伝統工芸 青山スクエア

壺屋焼

沖縄県

17世紀後半、琉球王府によって美里の知花窯(ちばなかま)、首里の宝口窯(たからぐちがま)、那覇の湧田窯(わくたがま)が、現在の壺屋町に統合され誕生しました。

  • 告示

    技術・技法


    荒焼にあっては、次の技術又は技法によること。

     
    (1)
    はい土は、水簸をせず、製造すること。

     
    (2)
    成形は、ろくろ成形、手ひねり成形又は押型成形によること。

     
    (3)
    素地の模様付けをする場合には、はり付けによること。

     
    (4)
    焼成には、南蛮窯を使用すること。


    上焼にあっては、次の技術又は技法によること。

     
    (1)
    はい土は、水簸をして、製造すること。

     
    (2)
    成形は、ろくろ成形、押型成形、型起こし成形又は手ひねり成形によること。

     
    (3)
    素地の模様付けをする場合には、化粧掛け、掻き落とし、線彫り、象がん、印花、「飛ばしかんな」又は盛り付けによること。この場合において、化粧掛けは、浸し掛け、流し掛け、振り掛け、はけ目又は布掛けによること。

     
    (4)
    釉掛けは、浸し掛け、振り掛け、流し掛け又は布掛けによること。この場合において、釉薬は「シルグスイ」、「ミーシルー」、「クワデーサー」又は「具志頭イルー」とすること。

     
    (5)
    絵付をする場合には、手描きによること。

    原材料


    使用する陶土は、荒焼にあっては「島尻粘土」又はこれと同等の材質を有するものとし、上焼にあっては、「喜瀬粘土」、「古我知粘土」、「石川粘土」、「前兼久粘土」、「山田粘土」若しくは「喜名粘土」又はこれらと同等の材質を有するものとすること。


    使用する化粧土は、「喜瀬粘土」又は「安富祖粘土」とすること。

     

  • 作業風景

    壺屋焼には上焼(じょうやち)と荒焼(あらやち)の二種類があります。釉薬をかけて焼いたものが上焼、かけないものが荒焼です。上焼では食器、酒器、花器などが、荒焼ではおもに甕や壷が作られています。酒器のカラカラ、抱瓶(だちびん)、厨子甕、シーサー(獅子像)など、沖縄独特の形をしたものも多く、それぞれに合った多様な技法が使われています。釉薬はどれも身近な材料から作られ、ここにも沖縄の風土がいかされています。

    工程1: 陶土の採掘

    各地で採掘した白土と赤土を、恩納村の製土工場で配合します。ミルで混合し、ろ過、攪拌(かくはん)した後、フィルタープレスでしぼり、土練機で練り上げます。しばらく寝かせてから工房に運ばれます。

    工程2: 成形

    作るものによって、さまざまな技法を使い分けます。

    ろくろ
    左回転が基本です。昔ながらの蹴ろくろ(けろくろ)も使われています。
    押し型
    抱瓶や小さなシーサーに使われます。抱瓶の場合、陶土の板を石こうの型に張りつけ、二つの型を張り合わせて瓶の形にします。その後、口や耳をつけて仕上げます。
    木型
    死者の骨を収める厨子甕を作るときに使います。
    手びねり
    屋根などに魔除けとして置かれるシーサーなどは手で作ります。

    荒焼は、成形して飾りを付けたあと、乾燥させて焼きます。
    上焼は、次のような工程で作られます。

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    工程3: 化粧がけ

    形ができたら、白土を水に溶いたもの(ナブー)をかけます。化粧がけ(ジーガキー)といい、壺屋焼独特のあたたかい白い色ができます。赤土の素地を隠す役目をします。

    工程4: 加飾

    半乾きの状態で装飾をします。彫刻刀や鉄筆で絵を彫る線彫り、串がき、指がき、印花模様、飛ばしがんな、掻き落とし、流しがけ、彫刻のように盛り土するタックワァサーなど、さまざまな技法があります。一度本焼きしてから絵を付ける赤絵は、壺屋焼の中でも上等なものとされています。白い地と赤い絵のコントラストが、南国的な華やかさをかもし出します。

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    工程5: 上薬(釉薬)

    上薬にはいろいろな種類があります。サンゴ石灰岩にモミ殻を混ぜ合わせて焼き、白土を加えたシログスイ(透明釉)のほか、アカーグアー(飴釉)、オーグスヤー(緑釉)、クログスイ(黒釉)、藍色になるゴス(呉須)などが使われます。

    工程6: 焼成

    乾燥させてから、窯で焼きます。本土では一度焼いて、加飾してまた焼く二度焼きが一般的ですが、壺屋焼は一度が基本です。窯には次の二つの種類があります。

    登窯
    薪を炊く窯です。火を入れるとき、陶工たちは「ウマラシミソウレ」(いいものができますように)と祈りをささげます。火の様子を見ながら10数時間、薪を燃やし続けます。30時間かかることもあります。激しく煙が出るので、市街地の壷屋では使いにくくなり、読谷村に窯を移した工房もあります。

    ガス窯
    今はこちらが主流です。温度の加減がしやすく、一定の品質に焼き上がります。

    さましてから窯から取り出して完成です。

     

  • クローズアップ

    心なごむ、人と焼物の力強いあたたかさ

    琉球王国の時代から300年余り、那覇の壷屋の町で、陶工から陶工へ受け継がれてきたのが壺屋焼である。素朴なあたたかさは、沖縄を訪れる多くの人を魅了している。窯元の7代目、新垣勲さんにお話をきいた。

     

    やさしい白がなごやかな雰囲気を演出する

    琉球の人々は、海を越えて中国、タイ、ベトナムなどアジアの国々と盛んな交易を繰り広げてきた。南国の風土もあいまって、琉球王国では大和(日本)とは異なるのびのびと豊かな文化が花開いた。そのひとつが、地元の言葉で「やちむん」と呼ばれる焼物、壺屋焼である。壺屋焼の皿にチャンプルー(炒めもの)や刺身を盛ると、食卓はなごやかな雰囲気に包まれる。秘密は、生成りのようなやさしい白色。化粧がけといって、白土を溶いたものをかけた、壺屋焼ならではの色だ。人間国宝、金城次郎さんの作品をはじめ、魚の絵を大胆な線で彫った皿や壷が知られている。

    • 工房の中庭に立つ新垣勲さん

    • 新垣さんの作品。鳥文扁子壷、赤絵壷

    壺屋焼は大きく二つにわけられる。このように化粧がけに線彫りや赤絵をほどこしたものを上焼(じょうやち)、上薬をかけない素朴で力強いものを荒焼(あらやち)と呼ぶ。どちらも赤土がベース。魚、エビ、花など、モチーフにも南国らしさが感じられる。新垣勲さんは、魚や鳥を描いた躍動感あふれる作品をたくさん生み出している。工房を訪ねると、おばあちゃん、奥さんと一家総出で、絵付や線彫りの最中だった。新垣さんは、民芸運動の柳宗悦、浜田庄司らと交友のあった栄徳を祖父に、名陶工と呼ばれる栄三郎を父に持つ。焼物を始めたのは高校生のときだった。最初の一年はようじ入れにじっくり取り組んだ。次に湯飲み、花瓶、壷と、だんだん大きなものを習得していった。

    いいものは残り、悪いものは消えていく

    「苦しかったこと?ないです。普通ですよ。当たり前のことですから。」苦労を苦労と思わずに通りすぎてしまうような、気持ちのゆったりしたところが沖縄の人にはある。大胆な絵柄やほっこりした形は、そんな大らかさから生まれるのかもしれない。
    新垣さんは早くも二年目には、ほぼ思い通りの物が作れるようになったという。さまざまな工程の中でも好きなのはろくろびき。
    「なんでかねー。得意といえば得意なのかねえ。」
    今、新しい花瓶の形を模索中だ。
    「形が違えば花を生ける人の発想も変ってくるでしょう。思いついたらすぐ作ってみる。だめならやめてまた別のものを考える。いいものは残っていくし、悪いものは消えていく。」
    私たちが選ぶときは、どんなところに気をつければいいのだろうか。
    「焼物は使ってみないとわからん。実際に使ってから次を買ってほしい。」
    たとえば、ご飯茶碗の内側に線彫りの絵があるものは、食べるときに、はしが溝にひっかかることがある。店で見ているだけでは、こういうことは気付きにくい。
    酒を注ぐカラカラや、底が三日月型をした携帯用酒器の抱瓶(だちびん)は、沖縄らしいおみやげとして喜ばれている。泡盛を酌み交わすのにうってつけだし、インテリアとして飾っても力強さがある。シーサー(獅子像)も老若男女に人気が高い。新垣さんは、「伝統的なものは作り続ける。それとともに自分だけの作品、残るような作品を作っていきたい。」と話していた。

    • 線彫りは壺屋焼らしいダイナミックな技法

    • 壷屋の路地に入るとろくろの音が聞こえる

    職人プロフィール

    新垣勲 (あらかきいさお)

    窯元、新垣製陶所の7代目。高校生のときに仕事を始めて40年になる。壷屋陶器事業協同組合元理事長。

    こぼれ話

    災いから守ってくれるシーサー

    土は赤土がベースです。小さいものは手びねりで、大きいものはろくろも使います。手や足をろくろで作るのです。素焼きのものと釉薬をかけたものがあります。忠さんの父親の高江洲育男さんは、手びねりのシーサーで名高い「現代の名工」でした。忠さんはろくろの名手として、また勢いのある魚の絵などでも知られていますが、育男さんが亡くなってからはシーサーにも積極的に取り組んでいます。「うちの親父のシーサーはハンサムなんだよ。親父がやるのを見ていて、簡単そうに見えていたところがむずかしいね。」
    彫刻のように動きがあるので、作っていておもしろいそうです。

    • 育陶園のシーサー

    • 沖縄の街角のシーサーいろいろ

     

概要

工芸品名 壺屋焼
よみがな つぼややき
工芸品の分類 陶磁器
主な製品 酒器(カラカラ)、抱瓶(ダチビン)、獅子(シーサー)、壷
主要製造地域 那覇市、国頭郡恩納村、中頭郡読谷村
指定年月日 昭和51年6月2日

連絡先

■産地組合

壺屋陶器事業協同組合
〒902-0065
沖縄県那覇市壷屋1-21-14
TEL:098-866-3284
FAX:098-864-1472

http://www.tuboya.com/

特徴

沖縄の焼物(やちむん)は、上焼(じょうやち)と荒焼(あらやち)に大別されます。上焼は、釉薬(ゆうやく)を施した、沖縄独特の色合い・図柄の食器等が作られます。荒焼は南蛮焼とも呼ばれる、釉薬を使わない比較的大きなもので、酒かめ、水かめ類等が多く生産されています。

作り方

ろくろ、押し型、型おこし等の技法によって形を作ります。浸し掛け、流し掛け、振り掛け等の技法を使って、素地に白い土を水で溶いたものを化粧掛(けしょうがけ)し、掻(か)き落し、象嵌(ぞうがん)等で加飾します。 上焼は釉薬をかけた後、約1,200度の高温で焼き、沖縄独特の絵付模様の製品にします。荒焼は釉薬をかけず、約1,000度で焼き上げます。

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