技術・技法
1
木材の乾燥は、自然乾燥及び強制乾燥によること。
2
使用する板材は、無垢材とすること。この場合において、板材の厚さは、天板、側板、たな板、束板、かんぬき、地板及び台輪にあっては18ミリメートル以上(「姫箪笥」に使用する場合は、16ミリメートル以上)、裏板にあっては6ミリメートル以上とすること。
3
木地加工は、次によること。
(1)
本体の箱組みは、次の技術又は技法によること。
イ
側板に対する天板の接合は、5枚組以上の前留め組み接ぎ、前留めあり組み接ぎ又は留形隠しあり組み接ぎにより、側板に対するたな板の接合は、包み片胴付き追入れ接ぎ、包みあり形追入れ接ぎ又は剣留め両胴付き追入れ接ぎにより、側板に対する地板の接合は、5枚組以上の組み接ぎ又は包み打付け接ぎにより、側板に対する裏板の接合は、包み追入れ接ぎによること。
ロ
天板、たな板及び地板に対する束板の接合は、包み片胴付き追入れ接ぎ又は剣留め両胴付き追入れ接ぎにより、束板に対する裏板の接合は、平打付け接ぎによること。
ハ
天板に対する裏板の接合は、包み追入れ接ぎにより、たな板、地板に対する裏板の接合は、平打付け接ぎによること。
(2)
引出しに使用する板材は、無垢板又は化粧板張りとし、化粧板は、厚さ3ミリメートル以上の挽き板とすること。この場合において部材の接合は、包み打付け接ぎ、包みあり組み接ぎ、組み接ぎ又は片胴付き追入れ接ぎによること。
(3)
とびら又は引戸を付ける場合には、次の技術又は技法によること。
イ
板物にあっては、板材は、厚さ18ミリメートル以上(「姫箪笥」に使用する場合は、16ミリメートル以上)の無垢板又は化粧板張りとし、化粧板は、厚さ3ミリメートル以上の挽き板とすること。この場合において、部材の接合は、本ざね留め端ばめ接ぎによること。
ロ
枠物にあっては、板材の厚さは、枠板にあっては18ミリメートル以上(「姫箪笥」に使用する場合は、16ミリメートル以上)、鏡板にあっては6ミリメートル以上とし、枠の部材の接合は、留形やといざね接ぎ又は留形挽き込み接ぎにより、枠板に対する鏡板の接合は、段欠き打付け接ぎ又は片胴付き追入れ接ぎによること。
(4)
台輪を付ける場合には、台輪の四方の角の部材の接合にあっては留形片桐付き追入れ接ぎ又は包み片胴付き追入れ接ぎにより、根太の接合にあっては追入れ打付け接ぎによること。
4
塗装は、次の技術又は技法によること。
(1)
ふき漆塗にあっては、生漆を繰り返し塗付した後、精製生漆又は透漆を用いて「仕上げふき」をすること。
(2)
「木地呂塗」にあっては、クロメ漆を用いて下塗をし、木地呂漆又は呂色漆を用いて上塗した後、上塗研ぎをし「胴摺り」をすること。
5
金具の製造は、次の技術又は技法によること。
(1)
使用する地金の厚さは、0.8ミリメートル以上とすること。
(2)
「鏨彫り」は、手作業により彫り鏨を用いて行うこと。
(3)
「打ち出し」は、手作業により木台及び金鎚を用いて行うこと。
(4)
蝶番、錠及び鍵作りは、手作業によること。
(5)
引き手作りは、手作業により「わらびて型」、「もっこ型」、「ひるて型」又は「角手型」に鎚打ちし成形すること。
(6)
さび止めは、焼いた金具に動物性繊維をすりつけた後、ろうを塗り布で磨くこと。
(7)
色仕上げは、生漆を塗付し焼き付けること。