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TRADITIONAL CRAFTS

信楽焼Shigaraki Ware

天平時代に聖武天皇が紫香楽宮(しがらきのみや)を造るにあたって、瓦を焼いたのが始まりといわれ、日本六古窯の1つに数えられています。
鎌倉時代には水がめや種壷が作られ、室町・安土桃山時代には茶道具の生産が盛んとなり、多くの名品が生まれました。
江戸時代には登り窯によって、茶壷をはじめ多種多様な生活雑器が作られました。大正時代から第二次大戦前までは火鉢が主力商品でしたが、現在では生活に根ざしたタイル・花器・食器・置物等、土の持つ味わいを生かした製品が作られています。

Recognized as one of the six old kilns or Rokkoyo in Japan, the origin of Shigaraki Yaki dates back to the making of roofing tiles for the Shigaraki palace by Emperor Shomu during the Tenpyo period beginning in 730.
Water jars and large pots for seeds were made during the Kamakura period (1185-1333) and then during the following Muromachi and Momoyama periods spanning the next 300 years, large numbers of tea bowls and other articles associated with the tea ceremony were produced, some of which became extremely well known. With the introduction of noborigama, the distinctive climbing kilns, a great variety of everyday goods was produced alongside tea jars. It was mainly hibachi (charcoal braziers) that were produced in the period from 1912 up to the beginning of World War II. Today, however, such things as tiles, flowers vases, tableware and ornaments rooted in daily life are being produced, making the most of the qualities of the clay from which they are formed.

Many large pieces are being made, which use the clay to the best advantage. Because noborigama and anagama (a simplified climbing kiln) are used, a number of things happen during firing, to produce effects special to this ware. First of all, a "natural glaze" is produced when the ash from the wood with which the kiln is fired melts. A random reddish pattern forms over the surface of a pot and the ash melts to produce a glaze on the surface. There is no decoration except the accidents of nature. A wide range of goods is made including tableware, flower vases, pots for umbrellas, ornaments, plant pots and other garden features.

  • 告示

    技術・技法


    はい土は、水簸をせず、製造すること。


    成形は、ろくろ成形、押型成形又は手ひねり成形によること。


    素地の模様付けをする場合には、「松皮」、「虫喰い手」、「布目」、「印花」、「線彫り」、「櫛描」、
    「トチリ」、「掻き落とし」又は「化粧掛け」によること。


    絵付は、手描きによる下絵付とすること。この場合において、顔料は、鬼板又は呉須とすること。


    釉掛けをする場合には、「重ね掛け」、「流し掛け」、「浸し掛け」、「ろう抜き」、「イッチン」、「片身掛け」、「吹き掛け」、「はけ掛け」又は「はけ目」によること。


    素地の模様付け、絵付及び釉掛けをしない場合には、登り窯又は窖窯による自然釉又は火色を現出させること。

    原材料


    使用する陶土は、「実土粘土」若しくは信楽産のがいろ目粘土若しくは木節粘土又はこれらと同等の材質を有するものとすること。


    使用する化粧土は、「白絵土」又はこれと同等の材質を有するものとすること。

  • 作業風景

    信楽焼は、日本六古窯の一つで、1200余年の昔、奈良時代から始まっています。信楽一帯は類いまれなる優れた陶土の産地で、可塑性とともにコシの強さが特徴です。また焼成によって得られる暖かみのある「火色(緋色)」、自然釉による「ビロード釉」と「焦げ」の景色の味わいが妙味をかもし出しています。その素朴さ、渋さは、室町時代からの茶道文化の隆盛とともに、「わびさび」の風情を表現した焼き物として珍重されてきました。現在まで、茶道具、花器を初めとする小物陶器から庭園用陶器、建築用陶器、食器類等など、暮らしに根づいた陶器が幅広く生産されています。信楽焼の工程は、陶土作りから始まりますが、ここでは、成形から本焼きまでの工程をご紹介します。
    *可塑性=強い力が加わった時に、形が変わり、そのまま元にもどらない性質。

    工程1: 成形(せいけい)

    陶土は、木節粘土(きぶしねんど)や蛙目粘土(がいろめねんど)などの原土を乾燥させて、粉砕し、水で混ぜ合わせて練り上げます。約20種類ほどあり、用途に応じて使い分けます。
    この陶土を空気を抜くためと土ムラをなくすために、土をつかんで台にたたきつけるように押し、またたたきつけます。こうして何度も揉みあげます。
    ひも状にした陶土を、ろくろの上で輪の形にひねりつけながら上へ上へと積み上げていき、手に水をつけてろくろをまわし、表面を滑らかに整えながら、しだいに上にのばしていき、形作っていきます。ろくろを使う他、手ひねりや、石膏型による型作り、鋳込み成形などの方法もあります。

    工程2: 模様づけ

    削ったり、印を押したりして、素地に模様をつけます。「松皮」「布目」「線彫り」「印花」「掻(か)き落とし」「トチリ」などの手法があります。

    工程3: 絵つけ

    作品によっては、手描きで下絵つけをする場合もあります。顔料は、鬼板(おにいた)または呉須(ごす)を用います。

    工程4: 釉(くすり)かけ

    よく乾かした器物を、750度位で素焼きした後、釉かけします。釉は、灰を使った灰釉が多く、土灰、わら灰、長石、木灰をもとにしています。これに色をつけるため、酸化鉄、酸化銅、酸化コバルト、マンガンなどの金属粉を加えます。釉のかけ方にも、「流しかけ」「重ねかけ」「浸しかけ」「ろう抜き」などの手法があります。

    工程5: 本焼き

    窯の内部に器物を並べて、1300度前後の高い温度で本焼きします。登り窯では、窯焚きを昼夜24時間で1週間以上も行います。焚き終わったら、2、3日おいて自然に冷めてから窯出しします。焼き上がったものは、成型した時よりも、焼き締まって、13%ほど小さくなります。釉がかかったものは、空気をよく通して焼く(酸化)場合と、空気が少ない(還元)場合では、釉色が異なります。また、素地の模様つけ、絵つけ、釉かけをしない場合でも、登り窯または穴窯で焼成することにより、信楽焼き独特の自然釉や火色があらわれます。現在では、薪だけでなく、灯油やガス、電気などを利用した新しい窯も増えています。

     

  • クローズアップ

    1300度以上の炎と土が織り成す芸術、信楽焼

    信楽焼と言えば、「たぬき」がトレードマークだが、奈良時代以来の歴史を誇る古窯で、茶道の「わび」に通じる簡素美は、時代を超えて愛されてきた。登り窯にこだわる宗陶苑上田宗寿さんに、信楽焼への想いをうかがった。

     

    登り窯と薪手作りの技法にこだわる

    信楽の地は、1200余年も前に聖武天皇が紫香楽宮を造営する際に、瓦を焼いたことから始まった陶芸の街。あちこちに窯元や販売元、ギャラリーがひしめく。その中でも、上田さんが社長を務める宗陶苑は、日本最大規模の11室の登り窯を持ち、しかも薪焚きにこだわる信楽唯一の窯元である。
    「私が開窯した昭和26年頃、信楽では、火鉢などの生活雑器が量産される最盛期でした。しかし私は、茶わんや花器などを手作りで作りたかった。登り窯で焼く場合は、火ぶくろから薪に火をつけ、火ぶくろの温度が上がると、器物を並べた一の間の温度も高くなり、一の間の温度が上がると火ぶくろ焚きを終えて、一の間の焚き口から直接薪を入れて間焚きをし、一の間が焚き上がると次の間に移る。それがうちでは11室あるんです。本焼きに入ると、24時間10日間近く、火の色や器物の肌色を見ながら薪をくべて1300度以上にまで温度を高め加減をする。職人の経験や技量が問われ、ごまかせません。機械で温度管理する方が、失敗は少ないのは確か。しかし、伝統工芸というのは、手作りが基本。だからこそ、機械に頼ることなく、登り窯と薪にこだわりたいんです」。

    11室もある日本最大の登り窯の入り口

    緋色・自然釉・焦げの妙味

    信楽焼の作品を見る時、その景色のポイントは3つあるという。1つは、焼成することで出る「火色(緋色)」。2つめは、焼成の際に薪の灰が土の長石と溶け合ってガラス質のよどみや筋を作る「ビードロ釉」。3つめは、器物の裾が灰に埋もれ黒褐色となる「焦げ」である。これらが調和して、信楽焼独自の簡素美を奏でる。
    「私は、陶芸の道に入って60年を超えました。こんな景色の作品を作りたい。だから、土やへらは何を使うか、薪も赤松だけでなく、雑木薪をこれくらい混ぜて・・・、というようにきっちりと計算をしながら作るのです」と、永年の経験が裏打ちされた土と炎を巧みに扱えるゆとりをかいま見せる。

    上田さんの技が冴える味わいの深い作品

    焼きものは、技術の研鑽あるのみ

    上田さんは、以前インドに旅行した時、衝撃的な出合いをしたという。道端で男性が、稚拙な道具でろくろを回し、陶器を焼いている。聞くと、土は田の泥だという。「焼き物は、土の良しあしではなく、技術の研鑽だと悟りました。地球がある限り、焼き物はなくならない。もちろんいい土にこしたことはない。しかしたとえ悪い土であっても、よいものを創りだせる。それほどの技がないとダメ。先人が生み出した伝統の技術を受け継いだ後人の務めだと思います」。経験に安穏とすることなく、さらに自分自身に厳しく課題を与える。それが、上田さんの作品に見られる勢いを与えるのかもしれない。

    作業場の上田さん

    陶芸教室は、後継者育成の一環

    現在信楽の地だけでなく、日本全国の窯元で陶芸教室が人気を呼んでいるが、全国に先駆けて始めたのは、上田さんである。「ある地方の窯元を訪ねた時、そこの老陶工が、小学生に焼き物の歴史や特徴を語っていたのです。これは、後継者の育成に大切なことだと思いました。それ以来、産地見学の子どもを受け入れ、陶芸教室を始めました。一人でも多くの人が土に触れ、物を作る喜びを知ることで、焼きものの魅力に関心を持ってもらえるとうれしいですね」と語る上田さんの眼差しは、信楽焼のみならず、焼きもの文化の未来にむけられている。

    宗陶苑の広大な敷地に、えんえんと大物の焼き物が並ぶ。敷地内には、資料室や、陶芸教室、工房、茶室などがある

    職人プロフィール

    上田宗寿 (うえだそうじゅ)

    号は寿方(じゅほう)。
    大正14年生まれ。
    窯元宇左衛門家6代目。
    株式会社宗陶苑社長、信楽焼伝統工芸士会会長、信楽町文化協会顧問。

    こぼれ話

    現代の暮らしにマッチする信楽焼

    信楽焼きの歴史は、奈良時代聖武天皇が紫香楽(しがらき)宮造営にあたり、瓦をこの地で焼いたのが始まり。鎌倉から室町時代にかけて農器が焼かれ、また室町からの茶道文化の隆盛とともに茶道具が作られました。江戸時代から現代まで、植木鉢、火鉢、食器、花器と、人々の暮らしに根づいた陶器が生み出されてきました。近年は、ブームのガーデニンググッズや建築用のタイル、インテリア用品など、多様な魅力が広まっています。
    ヒーリングとして注目されているキャンドル用のスタンド

    • インテリアとして楽しむスタンド。シックで、シンプルだから、どんな部屋にもマッチし、センスアップできそう

    • 今ブームのガーデニング用植木鉢。どんな花も引き立ててくれる風合い

     

概要

工芸品名 信楽焼
よみがな しがらきやき
工芸品の分類 陶磁器
主な製品 花器、食器、傘立、置物、植木鉢、庭園用品
主要製造地域 滋賀県/甲賀市
指定年月日 昭和50年9月4日

連絡先

■産地組合

信楽陶器工業協同組合
〒529-1811
滋賀県甲賀市信楽町江田985番地
TEL:0748-82-0831
FAX:0748-82-3473

http://www.shigaraki.ne.jp/

■関連展示場・施設

特徴

陶土の特性を生かした大物陶器が多く作られています。登り窯や穴窯を使って焼くため、窯の中で素地の表面に、燃やしている薪の灰が付いて溶け釉薬(ゆうやく)の役割りを果たす自然釉(しぜんゆう)や、陶器の表面に現れる「火色」と呼ばれる赤いまだら模様、焼けた薪から出る灰が落ちて表面に溶け付く「灰かぶり」等の特徴があります。素朴な土の味わいがポイントです。

These potteries are mostly large pieces created taking full advantage of the characteristics of the clay. As these potteries are baked in ascending kilns and hole-type kilns, typical features include the natural glazing caused by ash from the burning wood sticking to the bottom of the oven and fulfilling the role of melted glaze, the red mottled patterns called “fire color” appearing on the surface of the pottery, the ash marks ("haikaburi") left on the surface by the burnt wood, etc. In other words, their special quality is their rustic feel.

作り方

信楽やその近くで採れる木節(きぶし)・蛙目(がいろめ)・実土(みづち)等の原料を細かく砕いて混ぜ、水分とともに良く練った陶土を使います。ろくろ等で形を作り乾燥した後、素焼をし、釉薬を施し、約1200度の高温の窯で焼き上げたものが製品となります。

The kibushi, gairome and mizuchi clays which are extracted in Shigaraki and its vicinities are finely crushed and mixed, kneaded together with water and used as pottery clay. After being shaped on a potter’s wheel or a similar instrument and properly dried, the pots are bisque-fired and glazed and finally baked in kilns at about 1200 °C.