久留米がすりと甲州手彫印章のトークショー
本日10月30日から「久留米がすり 藍華 田中絣工房展」が来週の水曜日まで開催されています。
初日の今日、14時から青山スクエアの入口付近にてトークショーが行われました。
久留米がすりは重要無形文化財でもあり伝統的工芸品にも指定されています。
200年以上の歴史があり、「手で括る」「本藍染」「手織り」が特徴。
田中さんは次男ですが、
高校の時には家を継ぐことを決めていたそうで、
デッサンが出来る学校に通ってからこの世界に入りました。
もともと絵を描くのが好きだったので、
デザインには特に力を入れています。
仕事をしている場所はとても静かなところで、
色々な風の音が聞こえてくるそうです。
そこからイメージを膨らませて、
田中さんは風をモチーフにしたデザインを、
久留米がすりに描くようになりました。
田中さんのデザインが今までにないものだったため、
初め周囲の人になかなか認められなかったそうです。
ですが今では、
褒めてもらえるぐらいになりました。
それだけ田中さんのデザインが、
久留米がすりの中で浸透したということなのかもしれません。
昔から続くデザインを継承していくと同時に、
新しいことへの挑戦をしていかないと、
久留米がすりに発展はないと思い、
曲線を描くようにしたともおっしゃっていました。
また田中さんの父親が描くデザインは、
昔ながらの久留米がすりのデザインと、
やはり新しいデザインの追及をしていたそうです。
血は争えない・・・ということなのかもしれません。
久留米がすりを残していく上で着物は作り続けるものの、
今では洋服を作ったり、
鞄を作ったり、
小物を作ったり、
また、藍染めをした糸を売ったりと幅広く展開をしています。
伝統的工芸品を作っている産地としては珍しいですが、
久留米がすりでは、
若手の人も多く在籍しており、
田中さんを含めて今後の発展に力を尽くしていきたいと熱く語っていました。
次に、「JAPAN TRADITIONAL CRAFTS WEEK」にて、
甲州手彫印章の制作体験をしている望月さんにお話をしていただきました。
甲州手彫印章とは山梨県で作られている伝統的工芸品です。
元々は水晶を彫っていたものが、
象牙、黒水牛、柘植も使うようになりました。
そして最近は屋久杉なども使われるようになったそうです。
物にもよるのですが、
やはり一番いいのは象牙。
堅さもあり、
粘り気もあるので、
いつまでも良い状態で使うことができます。
現在も象牙の印章は人気で、
ステイタスとして持つ人が多いようです。
望月さんの得意分野はと聞くと、
彫る技術でしょうか・・・と控えめに答えていました。
そもそも印章は、
決まった形の中にバランスよく文字を入れることが難しいそうです。
字にもルールがあるので、
望月さんは下絵を描くのに一番時間をかけていると言っていました。
また一番ポピュラーな書体は、
印篆(いんてん)と呼ばれるもので、
紙幣でも使われています。
この印篆にはこんな話もあります。
その昔、王様が各地の町長に就任した人に、
ハンコを渡していました。
そのハンコは、
関所を通るときに使われるもので、
それがあると道を通ることができるというものでした。
そういった話も、
望月さんはお客様一人一人に丁寧にお話しし、
どういったものを作りますかと聞いています。
また最近、望月さんはお客さんに、
「名刺印」を勧めているそうです。
名刺に判子を押すことで、
手づくり感が出ていいと好評とのこと。
お値段的には、素材にもよりますが、
1万円から作ってもらえるそうです。
一度相談をしてみてはいかがでしょうか?
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匠コーナー「久留米がすり 藍華 田中絣工房展」は11月4日まで、
甲州手彫印章の制作体験は31日、2日、3日に行っています。
ぜひ青山スクエアへ足をお運びください!