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TRADITIONAL CRAFTS

加茂桐簞笥Kamo Paulowina Chests

19世紀の初めに大工が製作したものが、加茂桐簞笥の始まりと伝えられています。箪笥の裏板に「文化11年(1814年)購入」と記された箪笥が現在でも市内で使用されています。
昭和の初めに「矢車塗装(やしゃとそう)」が開発されて、現在の桐箪笥のデザインが完成しました。加茂では全国の桐箪笥の70%を生産し、北海道から九州まで広く全国に出荷しています。

It seems that the making of Kamo Kiri Tansu began with one made by a carpenter in the early part of the 19th century. The very same chest is still being used in the city of Kamo today and it is inscribed on the back with ""Purchased 1814"".
In 1928 the yashatoso--a type of finishing varnish--was developed and the present design and style of the Kamo Kiri Tansu was completed. Nowadays, 70% of all paulownia chest made in Japan come from Kamo and are shipped all over the county.

Paulownia is a light colored wood with a sheen, a real sense of quality and a beauty that is likened to silk. The light colored quarter-saw boards of these chests look as though they have been lightly streaked with brown and the gain of this timber has a beauty unmatched by any other furniture. With perfectly fitting draws, they open and close easily, protect their contents from extremes of temperature, and offer long lasting projection.

  • 告示

    技術・技法


    乾燥は、自然乾燥によること。


    使用する板材は、無垢板とすること。この場合において、板材の厚さは、天板、側板、たな板及び束板にあっては19ミリメートル以上とし、地板、裏板及び引出しの底板にあっては7ミリメートル以上とすること。


    側板に対する天板及び地板の接合は、前留めとし、5枚組以上の組み接ぎ木くぎ打ち又は11枚組以上のあり組み接ぎにより、たな板の接合は、端止め小孔ほぞ接ぎ、かぶせ面小孔ほぞ接ぎ又は剣留め小孔ほぞ接ぎによること。


    引出しの部材の接合は、包み打付け接ぎ、組み接ぎ、あり組み接ぎ又は包みあり組み接ぎによること。


    とびら又は引戸を付ける場合には、次の技術又は技法によること。

     
    (1)
    板物にあっては板材の厚さは、19ミリメートル以上とし、部材の接合は、端つぼめ又は留形本ざねほぞ端ばめ接ぎによること。

     
    (2)
    枠物にあっては板材の厚さは、枠の部材にあっては19ミリメートル以上、鏡板にあっては7ミリメートル以上とし、部材の接合は、留形やといざね接ぎによること。


    側板と足との接合には、「縫いくぎ」を用いること。


    仕上げは、「うづくり」を用いる「みがき」及び「やしゃぶし着色」をした後、「ろうみがき」をすること。

    原材料


    木地は、キリとすること。


    くぎは、ウツギ製又はこれと同等の材質を有するものとすること。


    金具は、銅、銅合金又は鉄製とすること。

     

  • 作業風景

    加茂桐箪笥では特に細かな加工が多くあります。素材の桐板を作るだけでも、何枚かの板をはぎ合わせて立派な1枚板に仕上げ、しかも表裏の柾目を特殊な技法で合わせてむく板の味わいを出すなど、極めて手間暇のかかる工程がとられています。さらに、加茂桐箪笥では、鉄釘を一切使わない組接ぎ、ホゾ接ぎ、木釘などの各種接合技法の伝統も守っています。塗りは比較的シンプルにおさえ、機能性を重視しながらも、淡黄色の桐本来の木肌美を生かすようにつくられています。

    工程1: 造材

    加茂の桐箪笥は他の産地と違い、原木を製造する所から一貫作業で行う為、材料の選定が容易です。伐採後、約3年間の天然乾燥を行い、これによって桐材の渋抜きがされ製品に変色や狂いが生じません。
    桐材は他の樹種と比較して成長が早く、樹高は一年目で4~5メートル程になります。ただ、成長が早ければ枝も大きくなり、軟らかい木材のため害虫がつきやすく傷になりやすいという面もあります。そのため無傷の桐はほとんど皆無で、1本の桐のうち3分の2が難材、良材は3分の1程になります。その少ない良材を最大限活用するために、製材の際には細心の注意と熟練が要求されます。

    工程2: 木取り

    各部材は適材適所に選別され、経験を積んだ職人が、木目合わせと色に気を配りながら同質の材をより分け組み合わせていきます。
    この工程では、何枚かの桐板をはぎ合わせて1枚の板がつくられます。このとき、一直線に柾目の通ったむく板に見えるように「木目直し」という加工を施します。これは、柾目にそって薄く割った木材を、芯になる木材の両面に何枚かずつはり合わせていくという作業です。このようにして、表柾材、裏柾材、芯材をつくり、それらを合わせて各部材をつくっていくのです。

    工程3: 組立て

    加茂の桐箪笥は木釘を打ち込む独特な伝統技法で堅牢に組み立てられ、本体が仕上げられます。
    接合方法としては、組接ぎやホゾ接ぎなどが挙げられます。木釘以外にも、側板と足の部分との接合には縫い釘という10センチくらいの両端のとがった竹釘が用いられます。

    工程4: 引き出し(盆)扉加工

    引き出しや扉はカンナで調節しながら、すき間なく本体に入れ込みます。
    引き出し(盆)づくりは、前板の仕込みからはじまります。引き出しの前板を、入れ込む予定の棚板に寸法を合わせ、すき間のないようにカンナでならしていきます。同じようにカンナで調整された側板と向板(引き出しの奥の部材)は、木釘などを使用して箪笥本体と同じ技術で組み立てられます。

    工程5: 塗装

    木地を調整してからうづくり(藁を棒状に束ねた、たわしのようなもの。木材、ことにキリの表面を仕上げるときに使用)かけをし、木目を立てます。その上に砥の粉と夜叉の実の混合液で何回か刷毛塗りします。自然乾燥した後、木目に沿って蝋を均一にかけ、仕上げます。砥の粉と夜叉の実の混合には、職人の勘と熟練により大変な技術を要します。また、刷毛使いなども3年以上経験しないと一人前になれません。

    工程6: 金具付け

    桐箪笥の表情は金具のデザインで大きく変わります。ベテランの職人の手で慎重に、引き手金具、蝶番、錠前がとりつけられ、箪笥が完成します。

     

  • クローズアップ

    木肌のやさしさをそのままに 加茂桐箪笥

    美しい柾目に描き出された桐の表情。自然のぬくもりの中に凛とした趣を漂わせ、歳月とともにその深みを増していく。桐箪笥を見ているだけで、不思議と姿勢を正したい気持ちになるのは、日本人の心が呼び起こされるからなのだろう。

     

    箪笥の街並、加茂市

    加茂の街並を歩けば箪笥店が並び、少し足を伸ばせば点在する材木店の風景をあちらこちらに見ることができる。加茂市の周辺はもともと天然桐が豊富で、桐箪笥の歴史は200年もの昔からはじまっている。今でも地場産業としてしっかりと加茂の地に根づいている。桐の美しい木目と木肌のぬくもりを生かした風合いが加茂桐箪笥の特徴だ。

    美しさと実用性を兼ね揃えた桐箪笥

    館農義明さんは、加茂市で桐箪笥を作り続けて約50年になる。伝統工芸士の制度ができて初めての認定を受けた方だ。箪笥の製作現場に入ったとたんに桐の香りに包まれる。桐箪笥づくりで第一に譲れないポイントが原材料だ。良質の桐を約3年間じっくりと天然乾燥して使用する。「乾燥が不十分だとアク(渋み)が残って、赤く変色してしまいます。乾燥といっても雨にもさらすんです。水にあてなければアクは出ません。天気半分水半分といきたいところだけど、なかなかそうもいきませんね。」天然乾燥させた桐は、見た目では黒く変色しているが、カンナをかければすぐに本来の白い木地が顔を出す。長い年月を経て渋抜きされた桐材は変色だけではなく、狂いも生じなくなる。
    第二に、ひとつひとつ丹念に仕上げる手づくりの妙技。職人の技が特に必要とされるのが、最終工程における正面の「仕上げ」である。手カンナで削って箪笥の表面を整えていくこの作業は熟練した微妙な力加減が必要なため「機械に置き換えるのは不可能ですね。」とのこと。「桐は柔らかいゆえに傷つきやすいという面を持っています。作業で一番緊張するのは、やはり“仕上げ”の時ですね。」引き出しや扉の引っかかりをカンナで微妙に削って、すき間ができないように本体に入れ込んでいく。この高い密閉性も桐箪笥の特長の一つだ。湿気を桐自体が吸収することで膨張し、衣類を湿気から守ってくれる。また、桐箪笥は古くなったとしても表面を少し削れば新しい木肌が現れるため、いつでも美しい桐の色を再現できる。そして、加茂桐箪笥の特徴の一つである木釘を使用していることが、この“箪笥のクリーニング”に一役買っている。「桐箪笥は表面が汚れても、木釘ごとカンナで削ることができるんです。金釘を使ってしまうとそうはいきません。しかも金釘は錆びますし、抜く時にも柔らかい木地に傷をつけてしまいます。」

    天然乾燥され箪笥になるのを待つ桐材。加茂では屋外にたてかけられた桐材をよく目にする

    一人前になるための三拍子

    満足した箪笥を作れるようになったのは、仕事をはじめて4年ほど経った頃です、と館農さんは言う。十代の頃から桐箪笥づくりを始めた館農さんは、20歳になって会社からカナモノ(道具類)一式を手渡され、はじめて箪笥一本を任されるようになる。桐箪笥づくりに使う道具は、カンナだけでも20~30種類にも及ぶ。「手加工なので、同じ箪笥を作ることはできませんし、同じ箪笥などありえません。なにしろ、日によってカンナの調子も使う木も違うわけですからね。そうは言っても、高い品質の箪笥を作らなければなりません。それにはやはり職人の勘というものが必要になります。」「カンナの切れ、仕上がりのきれいさ、能率の良さ、この三拍子が揃えば一人前ですね。」と、長年に渡って技術性の高い桐箪笥づくりを手がけてきた館農さんからは自信と誇りがひしひしと伝わってくる。昔、女の子が生まれると桐の苗木を植え、嫁ぐ日にはその桐で嫁入り箪笥をつくる風習があった。ライフスタイルの洋風化が進み消費者の生活環境が変化した現代でも、結婚を機に桐箪笥を購入する人は少なくない。「自分が手がけた箪笥とともに幸せな生活を送って欲しいですね。」そう思いながら箪笥を製作しているのだと館農さんは言う。

    館農さんの作業場。長年使い込まれた道具類が無造作に置かれている

    箪笥への意欲は薄れず

    素材の桐板を作るなど、極めて手間暇のかかる様々な工程を経て、あの気品漂う木肌のぬくもりが生み出される。時代がどうあれ、桐が日本の収納家具に最も適した材料であることは、これからも変わらない。「一人でも多くの人に桐箪笥が持つ経済性というものを知って頂きたいですね。そして桐の良さを実際に触れて感じて欲しい。この仕事は70過ぎても続けて、もっと技術度の高いものを手がけていきたいです。」と、桐箪笥づくりにかける館農さんの強い意欲はまだまだ続きそうだ。

    引き出しのひき具合がしっかりしているかどうかは箪笥の良し悪しを左右する

    職人プロフィール

    館農義明

    昭和10年北海道稚内市に漁師の家に生まれる。17歳の時に株式会社高橋新吾タンス店へ弟子入りし現在に至る。

    こぼれ話

    桐箪笥の金具の変遷

    加茂から6キロのところに位置する三条市は古くから金物の産地として栄え、今日に至っています。この三条市も以前は加茂桐箪笥に深く関係する都市でした。昭和25年頃までは加茂桐箪笥に使用される金具類は、三条でほとんど生産されていたのです。
    ところが、昭和30年代以降の生活様式の洋風化によって箪笥の需要と生産量が激減していきました。それに伴い、桐箪笥用金具業者も他工具・家庭金物などの製造に転業を余儀なくされました。そのため自然と桐箪笥専門の金具業者は大都市に集約されていき、東京・大阪・京都などでしか生産されなくなりました。この状態は現在でも続いており、三条市で作られる金具の割合はさほど高くはありません。
    金具の形状も時代とともに変わっています。江戸時代末期から明治にかけては重厚を表す大型の鉄金具が用いられていましたが、時が過ぎるにつれ本来の桐材を生かしたものに変わっていきました。金具には小型化と機能性が求められるようになっていったのです。

    • 精巧に細工された金具が桐箪笥の気品をさらに高めます

     

概要

工芸品名 加茂桐簞笥
よみがな かもきりたんす
工芸品の分類 木工品・竹工品
主な製品 箪笥
主要製造地域 新潟県/加茂市
指定年月日 昭和51年12月15日

連絡先

■産地組合

加茂箪笥協同組合
〒959-1313
新潟県加茂市幸町2-2-4
加茂市産業センター2階
TEL:0256-52-0445
FAX:0256-52-0428

http://www.chuokai-niigata.or.jp/kiritansu/ja/

■関連展示場・施設

特徴

キリの木は白く艶があり、上品で絹にたとえられる美しさです。箪笥の柾目(まさめ)は、淡い地色に濃い茶褐色の線を刷毛で掃いたようで、他の家具にない木目の美しさがあります。引き出しの隙間がない上に開け閉めが楽で、湿気や熱から収納物を守り、長期にわたり保護します。

The wood of the paulownia tree used for Kamo kiri tansu have a beautiful white luster with the same sense of quiet refinement as silk. The straight, dark brown wood grain, which looks like it was painted by a brush upon the pale wood, creates an elegant feeling that cannot be found in any other wooden furniture. While the drawers open and close very easily, they form an incredible seal when closed, keeping clothes safe from humidity and heat thanks to the drawer’s great hermetic properties.

作り方

原木は製材・アク抜き・乾燥と3年間手塩にかけた材料です。板組、カンナ掛け、ほぞ組、組立、色付金具等々、すべて手仕事です。ノミ、カンナ等の手工具を用いて作る職人芸は見応えがあります。

The preparation of the wood requires milling, removing the resin, and then drying for nearly three years. The entire assembly process of joining the wooden boards, planing, assembling the mortise and tenon joints, and attaching metalwork decorations is done entirely by hand. It is truly an impressive sight to see the artisans working with hand-tools such as chisels and planes to create a product of such beauty and refinement.

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