江戸木版画

江戸木版画は、墨一色の版画の上に色を筆で彩色していくようになり、これらは丹絵、紅絵、漆絵として進歩してきましたが、色を板木で摺る工夫がなされ、二、三色の色摺版画(紅摺絵)ができました。さらに、明和2年(1765 年)には、金や銀まで摺り込み、中間色も木版で刷り上げることができるようになり、多色摺りのスタイルが確立されました。
江戸木版画の製造の技術・技法は江戸時代に確立し、その技術・技法は改良を重ねながら発展して今日まで継承され、東京都を中心として伝統的に製造されています。

  • 告示

    技術・技法

    1「彫り」にあっては、次の技術又は技法によること。
    (1)「墨板」は、「版下絵」の輪郭線に墨で描かれた墨線を小刀で彫ること。
    (2)「さらい」にあっては、のみを用いて行うこと。
    (3)「版木」の余白右下一から二センチメートルのところに直角に逆L字型の「鍵見当」及び「ひきつけ見当」を小刀又はのみで彫ること。
    (4)「色板彫」は、「校合摺り」一枚を用い各色ごとの部分を板に小刀又はのみで彫ること。

     

    2「摺り」にあっては、次の技術又は技法によること。
    (1)「校正摺り」にあっては、竹の皮を棒で巻いて小さな箒型に作った「とき棒」を用いて絵具を「版木」の上に運び、刷毛で絵具を広げること。
    (2)「見当」に合わせて紙を置き、「馬連」を用い、和紙の裏面から力を込め摺り込み、繊維の中まで絵具を摺り込むこと。
    (3) 色分けされた色板により絵具を淡い色から濃い色へと次々に摺り重ねていくこと。
    (4)「本摺り」にあっては、「校正摺り」と同様の技術又は技法によること。

     

    原材料

    1「版木」にあっては、桜材を用いた「無垢板」又はこれらと同等の材質を有する用材とすること。

    2 和紙は、「生漉奉書」とすること。

    3「ドーサ引き」にあっては、膠や明礬を混ぜて水で薄めた液を用いること。

概要

工芸品名 江戸木版画
よみがな えどもくはんが
工芸品の分類 その他の工芸品
主な製品 木版画
主要製造地域 東京都/荒川区、新宿区、足立区、台東区、中央区、文京区、目黒区、練馬区、西東京市  千葉県/松戸市  茨城県/常総市
指定年月日 平成19年3月9日

連絡先

■産地組合

東京伝統木版画工芸協同組合
〒112-0005
東京都文京区水道2-4-19
TEL:03-3830-6780
FAX:03-3830-6781

http://edohanga.jp/

■海外から産地訪問
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江戸木版画~産地訪問記事

実店舗青山スクエアでご覧になれます。

特徴

江戸庶民の生活に密着したもの、すなわち、庶民の暮らしを写し、喜びを刻み、夢や憧れを摺り上げたものが江戸木版画の特徴です。また、一組の版木から何百枚もの木版画が大量に製造されることも特徴です。

作り方

天然の桜の板を版木として使用し、これに彫師が彫刻をし、摺師が出来上がった版木に絵具を付着させ、版木の上から手漉き和紙をのせて、紙の上から竹の皮と葉で作られた馬連で摺りあげます。彫りの深さは深すぎても、浅すぎても次の摺りの工程に影響を与え、摺りは気温や湿度などの外的変化により版木にのせる絵具の分量を変えるなど、作品を仕上げるには、彫師、摺師それぞれの経験による微妙な調整が必要なため、手作業に頼らざるを得ません。また、摺り重ねる度数も30 回を越えるものもあり、極めて精緻な手工業性が求められます。

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