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TRADITIONAL CRAFTS

八女福島仏壇Yamefukushima Household Buddhist Altars

八女福島仏壇の始まりには次のような話が残されています。江戸時代中期、一人の指物大工が、ある夜、荘厳華美な仏閣の夢を見て思い立ち、同業者に協力を求めて仏壇製造を志したというものです。
実際に製造技術が確立されたのは、もう少し後の19世紀半ば頃で、これが九州での仏壇製造の源となっています。江戸時代末期には仕上師18人、金具師14人、彫刻師7人、仏師7人、木地師10人を数えるほどに発展しました。

One night in early 19th century, a cabinet maker dreamt about an extremely beautiful, majestic Buddhist building. Inspired by his dream, he enlisted the help of work mates and together they built a Buddhist household altar. This is the story behind the origins of the Yamefukushima Butsudan.
It was not until about the middle of the 19th century, however, that production techniques became established and altar making in Kyushu really got its start. By the end of the Edo period (1600-1868), the craft had developed into a small industry employing 18 finishers, 14 craftsmen making the fittings, seven sculptors, seven sculptors making images of the Buddha and ten specialists preparing the wood needed.

In order to maintain the quality and particular character of the Yamefukushima Butsudan, almost all of the work is done by hand using materials that have traditionally been used since before the Edo period. Large areas of the altar are gilded, bringing out its best features.

  • 告示

    技術・技法


    「木地」の構造は、「ほぞ組み」及び「ほうき摺り」による組立式であること。


    宮殿造りは、「合組み」によること。


    塗装は、精製漆の手塗りとすること。


    蒔絵及び金箔押しをすること。

    原材料


    木地は、スギ、ヒノキ、ヒバ、ベニマツ、若しくはホオ又はこれらと同等の材質を有する用材とすること。


    金具は、銅若しくは銅合金又はこれらと同等の材質を有する金属製とすること。


    漆は、天然漆とすること。

  • 作業風景

    木地、宮殿、彫刻の木工部門の一部を除き、すべて職人の手作業で作られます。その工程は80以上におよび、各技術はいずれも10年以上の修練を要するものです。ここでは主な流れを紹介します。

    工程1: 木地(きじ)造り

    厳選されたスギ、ヒノキ、ヒバ、ベニマツ、ホオノキなどの木材で仏壇の本体を作ります。まずは寸法を割り出し、大枠の形を作っていきます。土台部分の構造は3段台輪の「福島型」、戸棚型の「八女型」、2段の台輪に引き出しをつけた「八媛型」があります。土台より上の部分は、解体できるよう組立式に加工されます。

    工程2: 宮殿(くうでん)造り

    宮殿とは、仏壇内部にある屋根やその周辺部分を指します。宗派ごとの寺院の建築を形どったもので、東西本願寺の屋根を模して作っています。細かな部品を手仕事で作り組み立てていきます。設計図は「ものさしひとつ」、すべては頭の中で出来上がっていく作業です。

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    工程3: 彫刻

    木取りした材料に各宗派によって定められた図柄を鉛筆などで描いて仕上げていく「丸彫り」と、図柄を考慮して荒彫りすることから始める「つけ彫り」と「重ね彫り」があります。「重ね彫り」は3枚の彫刻を合わせ立体感を出すものです。木材はヒノキやベニマツなどを使い、何種類もの小刀やのみで彫っていきます。

    工程4: 金具(かなぐ)造り

    仏壇の金具もひとつひとつが手作りです。銅、銅合金、その他の地金を彫り、仕上げに純金加工などを施します。線を生かした仕上がりになる「毛彫り」と、立体感の出る「地彫り」の方法で加工されます。加工に用いられる鏨(たがね)は金具師自らが作るオリジナルです。絵柄は、その金具がどの部分に使われるかによって決められます。

    工程5: 漆塗加工

    型作られた木地の上に下地塗りしたのち、天然精製漆を塗ります。膠(にかわ)による下地は、砥の粉と膠(にかわ)を用い、木地のやせや漆の吸い込みを防ぎます。入念に炭研ぎされたのち上塗りへと進みます。堅地塗りの場合は、砥の粉や荒地の粉を用い、砥石で研いで仕上げます。下地が乾燥したのちには、朴炭や静岡炭で研磨します。最後は指と手のひらに角粉をつけて磨く技法で仕上げられます。彫刻など細かな塗装は、最初の段階では塗りムラを見つけやすい茶色のうるしを重ねます。漆の乾燥には埃がつかないようにするため、湿度と温度を管理する「漆室(うるしむろ)」が使われます。

    工程6: 金箔押し

    塗装の終わった製品に箔押漆を塗り、綿で拭き上げます。金箔を箔はさみで塗面に1枚ずつ張るか、金粉を施します。金具については同様に箔押を行い、飾りと保護を目的に炭火で焼き付けます。この工程でも「埃は命取り」、慎重な作業が続けられます。

    工程7: 蒔絵

    金具、彫刻で表現できない繊細な図柄を表すための作業です。漆で下地を描き、3~5時間くらい乾燥させます。そののち金粉や銀粉、貝などを蒔いて加筆していきます。金粉を蒔くタイミングはわずか2、3分、まさに「真剣勝負」です。

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    工程8: 総組立

    部品のすべてが一箇所に集められます。囲、宮殿、彫刻の木地加工から、漆塗、箔押、蒔絵などの工程を経た各部品は、それぞれ必要な箇所に金具をつけて組み立てます。仏壇の外部と内部の基礎となる部分はホゾによって組み立てられ、そのほか内蔵される部品ははめ込みによって仕上げます。総仕上げには特に長いキャリアが要求されます。

     

  • クローズアップ

    九州の仏壇製造の源流、八女福島仏壇

    八女地方には、仏壇や提灯、石灯ろう、手すき和紙など数多くの伝統工芸が息づいている。なかでも八女福島仏壇は「九州の創始」としてその技を誇る。代々腕をふるう職人たちに、仏壇づくりの歴史やこだわりを聞いた。

     

    荘厳華麗な仏閣の夢

    八女地方で仏壇づくりの技術が確立されたのは嘉永年間(1850年頃)で、九州の仏壇製造の始まりとされる。江戸末期には、仕上げ師18人、金具師14人、彫刻師7人、仏師7人、木地師10人を数え、明治維新後はさらに発展した。
    だが、これより時代をさかのぼった、こんな逸話もある。文政4年(1821年)のこと、指物大工の遠渡三作(とおわたり・さんさく)がある夜、荘厳華麗な仏閣の夢を見た。目覚めた三作は思いたち、大工仲間の井上利久平、平井三作の2人に協力を求めて仏壇づくりを始めたという。3人は八女福島仏壇の元祖として、八女市内にある石碑にもその名がしっかり刻まれている。

    八女伝統工芸館に並ぶ八女福島仏壇

    信仰心厚い土地柄

    筑後平野のほぼ中央に位置する八女地方は、古くから信仰心の厚い土地柄という。奈良時代に建立された大円寺や僧・行基ゆかりの光明寺などいくつもの寺があり、仏教が庶民に根付いていた。また、江戸時代には農民たちが天災や重税に苦しむなか、心の救いを信仰に求めた。こうした背景のなかから仏壇づくりが始まったとみられる。
    伝統工芸の紹介に熱心な日本民芸協団八女支部長の松田久彦さんは、「家の中で供養するのを重んじる真宗東本願寺系の寺や信者が多く、立派な仏壇で先祖を祀ることは家の信用にもつながった。豊かだった農民の暮らしも、仏壇産業を支えてきた基盤のひとつではないでしょうか」と話す。

    主流は家庭用、長く使えるのが自慢

    中型の家庭用が主流で、土台部分が3段の「福島型」と戸棚型の「八女型」、引き出し付きの「八媛型」の3種ある。仏壇づくりの製法は80工程余りにおよび、組立方式で仕上げられる。「竹釘の何本か外せばバラバラになるとですたい」と緒方隆介さん。分解掃除や修理をし易く、長持ちするのが特長だ。井ノ口敬三さんも「客の側に立った気持ちで作るとがうちのこだわり。手入れしてもらえば100年は大丈夫」と胸を張る。
    部品作りは10年以上のベテラン職人が受け持つ。手作りの部品には、ひとつひとつに個性が発揮され、八女福島仏壇仏具協同組合事務局の樋口和生さんは、「職人仲間が見れば、部品ひとつで誰の作品か分かるとです」。

    彫刻では何種類もの小刀やのみを使い分ける

    現代生活にマッチした仏壇も研究

    九州芸術工科大学の先生や学生が考案し、八女福島仏壇の後継者たちが試作した新しいタイプの仏壇もある。洋風のデザインで、ピラミッドや星、宇宙、砂漠の中のオアシスなどをイメージしている。小型で「部屋に溶け込む仏壇」を提案している。
    八女の仏壇店を訪れる若い客が、簡素化した仏壇の祀り方を要望する場合もある。現代の生活様式から生まれる意見のため、「なるべく希望に添いたいが、宗教のしきたりをあまりに無視した提案をするのはどうか?」と店主らの思いは複雑だ。一方で、核家族化が進み、一般家庭の建築様式は洋風になる傾向が強い。「時代のニーズを見据えることも、これからは必要」との思いもある。

    星や宇宙をイメージした新デザインの仏壇

    「日本一の仏壇」

    八女福島仏壇仏具協同組合は1992年、「日本一」大きな仏壇を作った。八女伝統工芸館に展示されている。高さ6.5メートル、横幅3.8メートル、奥行き2.5メートル、重さは2トン。実物大の仏像がすっぽりと入りそうな大きさだ。組合加盟の72社がそれぞれ職人を出し合い、半年の歳月をかけて完成した。その間延べ1,300人余りが得意の技を公開。野外テントの下、日ごろ手がけない大きな部品づくりに取り組んだ。
    産地間の競争や後継者難に見舞われ、停滞気味の組合がイメージアップを図ろうとしたもので、制作費は国などの補助を受けて3,500万円。今は八女市のシンボル的存在となっている。

    仏壇づくりの町のシンボル、日本一の大仏壇

    こぼれ話

    からくり人形の舞台に仏壇づくりの技

    毎年9月に、八女市の福島八幡宮で国指定の重要無形民俗文化財「八女福島灯篭(とうろう)人形」の公演があります。舞台にかかる赤い橋の上を、からくり人形が左右に動きながら舞い続けるというもの。舞台は3層の組み立て式屋台で、第1層は舞台下から糸で、第2層は左右の楽屋から押し棒で人形を操り、第3層は囃子(はやし)方が人形と息を合わせます。この屋台に仏壇づくりにある漆塗りや釘を使わない組み立て方式などの技が隠されているのです。
    もともと人形の燈籠(とうろう)を奉納する行事として始まったもので、やがて提灯の技術は舞台照明となりました。この民俗芸能の技が、仏壇や提灯の伝統産業を生み出したといわれています。

    • 屋台には仏壇の技も隠れる八女福島灯篭人形

     

概要

工芸品名 八女福島仏壇
よみがな やめふくしまぶつだん
工芸品の分類 仏壇・仏具
主な製品 金仏壇
主要製造地域 福岡県/八女市、久留米市、筑後市、みやま市、八女郡黒木町、広川町、立花町、矢部村、星野村
指定年月日 昭和52年3月30日

連絡先

■産地組合

八女福島仏壇仏具協同組合
〒834-0031
福岡県八女市本町2-123-2
八女伝統工芸館内
TEL:0943-24-3941
FAX:0943-24-3943

http://yamebutsudan.or.jp/

■関連展示場・施設

特徴

品質や八女福島仏壇の持ち味を保つために、材料は、江戸時代以前から伝統的に使用されてきたものを用い、ほとんどが手作りです。全体的に金箔が施され、仏壇の特徴を生かしています。

Most parts used in Yame Fukushima Butsudan are handmade and remains unchanged from what has been used before Edo period, to maintain the quality and the taste of the altar. Its characteristic feature is the gold leaf applied almost entirely to the altar.

作り方

工程は、彫刻加工、金具加工、塗装加工、蒔絵加工と総組立に分けられ、その工程数は80余りにのぼります。木地、宮殿(くうでん)、彫刻の木工部門の一部を除いて、ほとんどが手加工です。

There are more than 80 steps in total in seven sections to create an altar: engraving, metal fitting, painting, lacquering and assembly. Most parts, except a few in wood sculpture, Kuden and the wooden base, are handcrafted.

産地からの声

長い年月を経て、ローソクや線香のすす等で金箔がくすんでも、純金を使っているので、すす洗いをすればきれいになります。