和くらし大好き! 集まれ女匠衆 第一部のトークショー
青山スクエアでは先週14日から企画展「和くらし大好き! 集まれ女匠衆 第一部」が始まりました。
14時からは恒例の匠たちによるトークショーが行われましたので、ご紹介いたします。
まずは博多織の近藤さんからお話しいただきました。
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博多織の近藤啓子さん
手織りの養成学校を卒業し、
現在は独立して博多織の匠として日々を過ごしています。
そんな博多織の特徴は、
手織りの帯と先染め、そして横糸を見せないような織り方にすることです。
博多織はとても密度の高い織り方をしている為、
昔は体力仕事ということもあり男性の作り手しかいなかったそうです。
ですが今は、女性の作り手も増え、
博多織の業界を支えています。
次に、甲州水晶貴石細工の土屋さんにお話しいただきました。
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甲州水晶貴石細工の土屋典子さん
元々は別の仕事をしていた土屋さんは、
嫁ぎ先が甲州水晶貴石細工の職人の家だったため、
結婚後にこの世界に入りました。
男性は大きな作品を作ることが多いそうですが、
土屋さんが得意としているのは、
アクセサリー類です。
水晶や石と会話をしながら、
カットの仕方を決め、
女性に人気のアクセサリーを作り続けています。
次にお話しいただいたのは、
東京手描友禅の桑原さん。
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東京手描友禅の桑原牧子さん
桑原さんは昔から着物を身につけるのが好きだったそうです。
そして、お父様が絵画教室の先生をしていたこともあり、絵を描くことが身近だった子供時代を過ごし、
東京手描友禅と出会いました。
着物と絵を描くことが合わさった東京手描友禅の世界は、
桑原さんにとっては素晴らしい世界で、
すぐにこの世界へと飛び込んだそうです。
日常の中に非日常を表現するような、
そんな絵を描き続けています。
次にお話しいただいたのは、
大阪欄間の木下さんです。
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大阪欄間の木下朋美さん
ひと昔前の日本家屋では、
欄間のある家がほとんどでした。
ですが現在はと言えば、
欄間をはめるかもいのない家がほとんどです。
それでも、後世に大阪欄間の技術を残したいと思っている木下さんは、
壁掛けやお皿など、様々な形で表現をしています。
素敵な木の器だなと思ったら、
それが実は欄間職人が作ったもので、
欄間ってどういうものなのだろう?
と、買い手に思ってもらうための試行錯誤を、
日夜続けているとおっしゃっていました。
続いてお話しいただいたのは、
東京手描友禅の町田さんです。
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東京手描友禅の町田久美子さん
中学生の頃、
絵が好きだった町田さんは加賀友禅と出会い、
絵画をまとうような着物に感銘を受けたそうです。
その後、地元である東京にも手描友禅があることをしり、
作り手になろうと決意しました。
現在は帯作りが中心ですが、
麻の着物に手描友禅を施したり、
多らしいことにも挑戦し続けていきたいとおっしゃっていました。
続いてお話しいただいたのは、
一位一刀彫の板殿さん。
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一位一刀彫の板殿めぐみさん
一位一刀彫は、
一位と呼ばれる樹齢300年の木で作られる、
伝統的工芸品です。
一位一刀彫で作られるものには、
色付けはしていません。
二色の色があるように見えても、
元からの木が薄い色の箇所と濃い色の箇所があり、
それを原木の状態から見極めて彫っていくのだそうです。
続いてお話しいただいたのは、
有松・鳴海絞の高橋さんです。
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有松・鳴海絞の髙橋知美さん
市の後継者育成事業の募集を見つけ、
この世界に入った高橋さん。
現在は浴衣やストールなどを染め上げています。
有松・鳴海絞は絞りにも特徴がありますが、
運指にも特徴があります。
普段の縫物のような使い方とは違うため、
高橋さんは覚えるまでに一か月かかったそうです。
今後は、来年用の浴衣や絹の絞りをしてみたいとおっしゃっていました。
続いてお話しいただいたのは、
香川漆器の中田さんです。
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香川漆器の中田可奈子さん
中田さんは、結婚をしてから、
夫の家業である香川漆器の作り手になりました。
絵を描くことはもともと好きだったので、
筆を使った作業が好きで、
さらに漆も好きだったため、
存清(ぞんせい)の技法を使うのが好きだとおっしゃっていました。
また小さなものを作る方が、好きだそうです。
続いてお話しいただいたのは、
京鹿の子絞の高橋さんです。
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京鹿の子絞の高橋庸子さん
高橋さんのお母様は、
京鹿の子絞でも有名な作り手の方で、
比べられるのが嫌だったため、
この業界には入るつもりはなかったそうです。
ですが、結婚をしてから、
身近な人がお母様の教室に通うようになり、
その流れで一緒に習い始め、
気が付くと作り手の一人となっていました。
京鹿の子絞はとても細かな作業のため、
一筋を終えるのに40分もかかってしまうそうです。
それでも今は、
少しでも納得のいく作品を一つでも作りたいと思っていると、
おっしゃっていました。
次にお話しいただいたのは、
村上木彫堆朱の小杉さんです。
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村上木彫堆朱の小杉喜世子さん
昔、村上の地では漆がよく取れたため、
村上木彫堆朱が生まれましたが、
現在は日本の漆を使うのも難しくなってしまっています。
小杉さんは結婚当初、
村上木彫堆朱の伝統工芸士である夫の店番をしていました。
ですが、店頭に立っているうちに、
自分でも作り始め、
いつの間にか作り手として活動をするようになったそうです。
続いてお話しいただいたのは、
九谷焼の河田さんです。
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九谷焼の河田里美さん
河田さんの実家では、
両親ともに九谷焼の作り手でした。
ですが、初めは九谷焼を作る気はなく過ごしていたのですが、
他の地を訪れた時に、
両親の作品が売られているのを見て、
九谷焼ってやはりすごいかもしれないと思い、
作り手になったそうです。
得意なのは花詰めですが、
ガーベラやバラなど洋風の絵をモチーフに描き、
オリジナルの色を使って、
独自路線を貫いています。
続いてお話しいただいたのは、
三川内焼の藤本さんです。
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三川内焼の藤本江里子さん
三川内焼と言えば、
白地に青色というのが特徴です。
その中で、藤本さんの作品に取り入れられているのが、
結晶釉。
これは、フランスのセーブルで作られた釉薬で、
三川内焼と相性がいいと感じ使うようになりました。
結晶釉は形成した後に釉薬としてかけて、
窯に入れると、
結晶の様な模様が浮かび上がってくるという代物です。
その他に、ピンクや金色といった色を加えて、
オリジナルの世界観を出しています。
続いてお話しいただいたのは、
九谷焼の架谷さんです。
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九谷焼の架谷庸子さん
架谷さんは、赤絵細描画を得意とする作り手です。
1mmに4.5個の点を描き、
全体のデザインをしています。
白い生地が赤に染まっていくのが楽しいそうです。
ただ、余白の美も美しいため、
赤に染め上げるか、
余白を増やすか、
どちらのタイプも作り続けているとおっしゃっていました。
最後にお話しいただいたのは、
信楽焼の飯山さんです。
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信楽焼の飯山園子さん
信楽焼は、
釉薬を使わずに表現する伝統的工芸品です。
飯山さんが持っている窯は小さいということもあり、
月に一度窯を炊いています。
(大きい窯元では、1年に1度しか窯を炊かないところもあります)
信楽焼の作品を作るときには、
手で作っている味を残すようにしているそうです。
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企画展「和くらし大好き! 集まれ女匠衆 第一部」も半分が終わりました。
26日までは、実演や製作体験があるので、
ぜひ青山スクエアまでお越しください。
また、28日からは第二部が始まり、
また作り手の方も変わってきます。
さらに28日の14時からは、
第二部のメンバーでのトークショーもありますので、
青山スクエアでお待ちしております。