2017.10.20

特別展「盛岡の伝統工芸品」と匠コーナー「本場大島紬」のトークショー

今日から特別展「盛岡の伝統工芸品展~岩手山麓・透きとおる秋~」と匠コーナー「本場大島紬伝統工芸士 技の匠 安之助の世界展」が始まり、

14時からは青山スクエアでトークショーが行われました。

 

まずは盛岡の伝統工芸品展を代表して、

盛岡手づくり村の佐藤さんにお話を伺いました。

 

今回、一番お勧めしたいのは南部鉄器の鉄瓶だそうです。

 

作り手によって、さまざまな形がありますが、

とくに珍しいのは田山さんの虫食いを表現した鉄瓶は、

他ではなかなか見ることのできないもの。

 

盛岡にはもう一つ有名な伝統的工芸品があります。

それは、国産漆を使って作られている浄法寺塗です。

 

漆は現在、外国産の漆がほとんどなのですが、

浄法寺塗りだけは国産漆が採れる産地のため、

未だに国産のものを使っています。

 

また、この地方で採れる漆は国宝の建造物にも使われているのも有名な話です。

 

次に、注目して頂きたいのが、

亀甲織、紫根染、茜染、南部形染の織物や小物類。

 

この中でも亀甲織は、麻で作られているのですが、

歴史的にもとても貴重なもので、

他で見るのは難しいそうです。

 

今回は、盛岡の伝統工芸品を全部で20品目持ってきましたが、

どれも素晴らしいものばかりですので、

ぜひ見て、実際に手に取ってみてほしいとおっしゃっていました。

 

次にお話しいただいたのは、

本場大島紬の田畑安之助さんです。

 

昭和36年からこの仕事についている田畑さんは、

昭和39年に鹿児島に移り住み現在に至っています。

 

元々、田畑さんの母親が機織りをしており、

その姿を見ていたこともあって、この世界に飛び込んだそうです。

 

この業界の最盛期は昭和53年。

その頃に比べると、売り上げも商品の数もわずか1%ほどになりました。

 

1%になってしまった業界のため、

作り手も減少し、分業制だったものをそのまま続けているとままならなくなると思った田畑さんは、

これまでしたことのなかった作業も行うようになり、極めていきました。

 

ただ、藍染めと泥染めだけは、

他の方に頼んでいるそうです。

 

本場大島紬の藍染めは非常に珍しく、

他の人では真似が出来ないとおっしゃっていました。

 

藍はアルカリ性が強く、本場大島紬の絹糸を痛めてしまう性質があるためです。

どうやって作っているかは、企業秘密のようでした。

 

現在の人たちは着物を着る人が減りましたが、

田畑さんは女性だけではなく、

男性にももっと着物を着てほしいとおっしゃっていました。

 

着物は女物。男物というふうに分けて考える人もいますが、

そんな必要はないというのが、

田畑さんの考え。

 

実際にご本人も女物を自分用にアレンジして着こなしています。

 

何を着るかというよりも、

どう着るかというのが重要なのかもしれません。

 

また田畑さんの特徴としては、

そのデザインにあります。

 

長年、本場大島紬に携わってきたからこそ、

伝統的な図柄のものをデザインしなくなりました。

 

自身の中にあるひらめきや引き出しを開けて、

他にはないデザインのものを実際に作っていく。

たとえば、今回、田畑さんが着ているのは手裏剣の絣が入ったもの。

 

確かな技術と、豊かな想像力がある田畑さんだからこその世界観なのかもしれません。

本場大島紬を愛してやまない人ほど、

田畑さんの作る作品に胸を打たれる人は多いそうです。

 

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今回お話をしていただいたお二人がいる、

特別展「盛岡の伝統工芸品展~岩手山麓・透きとおる秋~」と

匠コーナー「本場大島紬伝統工芸士 技の匠 安之助の世界展」は、

10月25日まで青山スクエアで行われています。

 

特別展では、21日と22日に浄法寺塗の匠が実際に来られて実演があります。

匠コーナーでは、今回お話しいただいた田畑さんが会期中はずっといらっしゃいますので、

ぜひお話を聞きに遊びに来てください。

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