大谷焼

徳島県

安永9年(1780)徳島藩主から南京・唐津(磁器の焼成)をするよう命令がおり、九州より職人を多く雇い入れ、藩窯を造り、磁器の生産を開始しましたが、
材料が地元にないため損失が大きく、短期間で閉窯しました。その後、天明4年(1784年)納田平次平衛が信楽焼の職人を雇い陶業技術を習得し、大谷村(現在の鳴門市大麻町)に登り窯を築き、陶器(民窯)の生産を開始したことが大谷焼の創始とされています。
明治時代には藍甕、大正時代には戦時景気と多様な変遷を経て、今日では大甕から日用雑器まで広範な製品が生産されています。

  • 告示

    技術・技法

    1 胎土は、湿式においては水簸をして製造すること。乾式においては水簸せず製造すること。

    2 成形は、ろくろ成形によること。

    3 釉掛けは浸し掛け又は流し掛けによること。この場合において使用する釉薬は、姫田粘土・石灰・土灰・長石・珪石・鉄を調合したものとすること。

     

    原材料

    使用する陶土は「萩原粘土」「讃岐粘土」「姫田粘土」またはこれらと同等の材質を有するものとすること。

  • 作業風景

    大谷焼は徳島県の地元で産出する土を使って作ります。
    大谷焼には水簸(すいひ)を行う湿式と水簸を行わない乾式の2つの製法があります。
    ここでは湿式と呼ばれる方式の工程をご紹介します。

    工程1: 粉砕

     

    原土を採掘し、乾燥させて細かく砕きます。

    工程2: 篩(ふるい)

    砕いた土をふるいにかけて精製します。

    工程3: 水簸

    精製した土を水槽に入れ撹拌しながら別の槽に向けて流し、篩でこした後に溜め、陶土を沈殿させます。陶土はもり鉢に入れ粘土状の固さになるまで放置します。

    工程4: 土練(つちねり)

     

    粘土状になった土を足で踏みつけ均一な固さにします。(荒練り)
    次に手で揉んで粘土中の空気を抜き、成形しやすい状態にします。(菊練り)

    工程5: 成形

     

     

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    土練後の粘土をろくろに乗せて手で形を作ります。
    大谷焼の特徴である特に大きい製品を作る時は、寝ろくろという技法を用い2人がかりで成形します。

    工程6: 乾燥

    適度に乾くまで屋内で陰干しし、その後天日で乾燥させます。
    甕や鉢など大物の場合は、屋内で約20日間、屋外で2~3日乾燥させます。
    酒器など小さなもの場合は、屋内で約2~7日間、屋外で1日乾燥させます。

    工程7: 施釉

    乾燥後の製品に釉薬を掛けます。素焼きをしないで釉薬を掛ける方法を生掛け(なまがけ)といいます。施釉の方法には、釉薬に器物を浸す「浸し掛け」や、柄杓などで釉薬を流し掛ける「流し掛け」があります。*生掛けを行わない製品の場合は、「素焼き」をした後に釉薬を掛けます。
    「素焼き」は、800℃前後で8~16時間かけて窯で焼きあげます。

    工程8: 窯詰

    施釉の済んだ製品を窯に詰めます。

    工程9: 焼成

    1,230℃の高温で焼き上げます。
    焼成には登り窯の場合5~6昼夜、電気窯、ガス窯の場合は1~2日間かかります。

    工程10: 検品

    焼き上がりの製品を検品し不良品を取り除きます。

    工程11: 完成

     
     

概要

工芸品名 大谷焼
よみがな おおたにやき
工芸品の分類 陶磁器
主な製品 酒器、かめ、鉢
主要製造地域 鳴門市
指定年月日 平成15年9月10日

連絡先

■産地組合

大谷焼陶業協会
〒779-0302
徳島県鳴門市大麻町大谷字西台3番地
大麻町商工会内
TEL:088-689-0204
FAX:088-689-0213

https://r.goope.jp/ootaniyaki

特徴

大谷焼は、徳島県鳴門市大麻町において、約200年前から焼き続けられている四国を代表する陶器の一つです。 身の丈ほどもある甕や睡蓮鉢の大物陶器の製作には、「寝ろくろ」(二人一組となり一人が成形を担当し、一人が寝ころび足で蹴ってろくろを回す)を使用して成形するのが特に有名で、それを焼く登り窯の大きさは日本一とも評されています。 また、酒器は精巧なろくろ技術により、非常に薄手でありながら丈夫であることが特色です。

作り方

大谷焼は、堆積粘土で鉄分が多い萩原粘土、讃岐粘土及び姫田粘土を主原料として、姫田粘土、石灰、土灰、長石、珪石、鉄を調合した釉薬を使い、浸し掛け、流し掛けにより釉掛けします。大谷焼の主要工程は、粉砕、篩、水簸、土練、混和、成形、乾燥、生掛け、素焼、施釉、窯詰、焼成、検品で、それぞれの工程が手作業で行われ、ろくろ、こて、亀板、布、かんな、なめし皮、切り糸、刷毛、柄杓といった昔ながらの道具が使われてます。

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