大内塗のトークショーの様子
青山スクエアでは本日より「山口の工芸品~大内塗の愛と美~」が始まりました。
そして恒例のトークショーが14時より行われたので、その一部をご紹介いたします。
今日は実演と体験をしていただいている、
大内塗の冨田さんと職人の夫を持つ中村さんにお話をうかがいました。
まず初めにお話しいただいたのは大内塗の歴史。
大内塗は今から約650年前からあると伝えられています。
その当時、山口県にも京都のような街を作ろうとした大内さんという人がいました。
ですが大内さんにはお嫁さんがいなかったので、
あこがれの地に住んでいた京都の公家のお嬢さんをお連れして結婚したそうです。
ですが、その当時の山口は京都のような街を作ろうとはしていても、まだまだ京都のような華やかさがなく、お嫁さんはホームシックになってしまいました。
夕方になると毎日泣いているお嫁さんを見て、大内さんは何とかしなければと思い、思いついたのが家中に人形を飾れば寂しさが紛れるんじゃないかということ。
京都からも人形師を呼んで、大内さんのお屋敷はあっという間に人形だらけになりました。
お嫁さんはそれを見て笑顔になり、2人はいつまでも仲良く暮らしたというような、おとぎ話が残っているそうです。
ただ当時、大内さんの家に飾られていた人形が、現在の大内塗の人形だった可能性は低く、木目込人形のようなものだったのではないかと言われていますが、当時の人形が残っていないため判断が出来ないとおっしゃっておりました。
続いて冨田さんが話してくれたのは、
大内塗の人形の作り方についてでした。
まず大内塗の人形で使われている木地はエゴノキだそうです。
この木は割れにくいのが特徴で昔からこの木を使って作られています。
エゴノキで作られた木地に漆を塗っていくのですが、
大体7~8回は塗っているそうです。
大きな人形になってくると、1、2年かけて塗る場合もあるのだとか。
年をまたいでまで塗っていくなんて、驚きですよね。
また、大内塗といえば人形ですが、
昔は人形よりもお盆や食器などの漆器類の方がメインで作られていました。
ですが今では比率は逆転し、人形が7割、漆器が3割ほどにまでなったそうです。
大内塗の人形は雛人形のように見えますが、普通の雛人形とは意味合いが違います。
最初に書いた通り、
大内塗の人形が出来た経緯は夫が妻のために職人を呼び寄せて作らせ、
幸せに暮らしたということなので、
夫婦が仲良くいられるお守り、家内安全的な意味合いが強く、
1年中飾ることができるものだそうです。
続いて中村さんにもお話をしていただきました。
中村さんご自身は職人ではないので大内塗のものを作ったりはしないのですが、
営業担当として夫婦で大内塗を広めているそうです。
中村さんがよくしているPR方法は、
実際に大内塗の商品を持って行って、
現在の家庭でどうやって飾るのがいいのかのイメージが付きやすいように説明しています。
行動範囲は広く、全国各地でPRをしているそうです。
その中で、中村さんが思うことは、
以外と大内塗のことを知らない人が多いということ。
これからも活動を続けていきたいと言っていました。
そしてこの卵形の大内塗のお人形。
これは昨年から山口市のプロジェクトと大内塗漆器振興協同組合、デザイナーの辰野さんが共同で新しいモノを作ろうとして、
ようやく形になった新しいタイプの「Ouchi夫婦」。
お客様にお人形の色や表情などを決めてもらい、
受注してから約3か月でお手元に送るというもの。
Ouchi夫婦が木箱に入ったものでお値段は15,000円。
ウェルカムボード(写真の黒い台のこと)も作ることができるのですが、
こちらは23,000円。
人形の着物にはその人のイニシャルや家紋を入れることも出来ます。
本日が初お披露目ということで、
これからこの新しい大内塗の人形が発展していって貰えればとお話ししておりました。
最後に、冨田さんに今後はどんな人形を作っていきたいかを聞いたところ、
若い人も「欲しい」と思える人形を作っていきたいとおっしゃっておりました。
これからも進化し続ける大内塗に期待が高まりますね!
青山スクエアで行われている「山口の工芸品~大内塗の愛と美~」は、
2月3日まで行われています。
制作体験は1月30日と31日の2日間のみですが、
制作実演は会期中ずっと行っているのでぜひ足をお運びくださいね。