技術・技法
1
骨作りは、竹用の鋸、ナタ、切り込み機、小刀、打込み棒及び寸棒を用いて、竹挽き、割き、柄加工、鎌削り、編み及び付けをすること。
2
貼りは、次の技術又は技法によること。
(1)
貼立には、刷毛、ささら及びヘラを用いること。
(2)
型切りには、台付鋏又は型鎌を用いること。
(3)
へり取りには、刷毛及び小刀を用いること。
3
すじ入れには、へら又は筋入機を用いること。
四国の金比羅(こんぴら)参りの土産物として丸金印入りの渋うちわが考案されました。
江戸時代中頃には、丸亀藩が藩士の内職として勧めたことで、今日の丸亀うちわ作りの土台が出来ました。全国のうちわ生産量の約90%を占めています。
1
骨作りは、竹用の鋸、ナタ、切り込み機、小刀、打込み棒及び寸棒を用いて、竹挽き、割き、柄加工、鎌削り、編み及び付けをすること。
2
貼りは、次の技術又は技法によること。
(1)
貼立には、刷毛、ささら及びヘラを用いること。
(2)
型切りには、台付鋏又は型鎌を用いること。
(3)
へり取りには、刷毛及び小刀を用いること。
3
すじ入れには、へら又は筋入機を用いること。
1
竹は、マダケ、ハチク、メダケ又はこれらと同等の材質を有する用材とすること。
2
編みで使用する糸は木綿糸とすること。
3
地紙は、和紙とすること。
4
地紙に彩色を施す場合には、柿渋、天然漆、顔料、染料又はこれらと同等の材質を有する用材とすること。
素材の竹を平均40~45cmに切断した管(くだ)をうちわに適した一定の幅に割る。まっすぐ割れる竹の性質を利用した技である。さらに内側の節を削り取る。この作業から手に持った時の心地よい感触が生まれる。
「切り込み機」で穂先より約10cmのところまで切り込みを入れる。穂の数は35~45本もあるが、同じ間隔で裂いていく。目にも止まらぬ早業で、熟練した職人になると1日500~800本もこなしている。
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穴あけ用の「きり」を使って、鎌(弓竹)を通す穴を節部分にあける。ここに通す鎌は、別の職人の技でつくられる。
小刀で柄を削り、うちわの種類によって、いろいろ加工を施す。柄の部分の仕上げに当たる工程である。
弓竹を通した穂を糸で編む作業。主に女性の仕事で、昔は子供も手伝っていたという。慣れた手つきで器用に編み、1日平均300~400本を編んでいる。
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編んだうちわの骨の弓竹に形をつけ、編みのいびつさを直しながら、左右対称になるように糸をとじつける。昔は「付師」ともいわれた、年季のいる作業である。
うちわの骨の穂の部分に「のり」をつけ、地紙を貼りつける。
うちわの種類に応じて、満月、玉子型などに穂を仕上げる。たたき鎌を当て、木づちでたたくため、「たたき」とも呼ばれる作業である。
うちわの周囲に「へり紙」と呼ばれる細長い紙を貼り、危なくないように仕上げていく。この後、鎌の両端に「みみ」を貼り、ローラーで圧搾して筋を入れると、丸亀うちわができあがる。
江戸初期に盛んになった丸亀のうちわづくりは、代表的な地場産業として発展を続け、全国シェアの約90%を誇り、平成9年に国の伝統的工芸品に指定された。
うちわの需要は減少しているが、風情あふれるうちわは、日本の夏に欠かせない風物詩として、根強い人気がある。
「『お城とうちわの町丸亀』へようこそ」と香川県うちわ協同組合連合会の矢野会長は明るく、丸亀うちわの伝統と歴史、今後の展望を語ってくれた。「材料がすべて近くで間に合ったことが、ここまで丸亀でうちわが発展した理由ですよ。それと昔は金毘羅参りのお土産として、全国の参拝客がこぞってここのうちわを買ってくれたということで、大きく発展させてもらったということです。」現実問題として、実用品としての”うちわ”はどうなのであろうか。「そりゃ全国シェア90%を誇る伝統地場産業だけれど、急激な生活様式の変化で需要が減り、苦しい時期を迎えています。しかし、うちわ産業を守るためにインテリアにも使えるデザインうちわや、民芸品としての高級うちわの開発など業界としての努力も続けています。」「幸い、ゆとりと豊かさを求める生活ニーズの高まりとともに伝統文化を再認識する風潮も芽生えてきてまして、うちわ業界にとっても明るい兆しも見えてきています。」と矢野さんは熱く語ってくれた。
「また何よりエコロジーでしょうから。」とも。「丸亀うちわは歴史が育んでくれた”本物の実用品”なのですよ。本物は、できた時にもすばらしい。そして使えば使うほどにそのすばらしさが味わいとしてでてくるのです。作り手が自然の素材に話しかけながら、道具を入れていくのです。丸亀うちわの手ざわり、あおぎやすさなど本物だけが持つ価値観があります。」と最後まで力強く語ってくれた。
香川県うちわ協同組合連合会矢野会長
伝統工芸士の高出雅之(たかいでまさゆき)さんは、昭和3年生まれ。今でも現役で、伝統工芸のうちわを作っている。
「うちわは何といってもまず材料。そう、竹やな。真竹の3~5年生が一番やな。一番弾力がある。いい竹を見たら嬉しくなるのう。あんまり肥えた土地の竹はあかんぞ。水分が多いし、艶のありすぎる竹もうちわには不向きじゃ。」と切り込み機で竹を割きながら、いかにも竹がいとおしいというような表情で、高出さんは語った。
「その次は刃物やな。見てみ、この刀はこないなっとるけど、まだ現役やぞ。」と刃の真ん中がすりへった刀を見せてくれた。「その刀は何年くらい使っているんですか?」と聞くと、「そんなん、わからんわ。わしが仕事を始めたころからかもしれんな。職人は道具が恋人やろ、大切に使わな、いい仕事はできんよ。」と高出さん。日本人が忘れてしまった精神を高出さんは間違いなく持ち続けている。
伝統工芸士の高出雅之(たかいでまさゆき)さん
「昔の職人さんの修行はどんな感じだったのですか?」という問いかけに対して、高出さんは「最初の2カ月目で、いやになったわ。毎日竹を割ってばかりで、手が痛んでな。でも他に取柄はないし、じっと辛抱して、ただひたすら竹を割り続けた数年やったな。親方は何にも教えてくれんかった。昔はみな、そうよ。”無口”と言えばそれまでやけど、教えてできるもんでもないんやね。親方の手の動かし方、刃物の持ち方、角度、みんな見て覚えたんじゃ。昔は何でもそうじゃった。で、実際できたやつを見て『やり直し』と一言だけ。それの繰り返しやったの。つらいけど、やるしかなかったの。そのうち、竹と息が合うようになって、何とかまあまあ思うように竹が割れるようになったんや。その頃やな、親方に『やりなおし』と言われんようになったんわ。やけど(だけど)、もう50年近くも竹をいじっとるけど、手抜きはできんの。できたうちわがすべてじゃ。本物は柄の握りが違うし、風を送るのに力もいらんわ。」と魔術師のような早業で竹を割く”職人”高出さんの人生を知った笑顔が羨ましかった。
真ん中がすりへった刀
こぼれ話
高出さんご自慢の機械は切り込み機
「この切り込み機は大正2年に丸亀の人が発明した機械なんじゃ。この1cm5mm幅の竹の柄に36回も切り込みをいれるんじゃぞ。」
刃を動かす部分にほんの少し「あそび」があってその微妙な間隔がこの神業とも見える0.5mm幅の”割き”を可能にした機械ということである。
何回も何回も切り込み機について説明をされる高出さんがとても印象的だった。そして何回見ても、「おー!すごい。」と感動してしまうほどの職人技には、思わず尊敬の念を感じずにはいられなかった。
自慢の”切り込み機”
工芸品名 | 丸亀うちわ |
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よみがな | まるがめうちわ |
工芸品の分類 | その他の工芸品 |
主な製品 | うちわ |
主要製造地域 | 丸亀市 |
指定年月日 | 平成9年5月14日 |
香川県うちわ協同組合連合会
〒763-0042
香川県丸亀市港町307-15
うちわの港ミュージアム内
TEL:0877-24-7055
FAX:0877-43-6966
■映像
手技TEWAZA「丸亀うちわ」
丸亀うちわの特徴は、柄と骨が一本の竹で作られているものが多いことです。柄は丸柄と平柄の両方があります。
うちわの骨の部分は、マダケやハチク等の竹を削って作ります。次に、出来た骨に丁寧に和紙を貼り、色を付ける場合は柿渋や天然の漆を塗ります。