現代に至っているそうです。
ですが、
磁器といっても、
伊万里有田焼は陶石を使っていますが、
瀬戸染付焼は粘土と砂婆(さば)と呼ばれる風化した花崗岩(かこうがん)をブレンドしたものを使っているので、味わいに違いがあります。
さらに瀬戸染付焼の特徴であるゴスは、
昔は天然のゴスを使っていたのですが、
現代は天然が採れなくなったので酸化コバルトを使用しているそうです。
と、瀬戸染付焼の説明をしてくださった、
加藤さんの作風はというと、
釉薬を掛けずに絵だけを描いて焼き、
その後で研磨してザラザラしたところをとるという作品を作っています。
絵柄も現代風でスタイリッシュなのが、
加藤さんの特徴です。
続いて、瀬戸染付焼の伊藤さんが、
お話をしてくださいました。

瀬戸染付焼の伊藤さん
伊藤さんがこだわっているのは、
伝統的な絵柄だそうです。
ゴスを何種類か作り、
色の濃淡を出すのも得意としており、
食器、花器をメインに作っています。
作るときに思うことは、
わびさびを大事にすることだとおっしゃっていました。
続いて、瀬戸染付焼の磯村さんにお話をうかがいました。

瀬戸染付焼の磯村さん
磯村さんが使っているのは、
赤土だそうです。
石灰釉をかけて還元焼成で鉄の色に変化をさせています。
山に咲く花の絵を中心に描くのが、
磯村さんの特徴ともいえます。
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瀬戸染付焼は、
各窯元での後継者に悩んでいるところも多いものの、
瀬戸染付工芸館で若い人たちが、
瀬戸染付焼の勉強をしているそうです。
その人たちが、後に組合に入ってくれれば、
まだまだ残っていける産地なのではないかということでした。
また、瀬戸染付焼としては今後、
日本の伝統文化を扱うお店で販売したり、
海外でも通用するようなものを作っていきたいとおっしゃっていました。
続いて最後に、益子焼の大塚さんに話をしていただきました。

益子焼の大塚さん
大塚さんはこの道20年。
ようやく自分がどんなものを作りたいのかが見えてきたとおっしゃっていました。
以前は、益子焼で売れる物を中心に作っていたそうです。
益子焼と言えば柿釉ですが、
若い人には白が売れるとわかると、白色の作品を多く作ったり・・・。
試行錯誤の10年間を過ごした大塚さんでしたが、
最近になって、
益子焼の伝統的な釉薬を使っている人が減っていることに気づいたそうです。
益子焼の伝統的な釉薬と言えば、
柿釉、飴釉、糠白(ぬかじ)釉、青磁釉、並白(なみじろ)釉、本黒(ほんぐろ)釉の6つの釉薬。
絵を描かずに、
伝統的な釉薬だけで勝負していくような、
そんな作品作りが出来ないかと考え、
さらに、今の時代に合わせたものを、
この伝統釉を使って新しく表現できないかと思うようになったとおっしゃっていました。
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今回お話をしていただいた方たちは、
「瀬戸染付焼展 青の広場Vol.5 -涼-」(~6月22日まで)と、
「益子焼伝統工芸士 大塚雅淑展」(~6月15日まで)で作品を並べていますので、
ぜひ青山スクエアに足をお運びください!