堺打刃物と村上木彫堆朱のトークショー
本日から開催の、
「堺打刃物伝統工芸士展」と、
「村上木彫堆朱展~越後村上 伝統の技~」のトークショーが青山スクエアで行われました。
今日はそのトークショーの様子をご紹介いたします。
まず初めは「堺打刃物伝統工芸士展」から、
鍛冶をされている池田さんと研ぎ師の笠原さんに話していただきました。
堺の刃物は、
室町時代から行われており600年の歴史があるようです。
初めは包丁ではなく、
刀鍛冶として堺で作られ始めました。
時代が過ぎるにつれ刀鍛冶が包丁を作るようになり、
現在に至っています。
堺打刃物も後継者不足に悩んでいましたが、
行政が後継者育成事業を始め、
希望者を募ったところ40名が集まり、
現在は14名にまで絞ったようです。
これから14名には基礎研修をしてもらい、
最終的には7名にまで絞り、
後継者として育てる予定。
と、そんな話をしていると、
なんと堺市長が青山スクエアにあらわれました。
青山スクエアで「堺打刃物伝統工芸士展」が始まるとのことで、
駆けつけてくれました。
トークショーでは堺がいかにモノづくりの市であるのか、
刃物にはどれだけ長い歴史があるのか、
これからも市の伝統的工芸を守っていき、
全国に知ってもらいたいとPRをしていました。
トークショーに市長が出られたのは、
筆者が担当になってからは初めてのこと。
展示の初日に来るところからも、
伝統的工芸品に熱い思いがあることがわかります。
その後、
再び池田さんと笠原さんの話に戻りました。
笠原さんは今回、2~4日まで青山スクエア内で制作実演を行ってくださっているのですが、
包丁を錆びさせにくくするお手入れについても話していただきました。
中性洗剤で洗ってから、
少し暖かいお湯をかけてさっとふき取り、
アルミホイルで包んでおくと錆びにくくなるそうです。
これなら簡単なので、
ご家庭でもすぐに取り入れられそうですね。
次に包丁を「研ぐ」ということについてもお話しいただきました。
料理人は包丁を毎日研ぐのが当たり前の世界ですが、
一般家庭ではどれくらいの頻度で研いだ方がいいのかと聞くと、
一か月に一度がベストだそうです。
打刃物は研ぎ直しをしますが、
実はステンレス製の包丁の方が打刃物より短いスパンで研いだ方がいいそうです。
包丁を研ぐときの順序としては、
まず砥石を砥石直しで研いでから、
包丁を研ぐ方がいいそうです。
これは砥石をまず平らにする必要があるため。
その次に研ぎ方ですが、
刃が砥石に引っかからない方向に押すときに力を入れて、
刃が砥石に引っかかる方向に押すときには力を抜くのがコツ。
そうすればケガをしづらく、
素人でも包丁を綺麗に研ぐことができます。
これには聞いている人たちも、
食い入るように見て聞いていました。
続いて「村上木彫堆朱展~越後村上 伝統の技~」からは、
塗り師の小杉さんと彫刻の鈴木さんに話していただきました。
村上木彫堆朱は国の伝統的工芸品で、
新潟県村上市で作られています。
実は新潟県は伝統的工芸品に認定されたものが多く、
全部で16品目もあります。
これは全国で、京都に次いで2位の多さ。
それほど、たくさんの伝統的工芸品が存在しているんですね。
村上木彫堆朱とは、
手作業で彫刻を施してから、漆を塗り重ねていきます。
彫刻が施されている図柄を生かすように塗らないといけないため、
指頭塗り(指で漆を塗る手法)も取り入れて、
細かな作業をするのが特徴。
また使っている漆も他の漆器に比べると、
堅い漆を使っているようです。
村上木彫堆朱と一言で言っても、
作っているお店によって色の調合の仕方も違うので、
朱色も微妙に違いがあるそうです。
図柄として多いのは、
ボタン、山水、花鳥風月。
現在、村上木彫堆朱の伝統工芸士は、
彫刻が5名、塗り師が17名と多少偏っています。
後継者がなかなか現れず、
今はPR活動を始めたそうです。
次に、どういう基準で村上木彫堆朱を選んだらいいかという話になり、
小杉さんは、とにかく手に取って欲しいとのことでした。
手に取ってみて自分の好みのものを選び、
例え商品名が「急須台」であっても「1輪挿しの花台」として使うなど、
自分の好きなように使うのが一番だそうです。
村上木彫堆朱は使えば使うほどに、
漆の輝きが増してくるもの。
たくさん使って漆の輝きを楽しんでほしい、
とおっしゃっていました。
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「堺打刃物伝統工芸士展」は10月14日まで、
「村上木彫堆朱展~越後村上 伝統の技~」は10月7日まで、
青山スクエアで行っていますので、
ぜひ足を運んでみてください。