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TRADITIONAL CRAFTS

伊万里・有田焼Imari-Arita Ware

16世紀末の豊臣秀吉による朝鮮出兵に参加していた佐賀藩主が、朝鮮から連れ帰った陶工の李参平によって、有田泉山に磁器の原料である陶石が発見されたのが伊万里・有田焼の始まりです。
このとき焼かれたものが、日本で最初の磁器であると言われています。
現在、伊万里・有田焼と呼ばれている磁器は、当時伊万里港を積み出し港としたため、伊万里焼とも呼ばれました。青一色で絵付けをした染付から、色鮮やかな上絵付けをしたものまで、色々な表現があります。その様式には古伊万里、柿右衛門、金襴手、鍋島等があり、とりわけ柿右衛門様式や、古伊万里様式の磁器は、その美しさでヨーロッパの人々を魅了しました。伊万里・有田焼は、江戸時代にオランダ商館を通じて大量に輸出されました。

The origins of Imari-Arita ware date back to the end of the 16th century when the Saga clan, which had been involved in Toyotomi Hideyoshi's campaigns in Korea, brought back the potter, Li Sanpei who discovered porcelain stone at Mount Arita Izumi, in northern Kyushu. The porcelain that was subsequently made there was the first to be produced anywhere in Japan and was originally called Imari ware, simply because it was shipped through the port of Imari.

There are a number of different qualities ranging from a simple blue and white ware to pieces over-glazed with brilliant colors. Out of the number of styles including Koimari, Kakiemon, Kinrande and Nabesima, it was the beauty of the Koimari and Kakiemon porcelains which really appealed to people in Europe. In fact, during the Edo period (1600-1868), large quantities of Imari-Arita ware was exported through the trading facilities retained exclusively by the Dutch in Japan.

Today as in the past, many fine pieces of Japanese and Western tableware are being produced along side some decorative items. Inevitably, however, it is the brilliance of the enamels and the beautiful white surfaces as well as its practicality, which continue to characterize Japan's most famous porcelain. There are now 159 firms employing 2,886 people among whom there are 72 government recognized Master Craftsmen maintaining the heritage of this ware.

  • 告示

    技術・技法


    成形は、ろくろ成形、押型成形、型打ち成形、「手ひねり成形」又は素地がこれらの成形方法による場合と同等の性状を有するよう、素地の表面全体の削り整形仕上げ及び水拭き仕上げをする袋流し成形若しくは「二重流し成形」によること。


    素地の模様付けをする場合には、彫り、櫛目、イッチン、面取り、はり付け、盛り上げ、とびかんな、編み上げ手、ほたる手、布目、印花又は化粧掛けによること。


    下絵付けをする場合には、線描き、だみ、つけたて、「吹墨」、はけ引き、墨はじき、掻き取り又は布目によること。この場合において、絵具は、「呉須絵具」、「釉裏紅」又は「銹絵具」とすること。


    釉掛けは、浸し掛け、流し掛け又ははけ掛けによること。この場合において、釉薬は、「石灰釉」、「柞灰釉」、「青磁釉」、「鉄釉」又は「瑠璃釉」とすること。


    上絵付けをする場合には、線描き、だみ、はけ引き、漆まき又は箔張りによること。この場合において、絵具は、「和絵具」又は「金銀彩絵具」とすること。

    原材料


    はい土に使用する陶石は、天草陶石、泉山陶石又はこれらと同等の材質を有するものとすること。


    青磁釉に使用する陶石は、泉山青磁石、大川内青磁石又はこれらと同等の材質を有するものとすること。


    箔は、金箔又は銀箔とすること。

  • 作業風景

    有田焼は他の陶磁器と同じく成土→成形→仕上・乾燥→素焼(すやき)→下絵付→施釉(せゆう)→本焼成(ほんしょうせい)→上絵付→上絵付焼成という工程にそって作られます。伊万里・有田焼の場合、これらの工程はそれぞれに卓越した職人が分担して行うことが大半です。

    工程1: 成土

    泉山陶石および天草陶石を、露天掘、坑道掘作業によって採掘し、陶石を選り分けます。陶石を粉砕し更に微粉にします。水簸(すいひ:土粒子の大きさによって水中での沈降速度が異なるのを利用して、大きさの違う土粒子群に分ける操作)することにより粘性が増し、陶石中の鉄分や珪酸分といった不純物を除去します。成形しやすい粘土に仕上げるため、余分な水分を除き、適当な固さの陶土を作ります。

    工程2: 成形

    陶土の粒子や水分を均一化し、陶土内の気泡を完全になくすために土こねを行います。この工程が不十分だと成形後「キレ・ヒズミ」の原因となります。ロクロ成形の場合と鋳込み成形や機械ロクロ成形、ローラーマシン成形等があります。

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    工程3: 仕上・乾燥

    生乾きの成形品を、最終的な製品の形に完成させます。製品に応じて、高台削り、外削り、つまみ作り、縁仕上げなどがあります。さらに絵付・施釉工程での処理をスムーズにするため、器の表面を布などでていねいに水拭きし、なめらかにします。生製品の乾燥を急激に行なうと、収縮時にキレ・ヒズミが生じます。製品は皿板に並べ、陰干し、天日乾燥など、それぞれに応じた乾燥が必要になります。

    工程4: 素焼

    器物や窯道具の損傷を防ぐため、窯内の温度は徐々に上げ約850~950度で焼成します。冷却時も急激な温度変化による破損を防ぐため、徐々に冷やします。製品を窯から出し、選別します。

    工程5: 下絵付

    絵具の配分調合は陶画工の大切な仕事のひとつです。線描き(絵模様の輪郭部分)と染付ダミ(線描きの中の染付の濃淡部分)の絵具があり、乳ばちなどで摺り調製します。下絵付けには酸化コバルトを主成分とする呉須が多く使われます。絵付けは素焼の表面に直接筆で描くため、かなりの熟練を要します。線描きの運筆、筆致で製品の優劣がきまるとさえいわれます。ダミの手法もこの工程で行われます。

    工程6: 施釉

    釉薬とは陶磁器表面を覆う薄いガラス質のことで、長石、石灰石、硅石、柞灰などを精製して作ります。小さな製品は、よく混ぜた釉薬槽の中に浸します。大きな製品は、チョッパゲという道具で上から流しかけたり、スプレーがけをします。施釉面を平均化するため、たいらにします。高台の釉薬は本焼成時に棚板に付着しないよう、けずり又はふきとります。

    工程7: 本焼成

    焼成は、熟成させ磁化させることにより白磁の美しさを表現するもので、焙り焚き、攻め焚き、揚げ火などの焚き方を経て約1300度まで温度を上げます。
    本焼きのままで製品となるものは、白磁、染付、青磁、瑠璃などで、その他のものはさらに上絵付け工程へとつづきます。

    工程8: 上絵付

    上絵には、赤、黄、緑、黒、金、銀など多くの絵具を調製します。上絵付けは釉上に絵具で絵付するもので、絵模様の輪郭を描く線描きとダミの組合せがあります。絵付けのあと、絵具の定着をよくするために760~830度の低温度で焼きつけます。上絵付まで施して完成したものが、上絵(赤絵)や染錦と呼ばれるものです。その後に選別され出荷されます。

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  • クローズアップ

    純粋な気持ちを器に託して~伊万里・有田焼

    透明感ある白く美しい色合いと澄んだ金属音。焼物の中で最も高貴で、陶芸で到達しうる最高級品と言われる磁器、有田焼。手描きの絵柄にこだわった窯元「しん窯」に勤める若き下絵付け職人にその魅力を聞いた。

     

    人生を決めた瞬間の感動

    しん窯の職人、橋口博之さんは有田の伝統工芸士では最年少だ。この仕事を選んだ理由を尋ねてみた。「それはもう、よく覚えてますよ。たしか小学校五年生の時です。授業で焼物の時間があって花瓶を作りました。泥色だったものに釉薬をかけて焼くと、緑と白の美しい色に変わったのに感動しました。その作品で学童美術展に入選したこともあり、自分がデザインしたものが形として残ることに興味を持ち、また、認められたという喜びを感じました。地元の有田工業高校のデザイン科を卒業し、今の職場に決めたのは手描きにこだわっている点に惹かれたからです。」

    橋口さんは終始穏やかな笑顔だった

    器はチームワークの賜物

    焼物にはさまざまな工程がある。陶石を掘る、土をこねる、ろくろを回す、絵を描く、窯に入れるなど。橋口さんが携わっている絵付けというのは有田焼を作る工程の一部分にすぎない。だからこそ各工程に携わるすべての人々、すべての物事への感謝の気持ちがないと素晴らしい器はできないという。「フォルムを作る人や焼成する人たちと切磋琢磨して成長してきました。その結果として作陶展で入選したときは嬉しかったし、作った器をお客様が買ってくれて、大切にしてくれていることは励みになります。器を中心にして対話が生まれるところにこの仕事の魅力を感じています。」

    器は人なり

    「紅毛人」という人形が描かれた食器をしん窯では作っている。その表情には描く人の心が出るそうだ。「悲しいこと、辛いこと、苦しいことがあると、それがそのまま出てきます。平常心で穏やかに過ごしていなければ、表現力のある生きた線を描くことはできません。」
    表現力のある線とは細い中にも力強さのある線だという。「目標としている藤井(陽滋さん、しん窯に勤める伝統工芸士)の作品は、力強い中にも繊細さがあります。それに比べて私の作るものは堅いと感じます。構図、線の動き、消費者の気持ちと購入価格まで考えたデザイン、ものづくりという点でまだまだかないません。」

    • 絵付けには様々な太さの筆が使われる

    • 紅毛人の表情には作者の心情が表れるという

    ようやく自分らしさが見えてきた

    職人として下絵付けを始めて18年という橋口さん。「ようやく自分のめざす道、自分らしさがわかってきました。私の作品は線が細いためか『女性が作られたんですか?』とよく言われます。『可愛いね』『優しいね』と言われますが、それはやはり嬉しいですね。人間に対して使うときもほめ言葉ですから。」
    最近は自分の力を試されるような企画が多いという。「作陶展に出品するものや、大きな作品に向かい合うたびに、大きな山を越えていくような気持ちで取り組んでいます。その中で一番大切なことは謙虚で素直な気持ちではないでしょうか。」

    大作に下書きをしている。隣は藤井さん

    器を通して人と語り合えるような作品を

    橋口さんにはたくさん夢があるという。「まず会社からいえば、工場の内外に百人くらいが動き回っていてほしいですね。そして個人的には腕を磨くこと。自分の好きなものや、こういう世界が好きだ、というものがやっとわかってきましたが、恥ずかしながらまだ漠然としていて、具体的な形は見えていません。しかしそれは仕事やお客様との語らいを通して見えてくるのではないか、と楽しみにしています。
    私の目標は、器を通して人と語り合えるようなもの、純粋な気持ちを器に託してそれが人に伝わるようなものを作りたい、ということです。大きくても小さくても奇抜でも人に喜んでいただけるような器、その器があることで周りの空気がピンと張りつめるような器、『このお皿に料理を盛りつけたら、料理が栄えて美味しかった』と言われるような器を作りたいですね。」

    • 細やかな線を巧みに描き出す橋口さんの手元

    • 完成した作品は繊細で美しい

    職人プロフィール

    橋口博之 (はしぐちひろゆき)

    地元の有田工業高校を卒業後、しん窯で下絵付職人として従事。

    こぼれ話

     

     

概要

工芸品名 伊万里・有田焼
よみがな いまり・ありたやき
工芸品の分類 陶磁器
主な製品 和洋食器、装飾品
主要製造地域 佐賀県/伊万里市、武雄市、嬉野市、西松浦郡有田町
指定年月日 昭和52年10月14日

連絡先

■産地組合

佐賀県陶磁器工業協同組合
〒844-0026
佐賀県西松浦郡有田町外尾町丙1217
TEL:0955-42-3164
FAX:0955-43-2917

http://www.aritayaki.or.jp/

■関連展示場・施設

特徴

伊万里・有田焼は、白く美しい磁肌や華やかな絵付け、食器としての使いやすさや丈夫さがその特色です。

Imari Yaki and Arita Yaki are porcelains known by its beautiful white texture, glamorous paintings and also usability and durability as tablewares.

作り方

陶石を砕いて粉状にし、水を加えて粘土にします。この粘土でろくろや型を使って形を作り、低い温度で素焼をします。絵具で下絵付けを施し、釉薬(ゆうやく)を表面に掛け、窯で1300度ぐらいの高温で焼き上げます。多色の色絵を付けるときは、焼き上がったものにさらに上絵を描いて焼きます。

Crushed powder of pottery stone is mixed with water to make the clay. The clay is molded or wheel-throwed into a shape and biscuit-fired at low temperature. It is baked again with high temperature (around 1,300℃) in the kiln after painting and glossing are applied. When creating a multi-colored painting, it will be repeatedly baked after applying each color.

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