2017.12.08

大谷焼と瀬戸染付焼のトークショー

青山スクエアでは今日から、特別展「阿波の焼物 大谷焼展」と匠コーナー「瀬戸染付焼伝統工芸士会展」の二つが始まり、14時からはトークショーが行われました。

 

その時の様子を、お伝えしたいと思います。

 

まずは大谷焼の森行雄さんに、

お話しいただきました。

 

大谷焼の森行雄さん

大谷焼は2003年9月に国が指定する、

伝統的工芸品になった産地です。

 

青山スクエアで展示会をするのは、

今回で二回目だとおっしゃっていました。

 

大谷焼は小物から大物までありますが、

ジャパンブルーと言われている藍を入れる藍瓶が有名です。

 

蹴ろくろや寝ろくろと言われる大きなろくろを使って、

現在も森さんは大物を作っています。

 

ただ現在は、大谷焼の窯元6軒のうち、

大物を作っているのは、

森さんの窯ともう一軒のみだとおっしゃっていました。

 

また大物は瓶として使うだけではなく、

ひっくり返して、平らな部分にガラスの板を置き、

テーブルとして使っているお客さんもいるそうです。

 

続いて、大谷焼の森裕紀さんに、お話を伺いました。

 

大谷焼の森裕紀さん

森裕紀さんは、初めにお話しいただいた森行雄さんとは血縁関係はなく、

森さん達が住んでいる場所には「森」という名字の人が多いそうです。

 

森さんは今年、伝統工芸士の資格を取った大谷焼の後継者です。

 

後継者になることに迷いや悩みは、なかったかと聞かれると、

特になかったとおっしゃっていました。

 

小さなころから大谷焼が身近にあったため、

焼物の世界に居続けることに違和感はなかったのかもしれません。

 

森さんの窯では、

大谷焼の中でも変化球の多いものを作っているそうです。

 

板作り、玉作り、紐作り、ろくろ等をしていますが、

森さんは、その中でもろくろのものをよく作っています。

例えば、使うときのことを考えて、

口の水切れがいい土瓶や急須作りをしています。

 

一見するだけではわからない工夫が込められた商品が多いのも特徴の一つ。

 

森さんの願望は、第三者が喜ぶ物づくりをしていくこと。

例えば、気に入った急須を買って家に持ち帰り、

お客様を招いた時に、目の前で急須を使ったら、

その急須をほめられて、購入者が嬉しくなるというもの。

 

森さんは会期中、ずっと実演をしていますので、

お話を直接聞いてみるといいかもしれません。

 

次に瀬戸染付焼の岡田さんと磯村さんにお話を伺いました。

 

左が磯村さん。中央が岡田さん。

岡田さんも磯村さんも四代目(磯村さんは代を甥っ子に譲っており、現在は甥っ子が五代目)で、

江戸時代から続く窯の後継者です。

 

瀬戸染付焼は磁器のものと陶器のものの二つがあり、

岡田さんは陶器のものをよく使っていると、

おっしゃっていました。

 

また瀬戸染付焼は分業制です。

ただ二人とも絵付け師としての伝統工芸士の資格を持っていますが、

基本的にはろくろから全ての作業をすることが出来るそうです。

 

瀬戸染付焼の後継者は、

現在2世が出てきているところというのと、

他県から作家志望として習いに来ている人も増えてきているようで、

これからも瀬戸染付焼の技術は、

後世に残していけるのではないかと思っているそうです。

 

最後にこれからの目標を聞いてみると、

磯村さんは人を育成していくこと、

岡田さんは瀬戸染付焼の物作りの楽しさを多くの人に伝えたいとおっしゃっていました。

 

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今回お話をしていただいた、

特別展「阿波の焼物 大谷焼展」は12月20日まで、

匠コーナー「瀬戸染付焼伝統工芸士会展」は12月13日までおこなっています。

 

どちらも制作実演が、会期中ずっとございますので、

ぜひ青山スクエアにお越しください。

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