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TRADITIONAL CRAFTS

紀州簞笥Kishu Paulownia Chests

江戸時代後期に、落雷によって和歌山城の天守閣等が炎上し、多くの道具類が灰になってしまいました。
その4年後に天守閣を再建した時、同時に、失われてしまった長持等の箱物家具が作り直されたという記述が残っています。また、和歌山県各地の町家からは、19世紀中頃の古文書や箪笥が発見されており、当時すでに武家以外でも婚礼調度品としての箪笥が和歌山で作られていたことがわかっています。

At the end of the Edo period (1600-1868), the tower of Wakayama Castle was destroyed when it was struck by lightening and much of the furniture was burnt to ashes. Records show that when the castle tower was rebuilt four years later, the chests and other cabinets, which had been lost in the fire, were remade. Further more, old books and chests dating back to the mid-19th century have also been discovered in town houses all over Wakayama Prefecture.

Paulownia (Paulownia Sieb. et Zucc.) is highly suited for the making of chests, wardrobes and cupboards, being both soft and light, and possessive of a pale silver beige coloring and an elegant, beautiful grain. Kishu Tansu is also known for its meticulous workmanship and jointing called arihozo.

  • 告示

    技術・技法


    乾燥は、自然乾燥によること。


    使用する板材は、無垢板とすること。この場合において、板材の厚さは、天板、側板、たな板、束板及び地板にあっては19ミリメートル以上、裏板及び引出しの底板にあっては7ミリメートル以上とすること。


    側板に対する天板、地板及びたな板の接合は、次の技術又は技法によること。

     
    (1)
    側板に対する天板の接合は、次のいずれかによること。

     
     

    胴丸型以外のものにあっては、7枚組以上の前留め組み接ぎ、前留めあり組み接ぎ又は包みあり組み接ぎによること。

     
     

    胴丸型のものにあっては、胴付き追入れ接ぎによること。

     
    (2)
    側板に対する地板の接合は、7枚組以上の前留め組み接ぎ又は胴付き追入れ接ぎによること。

     
    (3)
    側板に対するたな板の接合は、胴付き追入れ接ぎによること。


    引出しの部材の接合は、包みあり組み接ぎ、包み打付け接ぎ、あり組み接ぎ又は組み接ぎによること。


    とびら又は引戸を付ける場合には、次の技術または技法によること。

     
    (1)
    板物にあっては、板材の厚さは、19ミリメートル以上とし、芯材の枠の接合は、平留め接ぎによること。

     
    (2)
    枠物にあっては、板材の厚さは、枠の部材にあっては19ミリメートル以上、鏡板にあっては7ミリメートル以上とし、枠の部材の接合は、留形やといざね接ぎによること。


    仕上げは、うづくりかけをし、やしゃぶしを用いる着色をした後、ろうみがきをすること。

    原材料


    木地は、キリとすること。


    くぎは、ウツギ製又はこれと同等の材質を有するものとすること。


    金具は、銅、銅合金又は鉄製とすること。

  • 作業風景

    江戸時代から伝わる紀州桐箪笥。目に見えぬ部分まで気を配った匠たちの想いが桐箪笥を通して伝わってきます。順をおってその繊細な工法をみてみましょう。

    工程1: 造材

    優れた箪笥作りの第一歩は良い桐の原木を選出する事から始まります。樹齢30~60年の年輪の細くそろった桐の丸太は柾目材。その他は板目材に選材します。すぐには加工材にはなりません。半年から2年の間天然乾燥させます。これによってあくぬきがされ、木目の美しさを育てます。

    工程2: 板加工

    長い乾燥期間の後、いよいよ板加工です。箪笥の各部分に合う板をそれぞれの大きさに切断します。扉や引出しの前面に当たる部分は、木目の美しい柾目を張り合わせたものを使用します。木の質を選び、曲がりや節、傷の有無を調べ木取りしていきます。幅2~3cmの柾目の美しい板だけを選びます。そして糊付けし、板をそろえ、しっかりと固定し圧力をかけ一枚の板にします。そして入念に鉋(かんな)がけをして一枚の板になるよう仕上げます。

    工程3: 組立

    ついで各部分ごとに切断された板を組み立てる工程に入ります。まずは「胴」の部分です。垂直に組み合わせる部分に凸凹の切込みを入れ組み立てます。この切りこみを「組みてほぞ」といいます。「蟻型組手ほぞ」や一方から組手が見えない「包み蟻型組手ほぞ」の種類があります。こうして「胴」の各部分(天板、棚板、地板、側板、台輪)を組み立てていきます。念のため本番の組立の前に、仮組調整を行います。裏板のはめ込みは、糊が乾かないうちに素早く木くぎを打ち込みます。打ち込み後、水ぶきをします。くぎを密着させるためと、くぎ打ち跡を復元するためです。そして十分乾燥させてから仕上げ鉋をします。普通のくぎを使わないのは錆びたときのことを考えた上でのことです。木くぎは「ウツギ」という堅い木を使います。桐箪笥一棹に約400本の木くぎが使われています。これで「胴」の完成です。つぎは「引き出し」の部分です。まず「組み手ほぞ」を組む前に、「木殺し」をします。角や面をたたき押さえて、木と木が組みやすくします。底打ちも木くぎ、水ぶき、仕上げ削りとすすめていきます。いかにぴったりと引出しが入っているかよく実験されるのは、一方の引出しを入れると、すでに入っているもう一方の引出しが出てくることです。ほんの隙間もないわけです。つぎは「盆」の部分です。麻ひもで巻いて枠を固定します。底板をはめ込み、木くぎを外側に向けて斜めに打ちます。乾燥させたのち外側を丸くけずって完成です。完成するまでさまざまな部分にあわせて50種類以上の鉋が使われていることになります。

     
     

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    工程4: 仕上げ

    いよいよ仕上げです。まず「うづくり」をかけます。「うづくり」とは「かるかや」の根を麻糸で巻き束ねた小さい帚のようなものです。これで丹念に磨いて木目を出させ美しくします。また着色しやすくします。そしてさらに木目を美しく見せるため、ヤシャブシャの木になる実の煮汁と、砥の粉を混ぜたものを幾重にも塗り重ねます。最後にロウびきをします。そして扉をつけ、引出しを合わせ、最後に金具をつけると完成です。

     

  • クローズアップ

    陽の目を見た伝統工芸へのこだわり、紀州桐箪笥職人の意地

    今ではすっかり最高級品箪笥として定着した紀州箪笥ではあるが、ここまでに至る困難を乗り越えてきたのは、現在、紀州桐箪笥協同組合理事長をされている上中喜代司さんをはじめ、10名の有志の方の努力の結果である。

     

    伝統工芸品認定までの道のり

    機械化への遅れと洋家具の台頭によって昔ながらの桐箪笥の生産は伸び悩んできた。昭和30年頃は、約80社あったメーカーが昭和59年当時は20社に激減した。紀州和歌山の土地柄か、はたまた危機意識が乏しかったのか、のんびりと箪笥作りを行っていた。そんなときこのままでは「アカン」と立ちあがったのが上中さんである。「産地の名前を残すんだ。手作りブランドを確立するんだ。」という決意で伝統的工芸品認定の申請準備にとりかかった。ところが、誰もが箪笥は和歌山市産であることを知っていても、歴史的に証明するものが見つからない。当然あると思っていた証拠がないのである。諦めかけていたとき和歌山県粉河町・曾和家(33代庄屋の家系)から、天保15年(1844)、嘉永6年(1853)、安永3年(1856)の婚礼仕度にかかわる古文書が見つかった。そこにはっきりと「箪笥一本和歌山で買う」と記載されていた。「これが決め手になりました」と上中さんは嬉しそうに話される。ようやく準備から3年を経て紀州漆器に続いて伝統的工芸品の認定を受ける事となった。当時の和歌山県知事「仮谷志良」さんから「ようやった。和歌山の伝統工芸品を2倍にしてくれた。」と言われたことを今でも良く覚えているという。

    紀州桐箪笥

    本物の良さを認めてもらう

    しかしながら認定を受けただけでは売れなかった。自らデパートの展示会で実演をして全国各地を飛び回った。こうした地道な活動が徐々に「本物の紀州の桐箪笥」をマーケットに認識させるに至ったのである。1999年には和歌山市多目的ホールの柿落としに実演として参加したところ、「両陛下から声をかけられ胸がジーンと来た」と喜びを語る上中さん。また「勉強熱心な百貨店の販売員の方にはずいぶん助けられた」と業界内の協力もあったと語る。こうして紀州桐箪笥は一目置かれた存在になり、不況の中でも需要が落ちることなく今に至っている。上中さんの強力なリーダーシップがあってこそ、ここまで続いているといえる。

    作業風景

    厳しかった親方に今でも感謝

    上中さんは53年前、14歳のときに箪笥職人の見習いに入った。そのときについた親方が新宮出身の滝谷庄之助さんだ。厳しい親方の元での修行中こんなエピソードもあった。「私はくぎを打ち損ない、代わりのくぎを打ったのですが、前のくぎを抜くのを忘れました。その後親方がこの板を鉋で削ったのですが、私が忘れたくぎに引っかかり刃が折れてしまいました。すると寸断のまもなく投げられた鉋が、私の目の前を飛んでいったのです。」そんな厳しい親方のおかげで上中さんは、仕事の厳しさと本物を大事にする心を学んだという。その心はこれからも桐箪笥作りに生かされるに違いない。

    桐箪笥と上中さん

    職人プロフィール

    上中喜代司

    昭和8年生まれ。
    14歳のとき弟子入りし箪笥作り歴53年の大ベテラン。紀州箪笥伝統工芸士会・会長、和歌山家具組合連合会・会長、その他役職歴任中。通産産業大臣賞、和歌山県知事賞、等多数受賞。

    こぼれ話

    紀州箪笥あれこれ情報

    紀州箪笥に関係する情報をまとめてみました。
    桐の特性
    桐箪笥のことを語るには、まずは素材となる桐の特性から考えてみる必要があります。特性の一番目は「軽くて木目が美しい」、二番目は「収縮率が小さい」、三番目は「湿気の遮断性を持っている」そして四番目は「熱の伝導率が小さい」ということです。
    桐箪笥の特徴
    桐の特性すなわち桐箪笥の特徴になるわけですが、現実的な特徴をあげてみると次の3つが挙げられます。1.桐の柔らかな質感・色調・木目の美しさは、和洋いずれのお部屋にもマッチし、安らぎと優雅な雰囲気をかもし出します。2.外気に敏感で湿気の多いときには水分を吸い、乾燥時には水分を出す恒湿性をもっているので火災などの場合は水を吸って燃えにくく、「身を焼いて中身を救う」といわれています。3.桐箪笥は伸縮や狂いが少なく、軽くて持ち運びが便利、長年お使いになる収納家具としては最高です。

    • 端正な紀州桐箪笥

     

     

概要

工芸品名 紀州簞笥
よみがな きしゅうたんす
工芸品の分類 木工品・竹工品
主な製品 桐箪笥
主要製造地域 和歌山県/和歌山市
指定年月日 昭和62年4月18日

連絡先

■産地組合

紀州桐箪笥協同組合
〒640-8511
和歌山県和歌山市七番丁23番地
和歌山市 商工振興課工業振興班
藤村様方
TEL:073-435-1233
FAX:073-435-1256

http://www.chuokai-wakayama.or.jp/kishutansu/html/business.html

■関連展示場・施設

特徴

キリ材は、淡い黄色の木肌が上品で美しく、軟らかく、軽いといった収納家具の素材として適した特徴を備えています。和歌山は組手等の工作が細かく正確なことでも知られています。

Paulownia wood has an elegant pale-yellow bark which makes it the ideal material for beautiful, soft, light furniture like dressers, cabinets, etc. Wakayama is renown for very fine and precise handicrafts built with techniques such as kumite joining, etc.

作り方

桐材のアクを抜き、天然乾燥して必要な幅に剥(は)ぎ合わせます。板削りをして箱に組立てるときに、優れた方法として古くから伝わる「蟻ほぞ」等のほぞ作りや溝つきが行われます。こうして本体や引き出し、扉が組立てられると、各部の仕上げ削りが行われます。最後に表面を、天然染料である矢車附子(やしゃぶし)の煮汁で染め、蝋(ろう)磨きをするといった、木の味を美しく活かす方法で仕上げます。

After impurities have been removed and the paulownia wood has been allowed to dry naturally, pieces of the required width are peeled off. At the time of planing the boards and assembling them into boxes, the “dovetailing” method of making tenons and grooves which has been transmitted since ancient times is used. Then, when the body, the drawers and the door are assembled, each part is machine-finished. Finally, all surfaces are finished using techniques that bring out the beauty of the wood such as dyeing using a solution made with the yashabushi (alnus firma) natural dye and wax-polishing.

産地からの声

一般に木材の収縮率は比重と関係があり、比重が小さいほど収縮率も小さいのです。桐は、いったん乾燥してしまうと細胞の中は乾いた空気だけになるため、狂いや割れが少なく衣類の収納に適しています。

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