「福井の伝統工芸」と「京焼」のトークショー
今日から青山スクエアでは、特別展「福井の伝統工芸 春の贈り物」、
匠コーナー「京焼・清水焼 吉村楽入工房 新作発表展」が始まり、
14時からは恒例のトークショーが行われました。
まずは特別展の説明を福井県庁の一番ヶ瀬さんにしていただきました。
福井県は昨年、豪雪被害により流通が滞りましたが、
現在は雪も解け復旧したそうです。
今回の特別展では福井県の伝統的工芸品である、
越前漆器、越前和紙、越前打刃物、越前焼、越前箪笥の5つを展示しています。
越前和紙は1500年以上前から福井の土地に根付く和紙産業で、
紙の神様を祭っている唯一の場所でもあります。
襖など大きなものまで紙を漉くことができるのが特徴です。
福井県で有名な恐竜と越前和紙を合わせて作った恐竜アートや、
手漉き和紙で作られたバッグなど、
毛色の変わったものもあり見る人を楽しませています。
越前焼は現在、
新しいことに挑戦をしようと、土に粘り気のあるものを開発し、
薄作りの焼物を作っています。
薄さ1mmぐらいのものは作るのが難しく、
他ではなかなか真似できないものです。
越前漆器も1500年前から作られているもので、
今回は可愛い絵柄のビンズがおすすめ商品となっています。
越前打刃物は、もともと鍬(くわ)や農機具を作っていましたが、
包丁を作るようになり、
現在ではステーキナイフやカラトリーなども作られるようになりました。
最後に越前箪笥ですが、
現在は箪笥だけではなく、箪笥技術を応用して様々なものを作っています。
例えば、写真にあるものは、
携帯を置くとスピーカーになる代物。
音が木の中で反響し増幅するという作りになっています。
続いて、京焼の作り手、吉村楽入さんにお話をしていただきました。
京焼は焼き物の産地の中で、産地が形成されたのが決して早いとは言えません。
焼物の中で古いのは、六古窯と言われている、
「瀬戸焼」「常滑焼」「丹波立杭焼」「備前焼」「越前焼」「信楽焼」
の六つの産地です。
京焼は六古窯に比べると後にできた産地ということもあり、
細やかな細工をする、きらびやかな作品が多くあります。
ただ吉村さんが作られているのは京焼の中でも楽焼と言われるもので、
素朴な作りが特徴です。
楽焼が生まれたのは、
千利休がいた時代にまで遡ります。
千利休はわびさびを第一にしていました。
千利休からすると舶来品は綺麗過ぎたため、
当時瓦屋をしていた職人(今でいうシーサーのようなものを作っていた職人)に碗を作らせたそうです。
職人は瓦屋だったため、
ろくろができず手びねりでものを作っていました。
茶碗も同じように手びねりで作ると、
ろくろのようなきれいな線は出せず歪んだ形のものができましたが、
千利休はそこにわびさびを感じ、その後も作らせ続けたのです。
その瓦屋は楽家という名前で現在も続いています。
吉村さんは、楽家に弟子入りしたわけではありませんが、
現在はその手法について後世に伝えるための活動もしているそうです。
楽焼の特徴は他にもあります。
楽焼のお碗にお湯を入れると、お碗自身が水を吸い込むので、
1日入れっぱなしにすると水が漏れてしまうのが特徴です。
これは京都という土地が寒く、
少しでも暖かいお茶を出すというおもてなしのため、
お碗に湯を吸わせて、碗自体も温めてしまおうと考えて作られたものだそうです。
吉村さんは会期中は青山スクエアにずっといらっしゃるので、
気になる方はお話を聞きに来てみてはいかがでしょうか?
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今回お話をしていただいた方たちのいる、
特別展「福井の伝統工芸 春の贈り物」は5月2日まで、
匠コーナー「京焼・清水焼 吉村楽入工房 新作発表展」は4月25日まで行っています。
会期中は、制作体験や制作実演なども行っていますので、
チェックしてみてください。