一位一刀彫

江戸時代末期に、飛騨の山のイチイという木材を用い、その木目の美しさを活かし、色を付けない独特の彫刻で根付が作られるようになり、そこから一位一刀彫が大きく成長しました。
それ以来飛騨を代表する彫刻として発展してきました。

  • 告示

    技術・技法


    原木の木目及び「白太」又は「赤太」部分の色を製品の表面に生かすように、紙型、のこぎり、つきのみ等を用いて「木取り」及び「粗彫り」をすること。


    仕上げは、製品の外形が鋭利又は簡潔になるように、のみ等を用いて彫ること。


    彩色をしないこと。

    原材料

    原木は、イチイとすること。

  • 作業風景

    イチイの原木は、飛騨一位一刀彫協同組合によって共同購入され、各職人さんに分配、それぞれの倉庫で自然乾燥されます。木取りから仕上げまで、丹念な職人の技によって作品になっていきます。

    工程1: 木取り

    木目や赤太・白太の状態を見極め、ノコギリやナタで下ごしらえをします。
    (イチイの木には赤太(あかた)・白太(しろた)の2つの色があります。表皮に近い部分は白く(白太)、内部は赤く(赤太)、それがはっきりとわかれていて美しく作品に生かされます)

    工程2: 荒取り

    作品のイメージを膨らませ、おおまかな輪郭を作っていきます。

    工程3: 荒彫り

    ダイナミックに彫り、作品のイメージを形にします。

    工程4: 中彫り

    大小さまざまなノミを駆使し、全体のバランスを考えながら、部分を彫り出していきます。

    工程5: 仕上げ彫り

    繊細なタッチですみずみまで仕上げていきます。

    工程6: ロー仕上げ

    丹念に磨き上げ、作品に命を吹き込みます。
    ローはイチイの持つ油気(タンニン質)を表面に誘い、時とともに色と艶を出します

概要

工芸品名 一位一刀彫
よみがな いちいいっとうぼり
工芸品の分類 木工品・竹工品
主な製品 茶道具、置物、面
主要製造地域 高山市、飛騨市、下呂市
指定年月日 昭和50年5月10日

連絡先

■産地組合

飛騨一位一刀彫協同組合
〒506-0011
岐阜県高山市本町1-10
津田彫刻内
TEL:0577-35-0321
FAX:0577-35-0321

特徴

色を付けずに木の特性を十分に活かした彫刻は、小動物や仏像等、細かな表情を巧みなノミさばきで作り出しています。一本の木から生み出される置物には迫力があります。

作り方

イチイを乾燥させ、イチイの木目の流れ、木の外側近くから採れる白太、木の中心部分からとれる赤太の色合いの違いが製品の形態とマッチするように工夫し、木を必要な大きさに切り取ります。彫りはノコギリ、ツキノミ等を用い手彫りによって行い、仕上げは表面にノミの彫り跡をそのまま残し、色は塗りません。

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