栃木県伝統工芸品展のトークショー
青山スクエアで本日より開催している特別展「栃木県伝統工芸品展 in青山2016」による、
トークショーが14時より行われました。
県の方や工芸士の方による、
お話の一部をご紹介いたします。
まず初めに県の職員である丹野さんがお話をされました。
栃木県には伝統工芸品は全部で57品目あるそうです。
ただその中には、作り手が一軒しかないところもあるので、
後継者の問題に悩まされています。
また多くある伝統工芸品の中でも一番力を入れているのが、
「日光彫」「益子焼」「結城紬」の3品目。
この3品目を軸に、栃木県の伝統工芸産業を盛り上げようとしているようです。
県としては、現在の生活でも使えるようにと、
各工芸品とデザイナーさんとでコラボをしてもらい、
新しいモノを作るという支援をしているところだとお話しされていました。
そして、今回の試作品が出来たというところで、
話し手が日光彫の村上さんにバトンタッチされました。
現在、日光彫の産地は8軒。そのうち2軒は製造をしていないため、
かなりの後継者不足で悩んでいるそうです。
日光彫を盛り上げていこうと思い、
県と市の協力を得て、今年で4年が経ちました。
そうしてようやく出来上がったのが、
今年の5月から販売予定の「日光筆」。
筆の軸の部分が日光彫で出来ており、
筆の部分は熊野筆さんに協力して作ってもらったそうです。
小筆と中筆があり、小筆の筆の部分は取り替えられるような仕組みになっています。
筆の軸はとても細く、
日光彫に長く携わっている人では、
かえって難しいそうで、若い人に彫刻を覚えてもらって、
作っていってほしいと思っているそうです。
今回、青山スクエアに並べてある日光筆は、
全て職人が作った試作品のため、
一点もの。
価格はちょっと高めになっていますが、
手間がかかっているということと、
売り上げの一部が後継者育成事業に回されることになっている為だとおっしゃっていました。
この日光筆が有名になることで、
若手を取り入れて行けたらという願いも、
含まれているようです。
続いて結城紬の石川さんご夫婦にお話をしていただきました。
結城紬も、時代とともに作っている家も減ってきているそうです。
更に現在では、結城紬を習いに来ている人がいたとしても、
その後、生活できるか否かと言えば難しく、
自立してもらうための支援も必要だとか。
結城紬の価格設定について聞いてみたところ、
柄が細かく織られていたり、
総柄になっているものは、どうしてもかかる時間も増えるために、
高くなるのは仕方がないとおっしゃっておりました。
また、結城紬の特徴の一つは織り機。
結城紬では地機(じばた)を使って織られています。
全身を使って織るもののため、
身体への負担が多く、
しっかりと休憩時間を取らなければ、
続けられるものではないそうです。
ただし、地機を使うことで、
打ち込みを強く入れることができるので、
丈夫な反物を作ることができるとおっしゃっておりました。
そして最後は、紬織物技術支援センターのセンター長、
早乙女さんにお話をしていただきました。
紡ぐ人が減ってきている現状の中、
勉強をしてもらう場所として存在しているのが、
早乙女さんが所属している「紬織物技術支援センター」。
ここに勉強をしに来る人は、
女性が多く、
センターでは1年かけて教えています。
ただ、続けられる人はやはり限られているようで、
現在も残っているのはたった10名しかいないそうです。
これからも結城紬の良さと特徴を伝え続けたいと、
熱い思いを語っていただきました。
特別展「栃木県伝統工芸品展 in青山2016」(会期は2月17日まで)では、
今回お話ししていただいた方以外の伝統工芸品も展示販売していますので、
ぜひ青山スクエアにお越しくださいませ。