2017.01.19

匠を訪ねて~九谷焼 独自の感覚で描く九谷焼の世界

2017年1月19日 青山スクエアで制作実演中の井出幸子さんを訪ねました。

九谷焼:井出幸子

九谷焼は石川県の伝統的工芸品。青みを帯びた素地に呉須による線描きをし、九谷五彩と呼ばれる色で絵付けをするのが基本です。

職人としての作り手、作家としての作り手が多数おり、昨年は九谷焼開窯360周年を迎えました。

この世界に入ったきっかけ

絵を描くのが好きだった学生時代

学生の頃から絵を描くのが好きだった井出さん。スケッチをしたり、デザインをしたりする時間がとても楽しかったそうです。

 

そんな井出さんが、九谷焼の世界に入ったのは、結婚をして子どもが生まれてから。子育てもひと段落した頃、一度は行ってみたいと思っていた九谷焼の研修所へ通うことを決めました。

 

研修所で実際に絵を描いているうちに、卒業後も続けたいと思うようになり、主婦業をしながらも加飾を続けたそうです。

 

ただ、加飾を仕事としてメインで行っていたわけではないので、時間の合間にデザインをして個展を開くということをしていました。

 

そんな時、「伝統工芸士の資格をとってみたらどう?」と言われ、九谷焼の職人として活動することを決めたのです。

 

 

 

作品の特徴

自然のものをスケッチで描く

絵を描くのが好きということもあり、身近なものをスケッチして表現しているのが特徴。

 

例えば、家の庭に咲いている「ひょんの木」のスケッチをして、それを加飾で表現したりなど、様々なモノをデザインしています。

 

 

とくに九谷焼の職人さんに弟子入りということをしなかったため、井出さんは研修所を卒業後は独学で腕を磨いてきました。

 

そのため、他の職人さんに比べると、自分の世界観を強く持っており、他の人にはない九谷焼を表現しています。

 

 

 

 

 

 

~可愛い小物類たち~

かえるの置き物

九谷五彩を使っているので、九谷焼の色味なのですが、どこか他の九谷焼とは違う味わいがあります。

 

 

 

 

 

 

インディアンなネックレス

インドへ旅をした時にスケッチしたものを元にデザインしたネックレス。とてもかわいくまとまっています。

 

 

 

 

 

 

様々な形の帯どめ

伝統的な古典柄も取り入れつつ、井出さんの世界観を入れた帯どめ。深い味わいがあります。

 

 

 

 

 

 

井出さんのこれからの目標

紆余曲折あるものの、ここまで来れたのは、支えてきてくれた人たちがいたからだと言います。だからこそ井出さんも、今の若い人たちが、外に出て活動ができるよう橋渡しができる人になりたいと思っているとおっしゃっていました。

 

九谷焼に携わっている匠の女性は、現在24名います。ですが、主婦をしながら活動していることもあり、なかなか外への営業ができていないのが実情。

 

今は、女性も仕事をしていて当たり前の時代になったので、職人の世界でも同じように思ってもらえるような普及もしていきたいそうです。

これからの作品作り

ご自身の作品に対しての目標はと尋ねると、九谷焼の伝統的な図柄も大切にしていきたいと、おっしゃっておりました。

 

九谷焼は開窯してから360年以上も経つ、歴史ある伝統的工芸品です。これだけ続いたということは、それだけの間、たくさんの作品が生まれているということ。

 

歴代の職人たちの図柄を研究していくと、奥が深く、全てを解明することは簡単には出来ません。

 

これまでは自分の世界観を想像することがほとんどでしたが、これからは昔からの図柄を取り入れつつ、自分の世界観を表現していけるようになりたいと、おっしゃっていました。

今回お話をしていただいた井出さんは、現在青山スクエアで開催中の企画展「女一代のわざ 女性伝統工芸士展~作家とともに」(~1/25まで)に出展中です。

 

井出さんの工房「工房 ひょんの木」はfacebookにて、情報を配信していますので、こちらもあわせてご覧くださいませ。

 

石川県金沢市香林坊にて、絵付け体験、陶芸体験も行っているそうですので、「工房 ひょんの木」にお問い合わせの上、足をお運びください。

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