「華やぐ門出」と「東京手描友禅」のトークショー
今日から青山スクエアでは、
企画展「華やぐ門出~祝いの提案~」と匠コーナー「東京手描友禅 小倉貞右・隆 親子展」が始まり、
14時からはトークショーが行われました。
まずは華やぐ門出に出展中の永澤さんからお話を伺いました。
出石焼は兵庫県の北部にある豊岡市で作られている伝統的工芸品です。
コウノトリや城崎温泉で有名な場所でもあります。
230年ほど前に、現在の土地で陶石を発見し、
出石焼が始まりました。
出石焼の特徴は、白磁に彫刻を施すこと。
彫刻を施したところには蝋を入れ、釉薬をかけて焼き、その部分だけが焼き締めの状態に仕上がります。使っているうちに茶渋などの色味が釉薬のついていない部分につきはじめ、その変化を楽しむのも出石焼の特徴です。
現在、出石焼は4軒しか残っておらず、市の協力を得て若手を取り入れようとしています。
3年間は無料で住むところも与えられる制度がありますので、興味がある人はぜひ問い合わせてほしいとおっしゃっていました。
つぎに北山さんにお話をしていただきました。
香川漆器は、日本家屋が座卓時代、
漆器の中では全国一の売上をほこるほど発展していた香川県の伝統的工芸品でした。
現在、若手を育てるための教育制度があるのですが、学校を卒業しても受け入れられる企業や個人がいないのが現状で、中々若手を増やすことが出来ないそうです。
香川漆器は、蒟醤(きんま)、存清(ぞんせい)、彫漆(ちょうしつ)、後藤塗(ごとうぬり)、象谷塗(ぞうこくぬり)の5技法があります。
その中でも北山さんが得意なのは蒟醤(きんま)、存清(ぞんせい)で、今回もたくさんの工芸品を持ってきてくだり、様々な香川漆器を見ることが出来ます。
今後は、2,3年のうちに弟子をとって、育てたいとおっしゃっていました。
次にお話しいただいたのは小岩井さんです。
信州紬は長野県の伝統的工芸品で、縞や格子が特徴の紬です。
小岩井さん自身は、初めから家業である上田紬を継ぐつもりはなかったのですが、色々な経験を重ねていくうちに日本の伝統文化を伝えていくなら、着物の作り手が一番いいという考えにたどり着き現在に至っています。
信州紬は昔から普段着として作られており、色味も地味なものがほとんどでした。
ですが、特徴はあくまで縞や格子であって、控えめな色味ではないと捉えた小岩井さんは、自分も着たくなるような上田紬を作っていこうと考えカラフルな着物を作り始めたのです。
自分なりの上田紬を、どんどん作っていき、最近では毎日新聞にも取り上げられるようになりました。
小岩井さんは、これからも挑戦できる場を広げていきたいとおっしゃっていました。
続いて梶原さんにお話を伺いました。
今回梶原さんは、伊万里・有田焼女性伝統工芸士展「あれも、これも、ふたもの」として、企画展に参加しています。
伊万里・有田焼女性伝統工芸士展は青山スクエアで11年前(その頃は池袋にお店がありましたが)から始め、それから毎年これぐらいの時期に行っています。
始めた頃は、参加者も5、6人でしたが、今回は12人の女性伝統工芸士が集まりました。
梶原さんが、この業界に入った三十数年前は、女性の作り手の地位はとても低いものだったそうです。ですが今となっては、人数的にはまだまだ女性の方が少なくても、女性がこの業界を明るく希望のあるものに変える力を持っていると言われるようにまでなりました。
今回の見どころは、12人それぞれの個性ある絵付けを見てほしいとおっしゃっていました。
最後に、匠コーナーの小倉さんにお話を伺いました。
手描友禅は大きく分けると、
東京、京都、名古屋の3産地があります。
その中でも、東京手描友禅はシックで同系統の色味で合わせているのが特徴です。
小倉さんは昔からウィリアムモリスが好きで、唐草模様やペイズリーなどの絵をよく描いているとおっしゃっていました。
お父様も同じく伝統工芸士で、今回の親子展では、お二人の作品が並んでいます。
二人の違いはというと、同じ絵を描いたとしても、使う色味に違いがあるそうです。お父様は濃い色が多く、小倉さんは薄い色に濃い色を差し込むものが多いのが特徴。
東京手描友禅で、いい物か見分けるにはどうしたらいいのかという質問をされると、丁寧さや着物の裏の色だとおっしゃっていました。
上手な人が描くと、裏も表も同じ色の絵が描かれているが、塗りが浅い人だと裏を見ると、かすみがかった色になってしまっているそうです。
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今回お話しいただいた方たちは、14日まで行っている企画展「華やぐ門出~祝いの提案~」と匠コーナー「東京手描友禅 小倉貞右・隆 親子展」に出展しています。
期間中は、実演や体験も行っていますので、ぜひ青山スクエアまでお越しください。
お待ちしております。