2017.11.10

備前焼と美濃焼のトークショー

青山スクエアでは、

今日から「備前焼伝統工芸士会展」と「美濃焼伝統工芸士 佐藤公一郎 作陶展」が始まり、

14時からトークショーが行われました。

 

まずは、備前焼の柴岡さんからお話しいただきました。

 

備前焼柴岡さん この道50年

備前焼は、

釉薬を使わず焼き方で表現をするのが特徴。

 

土は桃山時代からずっと、

その土地にある水田や池の土を使い続けており、

徐々に土の量も減ってきていると、

おっしゃっていました。

 

現在伝統工芸士は25名で、

今回の特別展では、その中の13人が出展しています。

 

備前焼では、

若い人が増えてはきていますが、

伝統工芸士になるための条件の一つに、

25年は従事していないといけないという制約があるため、

若い伝統工芸士は、そもそもいません。

 

それでも現在、

切磋琢磨している未来の伝統工芸士たちが、

すくすくと育ってきているため、

備前焼の産地としては、

後継者不足という悩みはないそうです。

 

話は変わって、

柴岡さんの家では年に一度、

登り窯で焼きますが、

備前焼の窯は一度焼くと、

10~13日ほど焼きっぱなしになり、

窯の中の温度は1200度前後を保っていなければなりません。

 

かなり大がかりな焼になるため、

二、三か月に一度、

角窯で食器などの小物を焼いたりもしているそうです。

 

また、電気窯と登り窯で焼いた焼物は、

見ただけでわかると言います。

 

それは、登り窯で焼いたものには、

たくさんの灰がつくためです。

 

電気窯では灰はつかないので、

登り窯と比べると浅い色になるとおっしゃっていました。

 

次に米田さんにお話を伺いました。

 

備前焼米田さん この道41、2年

米田さんは40数年前、

脱サラをしてこの業界に入りました。

 

子どもの頃から、物作りが好きで、

形に残るものをつくりたいという願望があったため、

この世界に入ったそうです。

 

脱サラをした当時、

米田さんはとある備前焼の作り手の方と出会います。

 

その人は弟子をとらないと言っていたのですが、

米田さんがその人の作品にほれ込み、

何でも通って、

ようやく1年だけ弟子として受け入れてもらえるようになりました。

 

そして、その1年でちゃんと基礎のノウハウを身につけ、

備前焼業界では珍しい、

たった1年の修業で独り立ちしたのです。

 

米田さんの作品の特徴は、

石目と言われる技法です。

 

石目は江戸中期の頃にはあったということがわかっていますが、

作業をするのに、

通常よりも5、6倍の時間がかかり、

さらにそれほど備前焼としての評価が高くなかったということもあって、

段々と廃れていってしまいました。

 

ですが、米田さんは、

石目技法の持つ形にほれ込み、

現在では米田さんを筆頭に数名の方が、

この石目技法を使って作品を作っているそうです。

 

続いて、日幡さんにお話を伺いました。

 

備前焼日幡さん この道44、5年

日幡さんの作品の特徴は、

金彩です。

 

漆器などにはよく施されていますが、

備前焼で金彩を施す人は中々いません。

 

密閉された空間で焼くことで、

金彩を表現することができます。

 

薄い金彩、濃い金彩、赤みがかった金彩・・・。

この中でも日幡さんは、

赤みがかった金彩を多く出せるようになりたいと、

おっしゃっていました。

 

今回の特別展は22日まで行っていますが、

形抜きの体験を用意しています。

 

備前の形抜きは、

実は江戸時代から始まりました。

 

今回の体験の際には、

江戸時代に使っていた型抜きを実際にお見せできるそうです。

 

そして最後にお話しいただいたのは、

匠コーナーの佐藤さんです。

 

美濃焼佐藤さん この道40年

佐藤さんは岐阜県可児市という場所で、

生まれました。

 

可児市は、黄瀬戸と織部の発祥の地とも言われています。

 

代々続く美濃焼の家で育った佐藤さんは、

四兄弟の長男。

 

昔から手先が器用で、

物を作るのが好きだったので、

自然とこの道を選んだそうです。

 

美濃焼は約1300年前から量産されるようになりましたが、

当時は釉薬を使っていませんでした。

そんな美濃焼が有名になったのは、

志野ができてからだそうです。

 

信長の時代になり、

茶が好きだった彼は、

作り手を集めて茶の器を作らせました。

当時はまだ、中国から入ってきた茶器しかなかったため、

これが日本初の茶器です。

 

美濃焼という言葉は産地の名前ですが、

志野、黄瀬戸、織部、瀬戸黒、青磁、白磁など全部で15品目もあります。

 

その中でも志野は、

日本で初めての白い焼き物。そして、筆で絵を描いたという特徴があります。

 

ここで、佐藤さんは釉薬の原石を見せてくれました。

 

鬼板。絵を描くためのも原石。これを砕いて水に混ぜて釉薬を作ります。

黒っぽい原石の鬼板は、酸化鉄を含んでいます。

 

また志野に使う釉薬の、

もう一つが長石。

 

 

この二つを、他のものと調合して、

赤志野や鼠志野の作品を作っているそうです。

 

佐藤さんの作品の特徴は、

縮れの景色が見えること。

 

そのため、作品を見ただけで、

佐藤さんが作ったものだとわかる方もいらっしゃるそうです。

 

また佐藤さんは毎年6月になると、

長良川などであゆの友釣りをするのが習慣になっています。

 

陶芸をしている時と、

友釣りをしている時、

一年の中でメリハリをつけながら仕事をするのが、

佐藤さんのライフワークだそうです。

 

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今回お話をしていただいた方たちは、

備前焼伝統工芸士会展」11月22日まで、

美濃焼伝統工芸士 佐藤公一郎 作陶展」11月15日まで、

青山スクエアで特別展と匠コーナーを行っています。

 

また期間中、

備前焼は制作体験を、

美濃焼は制作実演を行っていますので、

ぜひ、青山スクエアに足を運んでみてくださいね。

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