技術・技法
1 下地は、大豆汁、カゼイン等を繰り返し塗付すること。 2 塗漆は、精製生漆を「すり漆」した後、精製透漆を塗付すること。 3 木地造りは、次のいずれかによること。 (1) 挽き物にあっては、ろくろ台及びろくろがんなを用いて成形すること。 (2) 板物又は曲げ物にあっては、「小割り」、「へぎ目起こし」又は「手かんなによる仕上げ削り」をしたものを、「留付け」、「すみ丸」若しくは「すみ切り」により、又はころ等を用いて成形すること。
江戸時代の初め、高山城下で神社や寺作りをしていた大工の棟梁(とうりょう)が、たまたま打ち割ったサワラの木の美しい木目を発見し、
そこから美しい枇目(へぎめ)の盆が塗り上げられました。色調が茶器の名品で加藤景正の飛春慶(ひしゅんけい)に似ているところから、春慶塗と名付けられたと伝えられています。
1 下地は、大豆汁、カゼイン等を繰り返し塗付すること。 2 塗漆は、精製生漆を「すり漆」した後、精製透漆を塗付すること。 3 木地造りは、次のいずれかによること。 (1) 挽き物にあっては、ろくろ台及びろくろがんなを用いて成形すること。 (2) 板物又は曲げ物にあっては、「小割り」、「へぎ目起こし」又は「手かんなによる仕上げ削り」をしたものを、「留付け」、「すみ丸」若しくは「すみ切り」により、又はころ等を用いて成形すること。
1 漆は、天然漆とすること。 2 木地は、ヒノキ、サワラ、トチ若しくはヒバ又はこれらと同等の材質を有する用材とすること。
飛騨春慶に使われる材は、ひのき、さわら、栃など。5~6年の長い時間をかけて十分自然乾燥させた材は、木地師の手によって木地に仕上げられます。できあがった木地は塗師の手へと回され、下塗り、摺り、上塗りが施されます。塗りの工程は、始めてから仕上げるまで3~4か月を費やします。何度も漆を重ねて摺りこむことで、美しくてじょうぶな漆器に仕上げられます。
「春慶には飛騨の伝統工芸が集約されている」という言葉通り、飛騨春慶は「木地づくり」と「塗り」が二者一体となって完成される。異なる工法で木地をつくる木地師2名と塗師、合わせて3人の職人にお話を伺った。
職人プロフィール
野口茂
1930年生まれ。 2000年には秋の叙勲を受賞された。 1950年生まれ。 「漆器もかしこまらず、柔軟に使いこなしてもらいたい」 1949年生まれ。 成田流宗家15代。「飛騨春慶を使った食事は、味も全然ちがいます」
こぼれ話
工芸品名 | 飛騨春慶 |
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よみがな | ひだしゅんけい |
工芸品の分類 | 漆器 |
主な製品 | 盆、花器、重箱、菓子器、茶道具、文庫、卓上品、和家具 |
主要製造地域 | 高山市、飛騨市 |
指定年月日 | 昭和50年2月17日 |
板を立体的に仕上げる曲げの技法は特に優れており、色々な製品に活かされています。飛騨春慶は、透明で木肌の持つ美しさをそのまま活かすところに特徴があります。
木地の変形を防ぐため十分な自然乾燥の後、形を作ります。生漆から独自の製法で透き通った漆を作り、この透漆(すきうるし)によって仕上げます。