加茂桐箪笥と伊万里・有田焼のトークショー
青山スクエアでは本日から、
「加茂桐簞笥新作発表会」と
「伊万里・有田焼 女性伝統工芸士展~おもてなしの器~」が始まりました。
今日は初日ということで、
14時からトークショーを開催しました。
初めにお話をしていただいたのは、
加茂桐箪笥の茂野さんです。
まずは木の特徴からお話しいただきました。
桐の木を材料を生活用具として使っているのは、
日本固有のものだそうです。
桐の木が生えているのは世界中ですが、
加茂桐箪笥が輸入をしているのは中国、アメリカの桐だけで、
日本の桐とアメリカの桐は同等の価値があるとおっしゃっていました。
加茂桐箪笥が他の産地と違う点はというと、
他の産地は板になった状態から仕入れているのですが、
加茂桐箪笥は原木から仕入れているそうです。
自分たちで原木を板にして使うことに、
こだわりがあるのかもしれません。
また、最近売れているものはという質問に対して、
背の低い小袖たんすが売れていると言っていました。
昔は婚礼の際に三セットの箪笥を購入している人もいたが、
現在は住宅事情やその他の理由より、小さいものが好まれるように。
さらに、畳の部屋ではなくなってきたので、
フローリング用に作った四足の箪笥も売れるようになったとのことでした。
次に、箪笥の値段はどこで変わるのかということについて、
お話しいただきました。
まずは横幅だそうです。その次に、本体の側板の厚み。
厚みというのは、箪笥そのものの厚みのことで、二センチのものもあれば、
四センチのものもあるそうで、
厚ければ厚いほど値段も上がります。
昭和40年頃から、箪笥はより派手なものが好まれ、金具などかなり凝ったものが売れていました。
ですが今は、シンプルな箪笥が好まれるようになっているそうです。
話は変わって桐箪笥の特徴についてもお話しいただきました。
桐箪笥は、熱伝導性が低い特徴があり、
例え家が全焼したとしても、
桐箪笥の中に入れている服は燃えず、そのまま残っていることもよくあるそうです。
桐箪笥の表面は焼けてしまっても、
焦げて炭化することで中の服を守るのではないかと言われています。
最後に、加茂桐箪笥の産地がある新潟県に、
見学をしに来てほしいとおっしゃっていました。
次に伊万里・有田焼の工芸士5人にお話をうかがいました。
伊万里・有田焼は陶器ではなく磁器であり、
磁器発祥の地とも言われています。
白地にゴスのコバルトをのせ、そこに上絵をつけるのが特徴で、
献上品として作られた色鍋島などがあります。
明治頃には輸出や万博出展のためにたくさんの作品が作られ、
大きな磁器が今でも残っているそうです。
女性の伝統工芸士も多く、
現在20名ほどいます。
男性の作る作品と女性の作る作品は、
意識をしなくてもどこか雰囲気が違ってくるのが特徴的。
梶原さんが創る作品は、
線の細やかな絵が描かれているもの。
絵付け専門に行っており、
小物を作るのがほとんどとおっしゃっておりました。
昨年の7月まで柿右衛門に勤めていたものの、
現在は独立をして、
自分の好きな絵を描き始めました。
日本画も書いたりするのですが、
可愛いものを描きたいという欲求のまま、
現在は作品作りに没頭しているそうです。
ろくろを回したり、手びねりをしたりと、
絵以外のものも創るようになったと、おっしゃっていました。
現在も鍋島に努めており、
そこで下絵とデザインを担当をしているそうです。
柔らかい雰囲気の絵が好きというのもあわせて、
今回は「おもてなし」をテーマに作りました。
今後は、20代~30代の人にも手に取って貰えるようなデザインをめざし、
伝統工芸とモダンの融合をどこまでさせることができるかに、
挑戦してきたいとおっしゃっていました。
実家が窯元のため、
伊万里・有田焼の世界にずっといらっしゃった秋月さん。
現在は甥っ子が窯元を継いで頑張っているそうです。
磁器ということで、セラミックで茶こしの役割をする製品も、
新開発しました。
元々は紅茶などを超すために考えたものだったそうですが、
焼酎をセラミックの製品でろ過をすると、
味がマイルドになり美味しくなったそうです。
普通のお水でも同じ効果が得られ、
今後はそれを売りにして出していきたいとおっしゃっておりました。
元々職人ではなかったものの、
子どもが生まれてから働き口を探していた際、
「絵を描かないか」と誘われて、
窯元に入ったそうです。
窯元で鍋島の絵柄を描いているので、
それを崩さず、
そこに蝶を描くのが自分の特徴だとお話しいただきました。
今回お話をいただいた、
「加茂桐簞笥新作発表会」は3月2日まで、
「伊万里・有田焼 女性伝統工芸士展~おもてなしの器~」は2月24日まで、
青山スクエアで展示されています。
このお休みに、
ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?