青山スクエアでは本日より特別展「第50回全国漆器展」が始まりました。
そして14時からは青山スクエアでトークショーが開催されたので、その模様をお伝えいたします。
まず初めにお話をいただいたのは、
この全国漆器展を取り仕切っている日本漆器協同組合連合会所属の春原さん。
全国漆器展は今回で50回を迎えました。
第1回目は昭和42年に行われ、全国漆器展を行う前は「全国漆器祭り」というものを開催していたようです。
全国漆器祭りは本当にお祭りだったのですが、
全国漆器展という名前になってから公募を行い、どの漆器がより優れているのかを競い合うようになりました。
トップともいえる賞は「経済産業大臣賞」と「農林水産大臣賞」で、
今回、経済産業大臣賞を受賞したのは、
越前漆器で、すでに売約済みの札が貼られていました。
そして農林水産大臣賞を受賞したのは、
山中漆器でした。
現在日本漆器協同組合連合会に加入している産地は全国で18か所。
バブル期には30か所以上あったのですが、
どこもこの景気の中で苦しくなり離れてしまったという経緯も・・・。
また春原さんは加入している産地さんのそれぞれの色についても話していました。
一言で漆器といっても、
それぞれの場所で得意としているものが違っています。
塗りの名産地であったり、
木地の名産地であったり、
蒔絵の名産地であったり・・・。
それぞれにそれぞれの味わいがあります。
例えば、青森県の津軽塗は塗りの種類が豊富な場所で有名ですし、
秋田県の川連漆器は木地に漆を塗るというオーソドックスな手法を続けていることで有名ですし、
石川県で言えば、塗りは輪島、木地は山中、蒔絵は金沢で有名ですし、
福井県の越前漆器は全国の飲食店で使われている業務用漆器の7割が越前漆器と言われており、
今、最も売れている産地として有名です。
と、各土地の漆器の得意分野について話していただきました。
続いて、江戸漆器の作り手大上さんにお話をしていただきました。
江戸漆器とは、
江戸城を作った際に各土地から職人を集めたというのが始まりで、
今も伝統のわざを引き継いで作り続けられています。
主に「おみこし」「仏具」「建物(神社仏閣)」などを作っているそうです。
今回大上さんが作った盛器も賞に選ばれました。
鮫皮という名前はついていますが、
実際に使われている皮はエイの皮。
本当に鮫の皮を使うと綺麗な模様が出ないため、
エイの皮を使っていることが多いのが一般的。
鮫皮で有名な剣の柄なども、
本当に鮫の皮を使っているときもあれば、
エイの皮を使っているときもあるそうです。
ただ今回大上さんは器に鮫皮塗りをしていますが、
あまり他の人は行わない方法のようで、
大上さんが普段は剣道の胴を作っていることもあって、
器にしてみても面白いのではないかと思ったそうです。
そして再び春原さんにマイクが渡されました。
司会者からこれまでの全国漆器展の中で印象に残っているものはありますか?
と聞かれて春花さんは、
全国漆器展に両親が来た時に買おうかどうかを悩んでいた、
香川漆器のテーブルというエピソードも話していただき、
会場内のみなさんを笑顔にしていました。
また今漆器業界が抱えている問題についてもお話しいただきました。
現在、日本産の漆が非常に少なくなっています。
日本産の漆は全体の1割。
そのほかの9割は中国産です。
日本に漆の木が少なくなってきているからかといえばそうではなく、
漆の木から漆をかく職人が減ってきてしまっているのが問題。
漆は人が入りずらい場所に生えていたり、
漆の木のメンテナンスをするのが非常に難しく手間がかかるため、
みんななりたくないという人が多いのです。
現在、漆をかく人のほとんどは、
岩手県の浄法寺に集まっていて、
漆かきになる人は個人で浄法寺に研修に行ったりしていましたが、
最近は組合で行くようにして研修を受け、
何とか漆かきを増やそうという動きが出てきているとのことでした。
そして最後に、
漆器は使ってこそその価値がわかるもので、
一年に一度しか出さないという頻度では、
漆器が悪くなってしまう恐れがあるので、
どんどん積極的に使っていってくださいと、
皆さんに呼びかけていました。
全国各地の漆器が見られる特別展「第50回全国漆器展」は、
10月28日まで青山スクエアで行われています。
ぜひお越しください!!









