企画展「和くらし大好き!集まれ女匠衆 第1部」のトークショー
青山スクエアでは今日から企画展「和くらし大好き!集まれ女匠衆 第1部」が始まり、
14時からはトークショーが行われました。
ますは、東京手描友禅の作り手の方から、お話しいただきました。
今回、お勧めしたいのは、
会津木綿とコラボをして作った半幅。
リバーシブルになっており、
表が手描友禅を施している綿麻。
裏は麻生地で全く違う柄になっています。
価格を5万円に決めて売っているため、
若い方に人気の帯になりました。
東京手描友禅というと、価格帯が少々高くなってしまうため、
購入される方は40~50代以上の人がほとんど。
今回の半幅は若い世代開拓にもなったそうです。
また半幅の帯は夏場に活躍するもので、
浴衣や小千谷縮に合わせるのにちょうどいいというのも、
若い世代に受けた要因の一つかもしれません。
また、この企画展を通して知り合った有松・鳴海絞の高橋さんに、
今回着ているものを作っていただき、
自分で作った帯と合わせたりできるのは、
この企画展の醍醐味の一つだともおっしゃっていました。
続いて、有松・鳴海絞の作り手にお話を伺いました。
高橋さんは、この企画展の初回から参加し続けている作り手です。
有松・鳴海絞の業界に入って9年になり、
初めは手探り状態でしたが、
最近は作りたいものを作れるようになってきたとおっしゃっていました。
高橋さんの実家は、有松・鳴海絞を生業としていたわけではなく、
叔母が着物好きだったため、
たくさんの着物を見せてもらっていました。
その中に有松・鳴海絞の着物があり、
それがずっと頭の中に残っていたそうです。
そしてある日、
新聞に有松・鳴海絞の後継者育成事業の記事を見つけて昔を思い出し、
この業界に飛び込んだのです。
今回挑戦したのは有松・鳴海絞の日傘。
普通、柄は外側の部分に施すのですが、
あえて中心に柄を入れ、
後ろから見た時に可愛くなるように作ったそうです。
今度は、木目絞りでのデザインを考えて作ることが、
今の目標だとおっしゃっていました。
続いて、山中漆器の作り手の方にお話を伺いました。
大下さんは家族で、
クラシック・コーというブランドを立ち上げ、
蒔絵を施したアクセサリー類を販売しています。
元々は山中漆器の中でも茶道具類を作っていたのですが、
今の若い世代に自然と手に取ってものをと考えて、
アクセサリーを作ったのが始まりです。
ただ、アクセサリーといっても、
山中漆器の蒔絵の技術をしっかりと使って作られているので、
1つを作るのに、いくつもの工程を要しており、
今回見せていただいたものは、
1か月弱ぐらいかかるとおっしゃっていました。
金額的には、少し高めになっていますが、
店頭販売をする時に作業工程を説明すると、
お客様は納得して購入されるそうです。
今後も若い人に伝えられるような作品を作り続けたいと、
おっしゃっていました。
続いて、香川漆器の作り手に話を伺いました。
香川漆器には、大きく分けると5つの技法がありますが、
中田さんはその中でも存清と呼ばれる技法を得意としています。
もともと香川漆器を作っていたわけではありませんが、
結婚をして夫になった人の家が香川漆器を作っていたため、
この業界に入りました。
中田さんは塗から始めることがほとんどで、
箸、お碗、香合などの小物類に絵を施しています。
ただ肌が弱いため、
漆かぶれになることが多く、
いつも苦労しているとおっしゃっていました。
今後は、もう少し大きなものも作っていきたいそうです。
最後に、一位一刀彫の作り手に、お話を伺いました。
一位一刀彫は、一位の木から一つの作品を掘りだしていくというものです。
着色は一切しておらず、
自然の木の色そのままとなっています。
父親も一位一刀彫をしており、
自然とこの業界に入りましたが、
木をチェーンソーなどで切る所から一人で行わなければいけないため、
女性の工芸士が少ないのも実情。
実際に一位一刀彫の作り手で女性は、
板殿さんを入れて二人しかいないそうです。
一番難しいこととしては、
デザインを決めることだと、おっしゃっていました。
全て自然のもののため、
木の中にある白い部分をどこに持って行くのかを決めたり、
木目を気にしたりなど、
デザインをする時点で考えなければいけないことがたくさんあるからこそ、
難しいそうです。
板殿さんが得意としているのは、
ウサギ、ヤモリ、カエル。
これからも、若い人に手に取って貰えるような作品作りをしていきたいと、
おっしゃっていました。
今回お話しいただいた5人の作り手は、
企画展「和くらし大好き!集まれ女匠衆 第1部」にて8月22日まで出展中です。
ぜひ、青山スクエアに遊びに来てくださいね。