12月最後のトークショー
青山スクエアでは18日に、恒例のトークショーを行いました。
お話をしていただいたのは、匠コーナー「五明の「縁付金箔の美」展」の五明さんと、
特別展「肥後五十四万石の工芸品展」から染織をしている沖田さん。
会期は両方とも12月23日までとなっています。
五明さんは四代目でこの道31年の匠です。
初めに金箔押しについてお話をしていただきました。
五明さんが使っている金箔は金沢箔。
金沢箔も伝統的工芸品の一つで、日本の金箔のほとんどは金沢箔だと言われています。
金箔は、金属の紙、つまり金を限りなく薄く延ばしたものです。
今でも、よく塗り物と勘違いされると笑っておっしゃっていました。
金沢箔は薄くもできるし厚くも出来る代物。
職人さんによって厚みを調節できるそうです。
金箔の大きさは、
3寸6分と4寸2分のものが主流だそうです。
ちょうど写真に写っている金箔の4倍が3寸6分の大きさにあたります。
五明さんは京仏具の匠なので、仏具に携わることから始めましたが、
現在は京仏具とあわせて、
金箔押しの世界をもっと広めようと、
様々な商品開発にも携わっています。
商品開発を始めて10年経ちましたが、
一番マッチしたのはペンダント。
仏具の工程は、
木⇒彫刻⇒塗り⇒金箔押しの順で行うのですが、
ペンダントも全く同じ工程を踏むので、
仕事の工程としては同じだそうです。
ただ対象物が違うだけだとおっしゃっていました。
現在展示している商品の中にも、
何種類かのペンダントが置かれています。
その他に器などにも金箔押しをしていますが、
他の伝統的工芸品とのコラボもしています。
山中漆器さんとコラボをしたり、
写真に写っているような南部鉄器さんとコラボをしたり。
木地に金箔押しをするのには慣れているものの、
鉄に金箔押しをすることはなかったので、
なかなか苦労したそうです。
また金箔押しをする際には、
素地と金箔を接着させるために漆を使ったりするのですが、
漆の塗り方、拭き方によって、
金箔の見え方も変わるそうです。
京仏具では素材をそのまま見せることを良しとしているので、
金沢箔の光具合をそのまま生かす使い方をしていますが、
産地によっては金沢箔をよりピカピカにして表現するところもあるそうです。
この変化のつけ方は、
金沢箔の違いではなく、
金沢箔を接着するために使われる漆などの使い方によるところがあるとおっしゃっていました。
また金沢箔にも種類があり、
縁付と立切があります。
縁付の方は職人さんの手づくりのものなので、
五明さんはほとんど縁付の金沢箔しか使わないそうです。
金箔の価値は、どれだけの金を使っているかではなく、
薄い方が様々な表現が出来るので価値があるとおっしゃっていました。
続いて「肥後五十四万石の工芸品展」から、
染織の沖田さんにお話をしていただきました。
肥後五十四万石の工芸品展は青山スクエアで12月11日から開催されています。
11日から3日間は肥後てまりの制作体験があり、大盛況のうちに終わりました。
19日からは肥後象嵌の制作体験が始まります。
沖田さんはくまもと工芸会館に所属しています。
くまもと工芸会館では毎日4種類の制作体験が行われており、
来てくれた人に工芸品に触れて貰っているようです。
どんな体験ができるのかというと、
肥後てまり、肥後象がん、竹細工、織りなど肥後を代表するものだそう。
肥後には昔、
肥後絣がありましたが、
現在は残念ながら廃れてしまいました。
久留米絣と同じ流れの中であったものですが、
復興しようにも難しくて再現することができないそうです。
肥後で現在、国の指定を受けているものは、
肥後象がんと小代焼の二つ。
肥後象がんとは、鉄に金属をはめ込んで作るものです。
現代はネックレスや小物類などに使われていますが、
昔は刀のつばに使われていた技術でした。
そのため、男の美学ともいえるデザインが施されており、
現代もまだまだ男性の作り手の方が多いそうです。
もう一つの小代焼は、
釉薬を使って作られる焼き物で、
素朴な味わいのあるものとなっています。
その他にも、
肥後てまり、けんかゴマ、おばけの金太、尺八など、
肥後に残っている工芸品の説明をしてくださいました。
最後には熊本県のPRをして、熊本愛を見せていただきました。
ーーーーーーーーーーーーーーー
お話しいただいたお二方の展示、
匠コーナー「五明の「縁付金箔の美」展」、
特別展「肥後五十四万石の工芸品展」は、23日まで行っています。
ぜひ、青山スクエアにお越しください!