2018/8/16(木)

英仏伊薫る 繊維人の城 綿業会館(もっと関西)

 大阪・船場の綿業会館は重厚な石造りの外観。歴史と風格を感じさせるが、現代のオフィス街にもとけ込む素朴なたたずまいだ。三休橋筋沿いの玄関も装飾を抑え、落ち着いた印象を与える。だが扉を開けて内へ入ると一気に視野が開け、豪勢な内装に圧倒される。
 頭上のシャンデリアが玄関ホールの広い空間を照らし出す。大理石を敷き詰めた床、眼前にそびえる左右対称の石段。整った石造アーチから廊下へと導かれる。荘厳さの中に調和を見いだすイタリアルネサンス様式でまとめられている。

■壁面に「抽象画」

 「部屋ごとの様式の違いに注目して下さい。綿業会館の魅力です」。建物を管理する日本綿業倶楽部の品川和三総務部長が言う。綿業会館は大阪の繊維産業が大いに繁栄した昭和初期、繊維産業を中心とする経済人たちの交流の場として建造された。多様な様式を取り入れることで、各国からの賓客に対応することを想定したのだという。
 3階の談話室は17世紀前半の英国で流行したジャコビアン様式。重厚で直線的なデザインと豊富な装飾が特徴だ。木製の壁や床、柱に細かな装飾が施され、黒光りを放つ。
 室内には同じ様式のテーブルと椅子が並び、往事の繊維人たちがくつろぐ様子が想像できる。ひときわ目を引くのが壁一面を使った清水焼のタイルタペストリー。高さ6メートルの天井までを埋め尽くす。遠目では巨大な抽象画のようであり、近づくと多種多様な模様が楽しめる。館内で最も豪華な場所と言われる。
 3階会議室は通称「鏡の間」。壁の大きな鏡に由来する名称だ。ナポレオン帝政下のフランスで流行したアンピール様式。直線的で均整を重んじる。「じゅうたんをめくってみて下さい」と品川部長。天然石の床材にアンモナイトの化石がいくつも目にできる。木製かと思った扉の枠や壁の部材も、よく見ると木目調の大理石。見上げれば、楕円形にかたどられた天井が不思議な雰囲気を醸す。
 貴賓室と呼ばれる特別室はクイーン・アン様式。窓や壁が直線的なのに対し、天井や壁、調度品に曲線を多用する。大会議室はアダム様式。18世紀後半の英国で流行し、繊細で優雅な室内装飾を取り入れている。

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