赤津焼十人展トークショー~赤津焼の歴史とこれからの赤津焼~
現在開催中の特別展「赤津焼十人展」の初日にトークショーが行われました。
トークショーでは、二代目晴峰さんが赤津焼の歴史にてお話ししていましたので、
その一部をブログにてご紹介いたします!
赤津焼は陶器としては歴史が古く、現在は7つの釉薬が存在しています。
灰釉(かいゆう)
は、奈良・平安時代から作られており、
古瀬戸(こぜと)
鉄釉(てつゆう)
は、鎌倉時代には作られていたと言われています。
その次に古いとされているのが、
黄瀬戸(きぜと)
志野(しの)
織部(おりべ)
の三つで、これらは室町~安土桃山時代に作られました。
あの織田信長にも気に入られていたそうです。
そして江戸時代初期にできたとされているのが、
御深井(おふけ)
現在もこの7つの釉薬が赤津焼の代表作として活躍しています。
また赤津焼は、
酸化炎(さんかえん)と還元炎(かんげんえん)の二種類の焼き方があったのですが、
現在は一つの窯でもこの二つを調整することができるようになりました。
酸化炎は、窯の中の空気の調整を行わずに焼く手法のことを指し、
還元炎は、窯の中の酸素を少なくする手法を取り入れたものを指します。
どちらも窯の中の温度は1200~1250℃が一般的で、
酸化還元炎の化学反応によって同じ釉薬でも出せる色が異なるのが面白いところです。
次は赤津焼の作り方について。
赤津焼は基本的には、
「ろくろ」「たたら」「手びねり」の三種類。
ろくろだけの作品、たたらだけの作品、手びねりだけの作品ももちろんあるのですが、
ろくろとたたらを組み合わせたり、ろくろと手びねりを組み合わせたり、
たたらと手びねりを組み合わせたり、
三つ全部を組み合わせたりと手法は様々です。
さらに絵を描いたり、削いだりもしているので、
赤津焼は総合的な技法で作られる焼き物ともいえます。
赤津焼を購入する際に、
近くに職人が来ているときなどは、
どういう技法で作ったのかを訪ねるのも楽しいかもしれません。
トークショーはどんどんと会話が進み、
赤津焼を購入される方に向けてのお話になりました。
赤津焼を購入する場合に注目してほしいのが、
重さと高台だそうです。
重さというのは、
赤津焼に限ったことではないのですが、
陶芸品は見た目と重さがイコールになっていないものがあります。
ですので、購入の際には必ず一度は手に取ってみて、
自分好みの重さなのかを試してみることをお勧めします。
手に持ってみると、
陶器の形状も自分にフィットするものか否かもわかるので、
実際に使うときのイメージがつきやすく、
「購入後にこんなはずじゃなかった」
ということもなくなります。
次に高台。
これはコップやお茶碗などの下にちょっと高くなっている円状の箇所を指しているのですが、
高台に釉薬を塗られていないものが数多くあります。
これは陶器を焼く際に、
釉薬を高台にまで塗ってしまうと、
棚板に引っ付いてしまうためです。
(もちろん、接地面を少なくして焼く方法もあるため、
高台に釉薬が塗られているものもあります)
赤津焼の土はもともと荒いというのが特徴。
「赤津焼十人展」で売られているものであればそういった心配はありませんが、
陶器によっては高台を磨いていないものも存在しているので、
購入した時には高台を触ってみて、
ざらざらしてるなと思ったら、
サンドペーパーで磨くのがおすすめです。
そうすれば、テーブルを傷つけることもなく、
快適に使えるとのことでした。
最後に、赤津焼の今後について、
お話しされていました。
今回の特別展「赤津焼十人展」というのは、
晴峰さんが所属されている組合にいるのがちょうど10人だからだそうです。
そして組合員の年齢は、
一番上が77歳で、一番下が41歳のため、
若い人が足りていないのが現状。
さらにこの10人の中で跡継ぎがいるのは3軒だけで、
この先の赤津焼のことを思うと不安な様子。
晴峰さんとしては、
やはりこのまま日本に古くからある赤津焼を廃れさせたくはないという思いは強く、
もっともっと赤津焼を広めていきたいそうです。
赤津焼の生産量も10年前に比べると落ちてきているので、
現在の生活パターンに合わせた、
新しい赤津焼を若い人たちにどんどん冒険してもらって、
生み出して貰いたいと、熱く語られていました。
赤津焼十人展は9月9日まで青山スクエアにて開催中です!
どうぞ、足を運んでみてください。