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TRADITIONAL CRAFTS

京うちわKyoto Round Fans

京うちわの始まりは、南北朝時代に遡ります。当時、明と呼ばれていた中国や朝鮮沿岸地を荒らし回っていた倭寇(わこう)という日本人の海賊によって、西日本にもたらされた朝鮮団扇(ちょうせんうちわ)が紀州から大和を経て、京都の貴族の別荘地であった深草に伝わったのが始まりと言われています。
柄が中骨と一体ではなく後から取り付けられる、挿柄という構造が、京うちわ独特のものに定着したのは江戸時代以降のことです。これは、宮廷のための絵を描く土佐派、狩野派等の絵師が絵を描いた「御所うちわ」が始まりと見られています。その後間もなく、庶民の使ううちわとしても広まり、今日の京うちわの基盤が確立されました。

Kyo Uchiwa go back to the period in Japanese history known as the Northern and Southern Dynasties (1333-92). It is said that round fans from Korea were brought back to western Japan by wako, Japanese pirates who were constantly raiding the coast of Ming dynasty China and Korea at the time. These imported fans then found their way up through the Kishu to Nara and then onto Fukakusa where aristocrats from Kyoto had their country villas.
However, it was not until after the beginning of the Edo period (1600-1868) that these fans took on their distinctive form, with a handle that is independent of the internal framework and attached afterwards. It seems that this practice began with the gosho uchiwa, or ""Imperial round fans"" painted by artists of the Tosa and Kano schools for the imperial family. Soon after this round fans came into more general use by ordinary folk and the form of the Kyoto round fan as we know it today was established.

Nurtured by the city's rich culture, history and climate, those making round fans today continue to bring something new to this craft with hand and heart. More than simply a devise to keep people cool, these fans are both pleasing to the eye as fine works of craft art and bring a little splendor to their lives.

  • 告示

    技術・技法


    「うちわ骨加工」は、次の技術又は技法によること。

     
    (1)
    割竹にきざみを入れた後、手作業による「もみ」及び「へぎ」をすること。

     
    (2)
    陰干しをした後、ひげ取りをすること。


    地紙の加飾をする場合には、「箔押し」、「砂子振り」、「手彫り」、「ちぎりはり絵」、「つぎ」、「染め」又は絵付けによること。この場合において、絵付けは、手描き、「版木つき」又は「木版画摺り」によること。


    仮張りをした後、「裏張り」をすること。


    「ひげ切り」及び「合わし」をした後、念べらを用いて、「念付け」をすること。


    元付けをした後、「なり回し」及び「へりとり」をすること。


    挿柄をすること。この場合において、柄は、木ろうを使用する「みがき仕上げ」又は漆塗りを行ったものを用いること。

    原材料


    うちわ骨の素材は、マダケ、ハチク又はモウソウチクとすること。


    地紙は、和紙とすること。


    箔は、金箔、銀箔とすること。


    柄の素材は、木、竹、象牙又は牛骨とすること。


    漆は、天然漆とすること。

  • 作業風景

    京うちわの製作は、うちわ骨加工とうちわ紙加飾・裏張り加工・仕上げ加工によって完成します。

    工程1: うちわ骨加工 胴切り(どうぎり)

    京うちわのうちわ骨は丹波の真竹が良いとされています。切り出された竹を、節を除いて輪切りに裁断します。

    工程2: 割竹(わりたけ)

    うちわ骨の幅に合わせ、型で寸法を取りながら割小刀(わりこがたな)と槌(つち)を使って、細かく割っていきます。

    工程3: 巾揃え(はばそろえ)

    荒削りされたうちわ骨の巾を揃えていきます。

    工程4: 厚さ揃え

    巾揃えされたうちわ骨の厚さを揃えていきます。

    工程5: きざみ

    うち骨の上端にきざみを入れます。

    工程6: もみ

    上端にきざみを入れたものを、竹の繊維にそって左右交互にもみ割りします。

    工程7: へぎ

    うちわ骨をへぎ、完成。裏張り加工へ回されます。

    工程8: うちわ紙加飾

    手描き、木版、染め、切り絵、はり絵などの装飾を、うちわ紙に施します。

    工程9: 裏張り加工

    薄い紙に細竹を糊付けする。竹の断面は長方形で糊付けは短い方の辺にします。

    工程10: 裏張

    仮張りした面の裏側に、うちわの裏側になる紙を貼ります。

    工程11: めくり

    うちわの裏側の紙と骨が完全に接着したら、表面に仮張りした紙をめくり(剥がし)ます。

    工程12: 仕上げ加工 合わせ

    うちわの表の紙を貼ります。

    工程13: 念付け(ねんつけ)

    細竹の両面にうちわ紙が貼られた後、念ベラを用いてうちわ骨の際に筋を付けていきます。「念をつく」という言葉通りの丁寧さが要求されます。これが京うちわ独特の風格を生み出します。

    工程14: 元板付け(もといたつけ)

    柄を差す部分(中央)に、布または厚手の紙を貼ります。

    工程15: なり廻し

    念付けの終わったものを、うちわの形に切り取り、成型します。

    工程16: へり取り

    一定の形に切った後、周囲に薄い紙を張ります。これに柄を付けると完成です。

     

  • クローズアップ

    風流な図柄に雅の風を感じる京うちわ

    日本のうちわの歴史は古く、奈良・飛鳥時代にまでさかのぼる。伝統的な京うちわは、千年の都にふさわしく雅やかなもので、風流な趣を大切にしている。その魅力は、精緻な技術と優雅な華燭に裏打ちされている。

     

    “阿以波”に生まれて

    「もの心ついた時から“うちわ”が生活の中にあった」。自ら“うちわ職人”であると同時に、“経営者”としての顔をもつ社長 饗庭(あいば)智之さん。創業は元禄時代。300年の歴史をもつ“阿以波”に十代目の跡取りとして生まれた。その事に対する重圧感は無かったのか。「職人気質の強かった父親は“後を継げ”とは決して言わなかったですね。今思うと、うまいこと育てられたなぁと思いますよ」。その代わり「周りの人には一杯言われてました。“僕ぅ大きいなったら、うちわ屋さん頼むなぁ”とかって」。だから「後を継ぐ事も自然と“そういうものや”と思ってました」。大学を卒業後、信用金庫に就職。すぐに家業を継ぐ事はしなかった。なぜ。「人間追い込まれると、直面してる問題の優先順位とか、何が今一番大事かとか、良く見えてくるでしょ」。いずれ家業を継ぐ事は常に頭にあった。だから「金融の事や経営の事が、銀行に就職したら吸収できると思ったんです。特に地域に密着してる信用金庫やったら、地元の経済がどんなふうに動いてるか、内側から見えてくるしね。(大学出たての若さで)会社の社長さん方と直接会って、差し向かいで話が出来る」のは他の企業では無理だ、そう考えたからだ。弱冠22歳。いずれ経営に携わる者としての判断だった。

    饗庭家の創業は元禄2年。当初は多くの絵師を抱え、版画の図書出版も行っていた。うちわ専門店となったのは、七代目から。

    “職人”として仕事場に入る

    就職して4年、信用金庫を退社して家業に入る。“職人”としてのスタートだった。子供の頃から出入りしてきた仕事場に“職人”として足を踏み入れる。「いざ始めてみると、本当にゼロからでした。見てるのと自分がするのとでは全然違いますから。モチベーションという点では、他の人よりも高かったと思いますが」。辛かったのは「いくら自分に(学ぼうという)思いがあっても、先輩職人の知恵袋を開けてもらえない」こと。“どうやってするの”と聞いても、“(目の前で)やってるやろ”としか教えてもらえなかった。1から10までその調子だ。「自分でやってみて、何度も失敗して。“こういう風にしたいんやけど、どうしても出来へん”と持っていくと“そうやろ。そのやり方では無理やて最初から思ってた”と言われる」そこで初めて、“どうやってするのか”その知恵(技術)を授けられた。けれど「今、一通り“うちわ”作りが出来るようになってみて思うんですけど、遠回りしているようであっても、それは大事な事ですね」。“分からない”事も煮詰めてから教えないと、職人としての肉にならない。仕事や技術に対する“こだわり”や“得心”を、どこまで深められるか。それは“職人”としての命に関わるものなのだ。ものごと一つ教えるにもタイミングがある。「自分が教える側に立って、初めて分かった事なんですけどね」と笑った。

    十代目として“透かしうちわ”の創作と完成、そして定着にむけて努力を重ねる

    工芸品には本来「あつらえ」創りの豊かさがある

    伝統的な美術工芸品としての“京うちわ”や、創作“透かしうちわ”の印象が強い“阿以波”。名だたる百貨店・企業・料亭・旅館に装飾性の高い“京うちわ”を納めてきた。しかし「工芸品というのは“作らせるもの”であって、買うものではない」というのが持論。だから“うちの家の座敷に合うもの”そういう注文があっていいのだ、と言う。
    「以前おばあちゃんのリハビリ用に、と“うちわ”を作らせてもらった事があるんです」。脳梗塞で倒れた“おばあちゃん”のためにと、家族があつらえたものだ。“まだ不自由な手のリハビリが、嫌にならずに出来るように”という家族の要望を生かすため、時間をかけて話しあった。実用性が高く、小ぶりでべッドサイドにも置けるサイズのものを作った。
    ものづくりには、一つの工芸品に乗せられた背景がある。それを頼んだ人の考えや、思い。その背景を含めて、注文を受けた職人の技。「具体的にしっかりと話し合いができるなら、これからも個人の方のオーダーメイドに応じていこう」と考えている。「親父を含め先達の人の“手の早さ、技の精緻さと腰の軽さ”これは職人としても経営者としても見習いたい」と結んだ。

    応接室の壁一面に飾られた美しい創作“京うちわ”

    職人プロフィール

    饗庭智之 (あいばさとし)

    昭和35年8月23日生まれ。
    十代目饗庭長兵衛襲名。
    通商産業大臣奨励賞受賞(1998年)

    阿以波社長 饗庭 智之さん(十代目饗庭長兵衛)

    こぼれ話

    空間に彩りを添える「京うちわ」

    鮮やかな「京うちわ」が壁に掛けられた途端、部屋中に華やかな雰囲気が漂います。実用性の高いうちわもありますが、装飾用の美しいうちわも作られています。京の四季をイメージさせるものから、源氏物語やギリシア神話に題材を得たものまで見事に描かれています。装飾性の高い「透かしうちわ」には、絵画にはない、軽やかで繊細な上品さがあります。

    • 鮮やかな京の四季をイメージさせる「京うちわ」。季節の花が、繊細な「透かしうちわ」に描かれている

     

概要

工芸品名 京うちわ
よみがな きょううちわ
工芸品の分類 その他の工芸品
主な製品 うちわ
主要製造地域 京都府/京都市
指定年月日 昭和52年10月14日

連絡先

■産地組合

京都扇子団扇商工協同組合
〒606-8343
京都府京都市左京区岡崎成勝寺町9-1
KYOオフィス
TEL:075-761-3572
FAX:075-761-3573

http://www.sensu-uchiwa.or.jp/

■関連展示場・施設

特徴

京うちわは、豊かな風土と文化・歴史に育まれながら、今日もなお作り手たちの技と心で常に新しいデザイン感覚を付け加えています。単に涼むための用具としてだけでなく、優れた美術工芸品として私たちの目を楽しませ、生活に華やかさと潤いを与えてくれます。

Even though Kyo uchiwa is steeped in this city’s culture and history, new techniques and new designs are being added even today. Far from being mere tools for cooling off, these beautifully crafted objects entertain our eyes and enrich and add dignity to our lives.

作り方

京うちわは、上質の割竹の上端に、刻みを入れて割った細骨を1本づつ放射状に並べ、箔、手彫り、手描き・木版画等で加飾した表紙を張り、竹へらで骨の両際に筋を付け、各種の型に化粧断ちし、周囲に細い薄紙を巻き、柄を差し込んで完成します。

Kyo uchiwa is made by arranging on the top end of a high quality split bamboo fine split engraved spokes one by one in a radial shape, stretching on top of them paper decorated with gold leaf, hand carvings, hand drawings/wood engravings, etc., inserting a small groove on both ends of the spokes, trimming the edges of the paper, wrapping thin paper all around, and completed by inserting the handle.

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