二風谷イタ・二風谷アットゥシのトークショーが行われました
今日から開始の「日本 ここに技あり」に出展している二風谷イタ・二風谷アットゥシのトークショーが、青山スクエアで行われました。
今回はその様子を一部ご紹介いたします。
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二風谷イタ・二風谷アットゥシは2013年に伝統的工芸品として認定。
国の伝統的工芸品としての認定は北海道では初めてのことです。
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二風谷イタ・二風谷アットゥシはアイヌの伝統的工芸品。
アイヌ文化を研究されている山崎先生が始めにお話をしてくださいました。
二風谷イタは、沙流川流域に古くから伝わり、現在はおもに平取町二風谷で伝統的技法が継承されている、木製の平たい形状のお盆。
二風谷アットゥシは、沙流川流域に受け継がれてきた樹皮の内皮繊維による平織りの反物です。
ロシア、ヨーロッパ、アメリカなどにはアイヌ民族の文化についての資料がたくさんあるため、海外の博物館に行くことが多いとのこと。
アイヌ文化へ関心を示し、民具などを体系的に収集したのは日本よりも海外の方が先だったそうです。
続いて、今回の「日本 ここに技あり!」に出展をしてくださっている、
二風谷民芸組合の工芸作家、関根真紀さんにもお話をしていただきました。
関根さんが一番初めに言ったのが、
アイヌ語の「イランカラプテ」(※「プ」は小文字)
でした。
これは日本語に訳すと「こんにちわ」の意味で、現在気軽に使える言葉として広めるために関根さんは使うようにしているそうです。
関根さんは二風谷イタも二風谷アットゥシも作りますが、
毎週木曜日にはアイヌ語を教える先生もしています。
アイヌ文化を廃れさせてはいけない、
という思いから、あいさつでもアイヌ語を取り入れるようにしているのだそうです。
まずは二風谷アットゥシの説明からしてくださいました。
毎年6月になると、オヒョウの樹皮を家族総出で剥ぎに行くそうです。
北海道には梅雨はありませんが、
6月の樹皮は水分をたくさん吸っているため、剥ぎやすいとのこと。
昨年は7月の初めに行ったのですが、樹木の皮が堅くなってしまっていて、
やはり6月に取りにいかなければいけないと改めて思ったそうです。
樹皮の外皮(荒皮)は山の中で剥ぎ取り、内皮のみを持ち帰ります。
その場で剥ぎ取らないと取れにくくなるためです。
剥いだ樹皮の内皮は煮て柔らかくしてから、その後沢水で洗いぬめりを取るという工程があります。
そして、糸作り。
この糸作りが一番時間がかかり、一玉作るだけでも一か月はかかるそうです。
機織りには地面に座った姿勢で織る後帯機を使います。
現在の二風谷アットゥシはカラーバリエーションが増えてきています。
草木染のため同じ色は出せないのが特徴です。
続いて二風谷イタのお話をしてくださいました。
関根さんが二風谷イタも作るようになったのは、父親が木彫りをしていた影響があります。
幼いころから近くに彫刻刀があり、子供のころから彫刻が好きで、
16歳の時に始めて作ったイタが奨励賞をもらい、
それが嬉しくて作り手になったそうです。
二風谷イタの特徴としてはやはり、
アイヌ文様。
アイヌ文様の意味にはいろいろな説があるというお話もしていただきました。
最後に二風谷イタを購入する際のお話をしていただきました。
二風谷イタは自然の木で作られているため、
同じ形の作品であっても木目が違います。
購入する際には、自分好みのデザインと木目を見つけて買うのがいいそうです。
あとはインスピレーション。
二風谷イタは大事に使っていただければ100年でも十分に持つ品物。
伝統的工芸品に認定されて、
今後はもっといろいろな場所で展示会などを開催するので、
見つけたらまた見に来てほしいとのことでした。
そんな二風谷イタ・二風谷アットゥシは9月30日まで伝統工芸青山スクエアに置いておりますので、ぜひお越しください。
※二風谷アイヌ匠の道のHPはこちらから見ることができます。