2017.04.28

本場大島紬と村上木彫堆朱のトークショー

今日から匠コーナーの「~越後村上伝統の技~村上木彫堆朱展」が始まりました。

特別展では先週から引き続き「本場大島紬 作品発表会」が行われています。

 

そして、青山スクエアでは14時から匠によるトークショーが開催されたので、

その模様をお伝えいたします!

 

まずは本場大島紬の方から・・・。

 

本場大島紬の菱沼さん

菱沼さんは本場大島紬の作り手の中でも、

少し変わった織物を作る方です。

 

織物は着物の部屋に似合うものとして作られることが多いのですが、

菱沼さんはホテルのロビーで似合う着物、

そして外国でも通用する色目というのをコンセプトにしています。

 

西洋では、人は年を取ると身につける色が原色になっていくのですが、

日本では、年を取ると地味な色を身につける方が多いのが特徴。

 

菱沼さんは、どうして地味な色を身につけなければいけないのかと考え、

年をとってもカラフルな物を着て貰いたいと願い、

織物を作っています。

 

そのため、本場大島紬では異例の手法(色挿しなど)を使い、

様々な色味が出ているものを作り上げているのです。

 

ところで、虹は何色で構成されていると思いますか?

日本では7色とされていますが、

海外では国によって数が違います。

 

フランスは7色ですが、

ドイツでは5色、アフリカでは3色とされているんです。

 

これは宗教上の違いであったり、

精神性の違いもあるとフランスの方に教えてもらったと、

おっしゃっていました。

 

また、菱沼さんは着物の普及にも手を入れており、

大学や高校で子どもたちに教育をしたりもしています。

 

次にお話しいただいたのは、村上木彫堆朱の方です。

 

村上木彫堆朱の鈴木さん

村上木彫堆朱は約300年前から続いている、

伝統的工芸品です。

 

鎌倉彫と同じく、

彫ってから漆を塗るのですが、

彫りの細かさが村上木彫堆朱の特徴ともいえます。

 

もともと「堆朱」とは、

中国から伝わってきた技法でした。

 

漆でできたものを彫って、

デザインしていくのが堆朱という技法なのですが、

日本ではその逆の工程を取って、

まるで漆で出来ている作品のように見せているのが面白いところです。

 

村上木彫堆朱は分業制を取っており、

木地師、彫師、塗師がいます。

その中でも木地師が少なくなっているのが問題視されているようです。

 

鈴木さんは彫師で、二年前に伝統工芸士の資格も取りました。

ただ鈴木さんの場合は、塗りも同時に行っています。

 

漆は掛けるものと言われたりもしますが、

村上木彫堆朱の漆は掛けることはできません。

なぜならとても固い漆を使っているからです。

 

木彫りされたものに、

漆を載せていくという作業をしているので、

他産地の塗師とはちょっとニュアンスが違うのも特徴の一つ。

 

そして漆をのせては研いでというのを十数回繰り返し、

ようやく塗り終えることができるので、

とても時間がかかるそうです。

 

最後に村上木彫堆朱を購入する際には、

何を見たらいいかとインタビュアに聞かれたところ、

どれだけ細かい彫りと漆が丁寧に塗られているかとおっしゃっていました。

 

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今回トークショーでお話をしてくださったお二方はそれぞれ、

特別展「本場大島紬 作品発表会

匠コーナー「~越後村上伝統の技~村上木彫堆朱展」に出展され、

ともに5月3日まで青山スクエアにいらっしゃいます。

 

是非この機会に、作品を見ながら作り手ともお話をしてみてくださいね。

 

 

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