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TRADITIONAL CRAFTS

与那国織Yonaguni Fabrics

与那国島は日本の最西端にある国境の島です。この島に生まれた織物の歴史は古く、古い文献からおおよそ500年の歴史があると考えられています。
16世紀前半には既に貢ぎ物として納められていたであろうと考えられます。戦後、糸が入手しにくい頃には、漁業の網を解いて布を織っていました。

Situated on the extreme western boundary of Japan, records show that weaving on Yonaguni Island dates back some 500 years, and cloth was already being paid as a tax during the 1520s. During the difficult times after World War II, fishing nets were unraveled to provide yarn for this cloth, which is still woven by the women, who devote so much time producing this cloth that is very representative of the island's natural environment.

Some of the cloth is made up into formal kimono which are restrained and undemonstrative in character, represented by the itahanaori shidati and Yonaguni hanaori. The yarn dyed, plain woven traditional cloths are used for everyday kimono that have an appealing simplicity springing from the environment in which they are woven coupled with the sincerity of their makers

  • 告示

    技術・技法


    与那国ドゥタティにあっては、次の技術又は技法により製織されたしま織物とすること。

     
    (1)
    先染めの平織りとすること。

     
    (2)
    よこ糸の打ち込みには、「手投杼」を用いること。

     
    (3)
    かすり糸を使用する場合には、かすり糸の染色法は、「手くくり」によること。


    与那国花織にあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。

     
    (1)
    先染めの平織りとすること。

     
    (2)
    よこ糸の打ち込みには、「手投杼」を用いること。

     
    (3)
    紋は「花綜絖」を用いて表わすこと。

     
    (4)
    かすり糸を使用する場合には、かすり糸の染色法は、「手くくり」によること。


    与那国カガンヌブーにあっては、次の技術又は技法により製織されたかすり織物とすること。

     
    (1)
    先染めのたてうね織とすること。

     
    (2)
    よこ糸の打ち込みには、「手投杼」又は「板杼」を用いること。

     
    (3)
    かすり糸の染色法は、「手くくり」によること。


    与那国シダディにあっては、次の技術又は技法により製織された紋織物とすること。

     
    (1)
    先染めの平織物とすること。

     
    (2)
    よこ糸の打ち込みには、「手投杼」を用いること。

     
    (3)
    紋は、「花綜絖」を用いて表わすこと。

    原材料

    使用する糸は、絹糸、綿糸、麻糸又は芭蕉糸とすること。

  • 作業風景

    与那国織には平織のドゥタティとカガンヌブー、染めた緯糸を織り込んでいくシダティなどがありますが、ここでは与那国花織の工程を見ていきます。花織は紋織の一種で、小さな花模様が浮き出ています。格子縞の平織に赤や黄色の花糸を織りこみます。分業ではなく、デザインから織りまでの工程を一人で行います。

    工程1: デザイン

    方眼紙に図案を描きます。8つの小さな四角い点で花を描くダチンバナ、点が5つのイチチンバナ、4つのドゥチンバナが基本の花柄です。これを格子縞の中に配置するのが与那国らしい模様です。

    工程2: 絣括り(かすりくくり)

    絹糸を横に張り、染めたくない部分を木綿糸で括っていきます。木綿は水分を吸うとしまって染料がしみ込みにくくなります。

    工程3: 染色

    染料は島に自生している植物が中心です。黄色が出るフグン(フクギ)、茶色のティグティ(シャリンバイ)、ベージュや黒のカサギ(アカメガシワ)、インド藍などを使います。泥染めもします。

    工程4: 糸繰り

    糸を使いやすくするため、綛(かせ)糸をボビンに巻きます。

    工程5: 整経

    織り幅と着尺の長さを整える作業です。経糸の本数と長さを引きそろえます。

    工程6: 仮筬(かりおさ)通し

    整経した糸を織りたい幅の筬に通していきます。上糸と下糸の2本をひと組にして筬の目に通します。

    工程7: 経巻(たてまき)

    筬を通した糸を引っ張って整え、巻いていきます。張力が均一になるように気を配ります。

    工程8: 綜絖(そうこう)通し

    筬をいったんはずして、綜絖に通します。糸を1本ずつ前後に分けて通していきます。これで経糸の間に緯糸がきれいに入ります。

    工程9: 花綜絖がけ

    花綜絖に糸を通します。ここで花織の模様が決まります。

    工程10: 織り

    花綜絖を上げ下げしながら織っていきます。通常、1~2カ月で一反を織り上げます。

     

  • クローズアップ

    今も暮らしの中に息づく与那国織

    晴れた日には台湾が見える与那国島は、周囲27キロ、日本の最西端に位置している。女性の米寿のお祝いに糸巻きを配る習慣のあるこの島では、ゆったりとした時間の中で個性的な織物が作られていた。

     

    30人の女性が思い思いに織る布

    与那国織というのは、与那国花織、ドゥタティ、シダティ、カガンヌブーの総称である。外国語のように響く布のひとつひとつを、崎元徳美さんに教えてもらった。崎元さんは、衰退していた島の織物を復興させた徳吉マサさんの孫にあたる。沖縄本島にある県の工芸指導所で2年、同じく本島の南風原町で琉球絣を3年経験し、与那国に戻ってきた。今、島では30人の女性が染織に取り組んでいる。崎元さんを筆頭に、20代後半から30代の若い女性も活躍している。デザインから、染め、織りまでを一人が担当し、自分のペースで進めていく。

    織り込まれる花の色は台湾から

    最もたくさん織られているのは与那国花織である。代表的な柄は、白と黒の格子縞の中に赤と黄色の「花」が入っているもの。花というのは小さな四角い点の集まりで、サイコロの5の目のように並べたり、ひし形に配置したりする。点の数によって、ダチンバナ(8つ)、イチチンバナ(5つ)、ドゥチンバナ(4つ)と呼ばれる。
    白と黒は島に古くからある色だが、「赤や黄色は旅から入ってきたんです。」と崎元さんはいう。「旅」というのは、島の外に行くことの意味だ。台湾に行った人が持ち帰った帯をほぐして、赤や黄色の糸を織りこんだのが始まりだった。台湾は、本土はもちろん沖縄本島に比べてもずっと近いところにある。昔から関係は深く、70歳以上のほとんどの人は仕事や勉強で台湾に行った経験を持っている。
    赤と黄色の花を黒が引き締める花織は、可憐で、しかも落ち着いた趣きだった。

    • 花と縞を組み合せてさまざまな柄を作る

    • 伝統柄がたくさん詰まった図案帳

    • 織った布を記録しておく。これは花織

    島中の人に愛されてきたドゥタティ

    沖縄の織物の産地では、地元の人がその織物を着ている光景を見ることはめったにない。ほとんどは本土で販売されるからだ。そんな中、島内消費が9割を超えるのが「ドゥタティ」である。苧麻(ちょま)から績んだ糸や綿で織る、白黒青の格子柄の着物。もとは畑仕事をする野良着だった。男女の別はなく、黒いえりが付いた筒袖。丈はふくらはぎまでしかない。一反で2着作れる経済的な着物である。
    中でも最も一般的な「ゴバンドゥタティ」は、ギンガムチェックだ。「よく、これは流行柄?ときかれてくやしい思いをするんです。与那国の伝統柄なんですよ。」と崎元さん。
    旧暦6月の豊年祭のときには、島の人は皆、この着物に身を包む。ベビー用もあり、遠く離れている孫のために買う人も多い。
    ドゥタティには「カガンヌブー」という細い綿の角帯をしめる。沖縄のほかの地方ではミンサーと呼ばれる、絣模様が入った綿の細帯である。

    ドゥタティとカガンヌブー姿の崎元徳美さん

    旅の無事を祈りながら織るシダティ

    最後の「シダティ」は、沖縄本島ではティサージと呼ばれる手ぬぐいのこと。白い木綿の地に7色の糸が織りこまれている。旅に出る人の無事を祈って贈ったもので、今でも人が亡くなると、これで鉢巻をして棺に納める。死者が女性のときはより美しく結ぶ。
    崎元さんに織物作りの魅力をきくと、「私は織っているときが好きです。布に仕上がっていくのが楽しい。」という。現在は、絹、綿、苧麻が使われているけれど、「島にあるほかの素材を使ってみたいですね。ヨナグニサン(天然記念物の蛾)のまゆ、リュウゼツランなど、過去に試されているものもありますが、新しいものを見つけたい」と抱負を語ってくれた。

     

    シダティ。下に敷いたのはゴバンドゥタティ

    職人プロフィール

    崎元徳美 (さきもとさとみ)

    1967年生まれ。県の工芸指導所などで沖縄各地の染織を学び、与那国織に取り組む。

    こぼれ話

    植物の中でも体にいいものしか使わない

    与那国織では島に自生している植物を染料に使っています。黄色が出るフグン(フクギ)、茶色のティグティ(シャリンバイ)、ベージュや黒のカサギ(アカメガシワ)、インド藍……。ハイビスカスを枝ごと使ってうすい緑色を出すこともあります。
    ほかの島と同じ植物を使ってもこの土地の色に染まります。シャリンバイは、沖縄本島では茶色ですが、ここではピンクがかった色になります。
    「水のせいではないかといってるんですよ。ここの水は石灰分が多いので。」と崎元さんはいいます。
    染めも織りも一人でやるため、染めの材料は自分で島の中から探してきます。人によってやり方や回数が違うので、同じ色になることはないそうです。
    「私たちは身近にある草木で、食べても大丈夫なものしか使いません。煮出す人にも、着物を着ける人にも悪くないように。」ガジュマルの葉はヤギが喜んで食べるから大丈夫。そう考えるやさしい人たちの手で与那国織は作られています。

    • 染める崎元さん。小豆を炊くようなよい香り

     

概要

工芸品名 与那国織
よみがな よなぐにおり
工芸品の分類 織物
主な製品 着物地、帯、飾布
主要製造地域 沖縄県/八重山郡与那国町
指定年月日 昭和62年4月18日

連絡先

■産地組合

与那国町伝統織物協同組合
〒907-1801
沖縄県八重山郡与那国町与那国175-2
与那国町伝統工芸館内
TEL:098-087-2970
FAX:098-087-2973

http://www.yonaguniori.org/

■関連展示場・施設

特徴

与那国織は、紋織物の板花織シダティや優美さを秘めた与那国花織、人々の日常着として今に伝わる平織物のドゥタティ、うね織物のカガンヌブー等、風土と人々の真心によって染め織り上げられた、素朴な手作りの一品です。

Yonaguni Ori is a rustic fabrics woven and dyed by hands of the people of Yonaguni. There are varieties such as patterned sidati and magnificent hana-ori, plain woven dutati for daily clothes and ridged kagan’nubu.

作り方

糸の精練(せいれん)→糸染め→糸巻き→整経→糊張り→縞割り→仮筬通し(かりおさとおし)→経巻き→縞割りの確認→綜絖通し(そうこうとおし)→(花綜絖通し)→筬通し→織り付け→柄出し→製織→洗濯→検査→製品となります。

Threads are scoured, dyed, spooled, warped, glued, arranged for stripes, provisionally sleyed, taken up, confirmed, heddled through including hanasoko, sleyed, gaited, patterned, woven, washed, inspected and then become products.

産地からの声

織物は女の文化、ここ与那国でも島の自然と織女たちの遙かな時を織り込んでいます。