伝統工芸 青山スクエア
青山スクエアブログ
2016/9/30(金)展示会情報

堺打刃物と宮城伝統こけしのトークショー

青山スクエアでは、今日から特別展「堺打刃物伝統工芸士展」と匠コーナー「宮城伝統こけし、木地玩具、挽き物展」が始まりました。

 

14時からは、青山スクエアの中央フロアにてトークショーが行われましたので、その時の様子をお伝えいたします。

 

まずは、堺打刃物の池田さんと笠原さんにお話しいただきました。

 

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マイクを持っているのが池田さん

 

 

堺打刃物は大阪府堺市で作られている伝統的工芸品です。

 

 

堺打刃物は昔から、刀と包丁の二つを作っていました。

両方とも基本的に材料は同じため、

両方を作っていたのだと思われます。

 

また作り始めたばかりの頃は、

種類の少なかった包丁ですが、

日本料理が繊細になっていくにつれて、

料理人からの要望も細かくなり、

その結果、包丁も種類が増えていきました。

 

包丁は、料理人からのリクエストで進化を遂げたとも言えるでしょう。

 

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また、和包丁と洋包丁の違いは、

包丁をどうやって使うのかが国によって違ったためにできたものだと、

池田さんはおっしゃっていました。

 

和包丁は繊細な切り方を求められていたので、

柔軟な包丁が必要でした。

 

包丁の材料として使われる鋼も、

一種類ではなく重ねることで、

どれだけ硬く鋭く作ったとしても、折れにくい性質の包丁ができました。

 

それに比べて洋包丁は、

基本的にはざっくり野菜を切ったり、

肉を切ったりするのに適した包丁を求められたため、

一種類の鋼で作る技法を採用しています。

 

そのため、硬く鋭く作ってしまうと、

折れやすいものになってしまうそうです。

和包丁に比べると、

柔らかく作られているものがほとんどというのが特徴ともいえます。

 

ただこれは、

洋包丁が悪いとかいいとかではなく、

その土地の料理に合わせ進化させていった包丁です。

 

洋食を作るのであれば、

洋包丁を、

和食を作るのであれば、

和包丁を使うのがベストと言えます。

 

続いて錆びについても、

お話をいただきました。

 

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マイクを持っているのが笠原さん

一般的に売られている包丁には、

錆びる可能性が高い包丁と、

錆びる可能性が低い包丁があります。

 

錆びる可能性が高い包丁は、

鋼で作られているものです。

 

といっても、きちんと手入れをしていれば、

鋼で作られている包丁でもひどく錆びることはありません。

 

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手入れ方法は、

使った後に水で洗い流し、

しっかりと水分をとって置いておくことです。

 

また、めったに使わない出刃包丁などの場合には、

水で洗った後、水分を拭き取り、

油を薄く塗っておく手法の方がいいのですが、

油を塗り過ぎるの油錆びが出来てしまうこともあるので、

気を付けた方がいいとのことでした。

 

また油を塗る以外にも、

中性洗剤をかけて包丁を立てて置き、

刃先にたまった洗剤を軽く拭き取っておいておくと、

中性洗剤が膜を張って、

錆びにくくさせるという効果もあるとおっしゃっていました。

 

そして、錆びる可能性が低い包丁と言えば、

ステンレスの包丁です。

 

鋼で作った包丁のように、

しっかりとした手入れをする必要はありませんが、

使いっぱなしで放置していると、

ステンレスでも錆びてしまうことがあるので要注意です。

 

最後に庖丁を研ぐことについても、

お話をしていただきました。

 

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家庭用の包丁であれば、

中目の1000番辺りの砥石がおすすめだそうです。

 

その後、和包丁の場合は、

仕上げ砥石を使うとよりいい仕上がりになります。

 

また砥石は、

一度使うと真ん中の辺りが少しへこんでしまったりするので、

砥石を研ぐための砥石も常備し、

使ったら包丁用の砥石を平らにするために砥いだ方が、

包丁に変な癖をつけさせずに砥ぐことができるとおっしゃっていました。

 

続いて、宮城伝統こけしの朝倉さんにお話をしていただきました。

 

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左側にいる男性が朝倉さん

朝倉さんは宮城伝統こけしを作って30年以上の匠ですが、

朝倉さんが作るこけしは、

他の人が作るこけしとはひと味もふた味も違ったものがほとんどです。

 

こけしで有名な産地といえば「遠刈田」「鳴子」「弥治郎」「作並」など。

東北の温泉地の近くで、

こけしは作られていました。

 

東北地方では、冬になると雪が大量に降るため、

家から出ることができなかったため、

冬の仕事として作り始めたのがきっかけだと言われています。

 

また、こけしは顔が大きく直立しているものが基本の形ですが、

これは昔、作り手だった人が、

赤子のおしゃぶりを見て、

それを元に作り始めたという説が残っているそうです。

 

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確かに、言われてみると、

おしゃぶりが原型だったようにも思えます。

 

朝倉さんの家は江戸時代から代々こけしを作っている家でしたが、

誰も後を継ごうとはしませんでした。

 

朝倉さんも同じで、

一番初めは機関士として船に乗っていました。

 

その後、家庭の事情もあり、

やがて朝倉さんは家業を継ぐことになり、

現在に至っています。

 

ただ、船に乗って外国に行くことが多かったため、

外国語が出来るということで、

こけしの作り手になってからも、

外国でのイベントなどの話があると朝倉さんのところに来るため、

機関士として仕事をしていた時代が、

現在にちゃんと役立っていると話していました。

 

また朝倉さんは、

全国47都道府県すべての場所に出向いて、

こけしのイベントを開いたり、

販売に出向いたりとかなりアクティブに工芸士活動をされています。

 

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そんな朝倉さんが作るこけしは、

曼荼羅のこけしであったり、

こけしの中にこけしが入っているものであったりと、

ユニークな物ばかり。

 

周りに受け入れてもらうまでに時間は要したものの、

今では人気の作り手となっています。

 

これからも、新しい形のこけしを作っていくとおっしゃっていたので、

目が離せないこけしの作り手と言えるでしょう。

 

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今回のトークショーでお話をしていただいた、池田さん、笠原さんは、青山スクエアにて10月12日まで「堺打刃物伝統工芸士展」を開いています。

朝倉さんは、青山スクエアにて10月5日まで「宮城伝統こけし、木地玩具、挽き物展」を開いていますので、ぜひ青山スクエアまでお越しください。