2015.09.02
朱と黒が織り成す「用の美」の頂点~紀州漆器~
ここに、紀州漆器の壺があります。
ですがこの壺は、
何十年か経つと黒色の部分が増えたり広がったりしてきます。
なぜなら紀州漆器の中でも、
根来塗と呼ばれる技法を用いて作られたものだからです。
根来塗とは、
黒塗を下地にして、
その上に朱漆を塗って作られたもの。
そして月日が経つと、
朱漆が剥がれてきて黒塗が見えてくるという技法です。
この黒塗がどう見えてくるかは、
もちろん朱漆をどう塗ったかにもよるのですが、
根来塗の工芸品自体をどこに置いておくかでも、
朱漆の剥がれ方が違ったりします。
その違いが、
根来塗の美しさ。
使えば使うほどに色味が変わってくる、
他には真似ができない、
「用の美」
朱色ももちろん綺麗なのですが、
月日とともに増えてくる黒点(黒塗)は、
見る人を惹きつけてやまないと、
根来塗のファンは言います。
また、紀州漆器には根来塗だけではなく、
他にも瑞雲塗、黒江塗など様々あります。
この緑のお椀は、
現代の職人が紀州漆器の原産地である、
和歌山で取れるものを実際に組み合わせて作ってみよう、
という思いから新しく生まれた紀州漆器。
本物のみかんの皮に漆を塗って作られています。
青山スクエアではまだ取り扱っていませんが、
ひょうたんに漆を塗って作った紀州漆器も存在しているようです。
そんな風に、
紀州漆器は昔ながらの伝統を重んじて引き継いで作り続ける職人と、
新しいことに挑戦していこうという志を持つ職人がいる伝統的工芸品です。
青山スクエアでは写真の紀州漆器が売られていますが、
実はオンラインショッピングでも買うことが出来ます。
オンラインショップで確認するならこちらから。
紀州漆器を手元に置いたなら、
気付くと変化しているその姿に、だんだんと心を奪われていくはずですよ。