2019/11/6(水)

DAISE、金箔の自動裁断機 職人の高齢化に対応

産業機械製作のDAISE(金沢市)は金箔の裁断機を開発した。サイズを指定すれば、積み重ねた箔を装置が自動で裁断する。金箔を切断するには高度な職人技が求められるが、職人の高齢化と後継者不足が課題になっている。金沢大学での研究成果を取り入れ、高い精度で機械による裁断ができるようになった。金箔以外にも切断に時間のかかる銀箔やアルミ箔になど幅広い活用が期待できる。

1辺あたり3寸6分(約10.9センチ)から7寸(約21.2センチ)まで8種類のサイズに対応し、誤差0.1ミリの精度で正方形に切断できる。職人が実際に裁断する手の動きを参考に、刃物全体を斜めに動かして徐々に切り進めていく。

裁断時には装置が傾き、切断したくずが下に落ちる

裁断時には装置が傾き、切断したくずが下に落ちる

切断するには箔と紙を交互に重ねた積層を装着し、切りたいサイズのナイロン製の箱を上から押さえる。操作パネルでサイズを指定し、スタートボタンを押すと裁断が始まる。1辺の裁断には約2分間かかる。

1辺を切り終えたらハンドルで金箔の積層を回転させ、4辺を切っていく。裁断中は装置が傾き、切られた金箔と紙くずは舞うことなく下に落ちる。金のくずはもう一度集めて再利用する。

刃物は円形を採用した。円の縁は全て刃になっており、素材は強度と耐衝撃性に優れている。摩耗を抑えるために一度切ると刃を少し回転させ、別の部分で切っていく。

裁断を自動化するには、刃を上から押しつけすぎて金箔同士がくっついたり、金箔に紙の模様がついてしまったりする課題を克服する必要があった。金沢大学の関啓明教授が箔の切断に適した刃物や精度高く切り込む方法を研究し、DAISEが機械化した。

装置の開発は半年ほどかかり、今年8月に石川県箔商工業協同組合に納入した。組合は10月から運用を始め、金箔に限り、職人らが持ち寄って切断できるようにしている。

従来の作業工程。打ち延ばされたのち、職人が手で切りそろえていた

従来の作業工程。打ち延ばされたのち、職人が手で切りそろえていた

開発の背景には、金箔を扱う職人の高齢化と後継者不足がある。同組合によると、金箔を裁断できる職人は40~50人程度いるが、平均年齢は65歳以上。箔の裁断に使う刃物の職人は全国に数人しかおらず、伝統技術の存続が危ぶまれている。

装置は金箔だけでなく、銀箔やアルミ箔にも対応している。例えば銀箔は金箔よりも硬く、切断作業に数時間かかる。組合は将来的に金箔以外にも利用を広げたい考えだ。

装置は高さ150センチ、横幅80センチ、奥行き80センチ。切断サイズを小さくすれば小型化できるほか、1辺ずつ手動で回転させる仕組みは自動化できる。同社の大久保龍司社長は「金箔の伝統工芸は既によく知られた金沢のブランドだが、機械産業で全国有数の産業集積があることはよく知られていない。伝統工芸との相乗効果で、認知度を上げていきたい」と話している。

(前田悠太)

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