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TRADITIONAL CRAFTS

博多織Hakata Textiles

鎌倉時代、博多商人が僧侶とともに宋の時代の中国に渡り、織物技術を持ち帰ったのが始まりです。
江戸時代になると、現在の福岡県の大部分にあたる筑前国の領主であった黒田長政が博多織を毎年幕府に献上したことから「献上博多」と呼ばれました。

During the Kamakura period (1185-1333), merchants from Hakata journeyed to Sung dynasty China with the founder of Joten-ji temple, Shoichi Kokushi, and the weaving techniques they brought back with them laid the foundations of Hakata Ori.
During the Edo period (1600-1868), most of the area of present-day Fukuoka Prefecture corresponded to the province of Chikuzen. The feudal lord of this province, Kuroda Nagamasa sent tributes (kenjo) of Hakata textiles to the Shogunate and this led to the cloth also being called Kenjo Hakata.

The types of cloth most representative of all those from Hakata are the lustrous plain woven cloths with their elegant designs, and the very colorful, elaborately woven figured textiles. Part of the joy of the Hakata obi is the ease with which they can be tied and the characteristic silk squeak when they are pulled up tight. It still produce the traditional obi as well as ties, dress material and even interior fabrics.

  • 告示

    技術・技法


    献上及び変り献上にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。

     
    (1)
    「ジャガード機」又は「ドビー機」を用いる先染め又は先練りの平織りの変化織り(献上にあたっては、たてうね織りに限る。)とすること。

     
    (2)
    たて糸は、8本以上を一群とした後、手作業により筬羽一羽ごとに引き込むこと。この場合において、筬の筬密度は、3.78センチメートル間72羽以上とすること。

     
    (3)
    「綾竹」の位置を修正するとともに、手作業によりたて糸の張力が均一になるように調整しつつ、製織をすること。

     
    (4)
    紋は、「浮けたて」により表すこと。

     
    (5)
    献上の模様は、「独鈷」、「華皿」及び「縞」とすること。


    平博多にあっては、次の技術又は技法により製織された無地織物とすること。

     
    (1)
    先染め又は先練りのたてうね織りとすること。

     
    (2)
    たて糸は、8本以上を一群とした後、手作業により筬羽一羽ごとに引き込むこと。この場合において、筬の筬密度は、3.78センチメートル間72羽以上とすること。

     
    (3)
    よこ糸は、「手投杼」若しくは「引杼」を用い、又は「追杼」により打ち込むこと。

     
    (4)
    「綾竹」の位置を修正するとともに、手作業によりたて糸の張力が均一になるように調整しつつ、製織をすること。

     


    間道にあっては、次の技術又は技法により製織されたしま織物とすること。

     
    (1)
    「ジャガード織」または「ドビー織」を用いる先染め又は先練りの平織りの変化織り又は綾織り、朱子織り若しくはこれらの変化織りとすること。

     
    (2)
    たて糸は、8本以上を一群とした後、手作業により筬羽一羽ごとに引き込むこと。この場合において、筬の筬密度は、3.78センチメートル間72羽以上とすること。

     
    (3)
    「綾竹」の位置を修正するとともに、手作業によりたて糸の張力が均一になるように調整しつつ、製織をすること。


    総浮にあっては、次の技術または技法により製織された紋織物とすること。

     
    (1)
    「ジャガード織」を用いる先染め又は先練りのたての重ね織りとすること。

     
    (2)
    たて糸は10本以上を一群とした後、手作業により筬羽一羽ごとに引き込むこと。この場合において、筬の筬密度は、3.78センチメートル間70羽以上とすること。

     
    (3)
    「綾竹」の位置を修正するとともに、手作業によりたて糸の張力が均一になるように調整しつつ、製織をすること。
     

    (4)
    紋は、「浮けたて」により表すこと。


    重ね織にあたっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。

     
    (1)
    「ジャガード織」を用いる先染め又は先練りのたてよこの重ね織りとすること。

     
    (2)
    たて糸は13本以上を一群とした後、手作業により筬羽一羽ごとに引き込むこと。この場合において筬の筬密度は、3.78センチメートル間73羽以上とすること。

     
    (3)
    「綾竹」の位置を修正するとともに、手作業によりたて糸の張力が均一になるように調整しつつ、製織をすること。

     
    (4)
    紋は、たて糸又はたて糸及びよこ糸で表すこと。  


    綟り織にあたっては、次の技術または技法により製織された搦み織物とすること。

     
    (1)
    「ジャガード織」を用いる先染め又は先練りのたての搦み織物とすること。

     
    (2)
    たて糸は、よこ糸の打ち込みに「手投杼」又は、「引杼」を用いるものにあっては5本以上を一群とした後、手作業により筬羽一羽ごとに引き込み、その他のものにあたっては11本以上を一群とした後、手作業により筬羽一羽ごとに引き込むこと。この場合において筬の筬密度は、3.78センチメートル間15羽以上、その他のものにあっては3.78センチメートル間60羽以上とすること。

     
    (3)
    「綾竹」の位置を修正するとともに、手作業によりたて糸の張力が均一になるように調整しつつ、製織をすること。

     
    (4)
    紋は、「浮けたて」により、又は地糸若しくは絵よこ糸で表すこと。


    絵緯博多にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。

     
    (1)
    「ジャガード織」を用いる先染め又は先練りの平織りの変化織り又は綾織り、朱子織り若しくはこれらの変化織りとすること。
     
    (2)
    たて糸は6本以上を一群とした後、手作業により筬羽一羽ごとに引き込むこと。この場合において筬の筬密度は、3.78センチメートル間55羽以上とすること。
     
    (3)
    「綾竹」の位置を修正するとともに、手作業によりたて糸の張力が均一になるように調整しつつ、製織をすること。
     
    (4)
    紋は、よこ糸で表すこと。この場合において、平織りの変化織り以外のものの絵よこ糸は、たて糸を用いて裏とじをすること。

    原材料

     1
     使用する糸は、生糸若しくはこれと同等の材質を有する絹糸又は金糸、銀糸若しくはうるし糸とすること。
     

     2
     使用する箔は、金箔、銀箔若しくはうるし箔又はこれらと同等の効用を有するものとすること。

     

  • 作業風景

    工程1: 意匠

    「意匠」とは、博多織の絵柄を決める部門で、製品の評判や売れ行きは、この意匠しだいと言っても過言ではない。織物設計に従って、方眼紙に図案を拡大して写し、織組織別に色を変え、丁寧に一目ずつ色付けしていく。最近はコンピューターが導入され、意匠部門での作業は大幅に効率化されたが、今も昔も繊細な神経と豊かな感性が求められる仕事であることに変わりない。

    工程2: 染色

    博多織は先染めの絹織物。意匠の段階で織物の柄と使われる色が決まるので、意匠をもとに糸を染色する。生糸に光沢を出すため、石鹸水で洗い(精錬)、釜に染液をつくり、経糸(たていと)、緯(よこいと)を染めていく。季節や天気が染め上がりに大きく影響するため、色見本どおりに色を出すには技術者の熟練の技が重要になる。

    工程3: 機仕掛

    経糸(たていと)の連結を調整する。博多織の紋織模様が誕生するためには、この工程は非常に重要である。切れやすい絹糸を同時にたくさん扱うため、神経を使う。

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    工程4: 製織

    「打ち返し、三つ打ち」という伝統技法で織っていく。力と技が一体となった技法が、博多織の持ち味である「緻密さ」「張りの良さ」に磨きをかける。

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  • クローズアップ

    時代とともに輝く博多織

    750年の歴史を織り込んできた博多織。「伝統の技」と「時代感覚」このふたつを巧みに融合していく進取の気質こそが、博多織をはぐくんできたといえるだろう。その伝統美には、博多人の熱い心意気が尽きせぬほどに詰まっている。

     

    伝統の普及

    博多駅から西へ徒歩10分。博多織工業組合を訪ねた。組合のビルの中に設けられた工房は、一般の人も見学することができる。博多織の伝統工芸士・渡邊福夫さんは、その工房で博多織の普及に力を入れている。
    渡邊さんが博多織の世界に入ったのは、昭和27年。中学を出て仕事を探していた時、当時住んでいた家の二軒隣の博多織の織屋から「やってみないか」と声がかかったのが始まりだ。見習い当初の工賃は、一日あたり80円。食事代がやっとまかなえる程度だったが、手先が器用で働き者の渡邊さんは、織屋から見込まれ、夜間高校に通いながら見習期間の3年を勤め上げた。4年目になると帯の織を任されるようになり、給料が一気に10倍に。好景気も手伝って、勤め人の2倍の給料をもらった。今では、織と意匠の二分野で伝統工芸士の指定を受ける、博多織の第一人者である。

    • 織が始まると、完成まで約2日間、一気に織り上げる

    • 完成した帯には、伝統工芸作品である証(あかし)が織り込まれる

    博多織の新しい世界

    他の産地と同様、博多織も時代の変化の中にある。昭和50年の山陽新幹線の開通をピークに、博多織の需要は減りつづけた。質の良い国産の絹糸は減り、変わって中国、ベトナム、ブラジルから絹が輸入されるようになった。
    時代の変化の中で、博多織協同組合では、さまざまな新しい分野の開拓に挑戦してきた。昭和58年には、ジャガード織のフロッピー化に業界で初めて成功し、経糸(たていと)に2人必要だった工程が1人でできるようになった。この方法は、全国各地の織の産地でも導入された。
    昭和59年には、ブライダルデザイナーの桂由美さんと提携、博多織の生地をウエディングドレスに仕立てた作品を発表し、大きな反響を得た。このウエディングドレスは好評で、現在までの18年間に、数万人の花嫁姿を飾った。
    また、平成5年には、桂由美さんデザインの祭服をローマ法王ヨハネ・パウロ二世に献上した。祭服には、法王の故郷であるポーランドの国花・パンジーのデザインをあしらっている。その重厚な印象にもかかわらず、質の良い絹と伝統技術により、たいへん軽い着心地となったという。

    • デジタル織。デジタルカメラで撮影したデータから織のパターンを起こすこともできる

    • 桂由美さんデザインのブライダル衣装はブームとなった

    帯は博多に限る

    男帯といえば博多帯、といわれるほどに、博多の帯は親しまれている。一度締めると緩みにくい博多帯のファンは多い。相撲の力士の帯も博多帯だ。曙関が大関に昇進した際には、渡邊さんはオレンジ色の兵児帯(へこおび)を織った。
    男帯だけでなく、女性の帯も、伊達締め、浴衣の帯、袋帯など種類も豊富だ。絣や西陣の着物と合わせると、きりっとした博多織ならではの色気が引き立つ。
    しなやかで粋な博多帯は、緯糸(よこいと)を通して、強く叩いて引き締める工程が重要だ。この作業には、男性の織り手の力が要る。力強いリズムで織り上げられることによって、他の産地にはない魅力が出てくる。

    • 渡邊福夫さんの作品(右)

    • 右から袋帯八寸なごや帯男帯四寸単帯小袋帯

    伝統の新しい世界

    織は、根気のいる仕事だ。「汗が出て、くたびれもしますが、仕事と思えば精が出ます」と渡邊さんはいう。糸繰りと糸合わせに2日かけ、織には2日。織り始めると、一気に最後まで織りつづけるのが、うまく仕上がるコツだ。
    渡邊さんは、「粋でおしゃれな博多帯を、若い人たちにももっと使ってもらいたい」と話す。着物は、たしかに一着あたりの値段は高いが、長く着ることができる。体型が変化しても調節でき、子どもに残すこともできる。
    博多織協同組合では、博多織の良さを若い人たちにも知ってもらおうと、インターネットを使った製品の販売をスタートさせた。組合のホームページ上で、博多織の製品を購入できる仕組みだ。伝統と時代の最先端をうまく連携させながら、博多織は今日も進化を続けている。

    「おしゃれな博多帯をぜひ若い人にも使っていただきたいですね」

    こぼれ話

    献上の博多織

    今から約750年前、博多の商人・満田弥三右衛門が聖一国師という僧とともに中国(当時の宋)に渡り、織物の技術を博多へ持ち帰ってきました。伝統の紋様は、弥三右衛門が聖一国師に依頼してデザインされたものです。インドの護身用の武具で、煩悩を破砕し菩提心を表わす象徴とされている「独鈷(どっこ)」を押した「独鈷柄(どっこがら)」と呼ばれる図案や、仏に供養するために花を散布するときに用いる「華皿(はなざら)」の図案が取り入れられています。約370年前(江戸時代)、当時の筑前藩主・黒田長政は、幕府の献上品として博多織を選びました。献上は方帯の図案には、独鈷と華皿に加え、太い二本の線の間に細い線をあしらった「中子持」、太い一本の線を細い二本の線で挟んだ「両子持」の柄で、日本古来からの親子の情愛を表現しています。

    • 博多帯の伝統の図柄

    • 独鈷と華皿

     

     

概要

工芸品名 博多織
よみがな はかたおり
工芸品の分類 織物
主な製品 帯、小物、ネクタイ、ドレス生地、インテリア製品
主要製造地域 福岡県/福岡市、甘木市、太宰府市、大野城市他、佐賀県/唐津市他
指定年月日 昭和51年6月14日

連絡先

■産地組合

博多織工業組合
〒812-0023
福岡県福岡市博多区奈良屋町5番10号
博多織会館内
TEL:092-409-5162
FAX:092-409-5086

http://hakataori.or.jp/

■関連展示場・施設

特徴

「献上博多」に代表される平織(ひらおり)は優美華麗なあでやかさを、紋織(もんおり)は繊細緻密な織柄と見事な色合いを見せています。博多帯は締めやすく、締める時の「キュッキュッ」という絹鳴りは博多織ならではのものです。

Hiraori, represented by Kenjo-Hakata, shows a fascinating brilliance while Mon-ori shows a delicate and dense pattern with magnificent color. Hakata obi (sash) is easier to wear and makes unique pleasant sound on tightening.

作り方

糸は先染めで、手機、力織機で製織します。絵柄は予め織物設計のときに決められ、この設計に従い、経糸を綜絖(そうこう)に引き込み、次に筬(おさ)通しを行います。そして、この経糸に緯糸を組み合わせて博多織を作ります。

The fibers are dyed beforehand, and woven by either hand or machine. According to a pattern which is designed beforehand, warp thread is drawn into the heald and passed through into the reed. Then the warp thread and the weft thread is woven to create Hakata Ori.