伝統工芸 青山スクエア
青山スクエアブログ
2015/8/27(木)産地訪問レポート

日本 ここに技あり!~江戸から渡った房州うちわ~

 あつーいあつーい日本の夏を乗り切る昔ながらの道具、うちわ。近頃ではプラスチック製のそれしか使ったことが無い、という方も多いのではないでしょうか?しかし一度竹製のうちわを使ってみれば、その使い心地の良さに驚くはずです。竹の持つしなやかさが、軽い力でも大きな風を起こし、竹や和紙の色で視覚的にも楽しむことができます。

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 日本の主なうちわは、千葉の房州うちわ、京都の京うちわ、香川の丸亀うちわの3つです。その中で一本の竹材の先を割いて広げ、残った部分をそのまま柄として使うのが房州うちわ。そんな房州うちわの産地に行ってきました。

 今回おじゃましたのは、千葉県南部、南房総市にあるうちわの太田屋さん。海と小さな山々に囲まれた、のどかな土地でうちわ作りをしています。ここでは昔から、うちわの材料となる竹がとれます。

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 地元で取れる素材を活用する形で作られるようになった房州生まれのうちわの他にもうひとつ、ここで作られるうちわのルーツが江戸にもあります。元々、房州の竹は江戸に出荷され、江戸の職人たちがうちわを作っていました。大正時代、戦災や震災によって江戸で商売を続けるのが難しくなった職人たちが、材料の取れる房州へ移り住み、再びうちわ作りを始めたのです。房州うちわと江戸うちわの違いは数多くある工程のうちの一部の作業の仕方が違うのみです。

骨を広げる作業

割りさいた竹を広げて骨を作る作業。筒状の竹を平らに広げるのには技術が必要です。ここの工程が右利きでないと出来ないのが「江戸うちわ」左右どちらの手でも糸を編み進めることが出来るのが「房州うちわ」

 太田屋さんもまた江戸から房州へ移ったうちわ屋さんのうちの一軒です。

 前述したようにプラスチックのうちわが安価で手に入るようになり、また扇風機やエアコンなどの電化製品があれば、暑さを感じずに済みます。そのような状況から、うちわの需要は落ち込みました。太田屋さんで作られるうちわも先代の時代までは、企業からの大量注文がほとんどでしたが、それらの注文はめっきり減りました。

骨を広げる前の状態の竹材

骨を広げる前の状態の竹材

 江戸っ子気質で商売に対して柔軟な考えを持っていた先代は「いずれ大量注文が入らなくなる時代が来る、そのときの為に、個人の要望に応える商品を作らなければならない」と常々言っていたそうです。そうして作られたのが「ゆかた地うちわ」です。ゆかたの生地がかわいらしく、また涼しげで味がある商品です。その後同じ理由で「ちりめんうちわ」を作るようになったのだとか。ゆかた地うちわは青山スクエアでも人気の商品。ゆかたを作るための生地を裁断して使っているので、模様も色も同じものは一つとしてありません。世界でたった一つしかない、というのも魅力的ですね。

うちわ

ゆかた地うちわ ちりめんうちわ

枇杷うちわ

枇杷を良く知る枇杷農家の方だからできたこのクオリティ!

 9月18日(金)~9月30日(水)の特別展「日本 ここに技あり!」に房州うちわもやってきます。オススメは枇杷のちぎり絵が施されたうちわ!南房総市は枇杷の名産地でもあるんです。ちぎり絵部分を担当しているのが枇杷農家の方なので、とってもおいしそうですね。ぜひ房州うちわを手に取ってその魅力を感じてください。

その他の参加産地情報:二風谷イタ・アットゥシ 弓浜絣 出雲石燈ろう

うちわの太田屋さんのホームページはこちら