京くみひも

縄文時代の暮らしでは、撚(よ)りひもや簡単なくみひもが使われていました。
京くみひもの始まりは平安時代と伝えられています。鎌倉時代に入って武具に使うことが増え、実用的なくみひも作りの技術が発達しました。江戸時代には羽織紐が量産されるようになりました。

  • 告示

    技術・技法


    糸染めは、「無地染め」、「締切り染め」又は「ぼかし染め」によること。


    組みあげには、丸台、角台、高台、籠打台、綾竹台又は内記台を用いること。

     
    (1)
    高台又は綾竹台を用いる場合において、「打ち込み」には、「箆」を用いること。

     
    (2)
    高台を用いて組模様を組み出す場合には、「綾取り」によること。

     
    (3)
    籠打台を用いる場合において、使用する組糸は、「水張り」をしたより糸とすること。

    原材料

    使用する糸は、生糸、玉糸若しくはこれらと同等の材質を有する絹糸、綿糸又は金糸若しくは銀糸とすること。

  • 作業風景

    京くみひもは平安時代に始まると伝えられ、江戸時代には産地形成をしています。絹糸、金銀糸等を使用して江戸時代からの丸台、角台、高台、綾竹台、籠打台などの組台でひもを組み、京の文化に培われた優美な趣きのある製品を生産しています。美しく染め上げられた絹糸、その一筋一筋が交わり合い、紐独特の風合いと、味わいを醸しだします。古来より脈々と継承されてきた技法です。 その特徴は京の文化に培われた優美な趣のある作風に見られます。現在では社寺・服飾・帯締・鎧兜・刀の下緒などさまざまな箇所に使われ、用途に応じた組み方は3500種類にも及びます。
    ここでは京くみひもの工程の大きな流れをご紹介します。

    工程1: 糸割(いとわ)り

    糸割りは、必要となる絹糸を必要な分だけ仕訳ける作業です。糸を秤にかけ、作ろうとする紐の本数分を目方で分けていきます。ここで使用される糸は、生糸、玉糸、もしくはこれらと同等の材質を持つ絹糸、綿糸、金糸、銀糸とされています。

    工程2: 染色

    染色の工程では、作ろうとするくみひものデザインにそって、色見本に忠実にムラなく染め上げていきます。染料の調合を加減し、糸を浸す、この作業を繰り返しながら色の濃淡や深みを表現していきます。デザインによってはぼかしの表現も行います。これは熟練を要する緻密な作業なのでこの染色の部分は専門の染め屋に外注に出されます。

    工程3: 糸繰(いとく)り

    糸割り、染色したかせ糸を座繰(ざく)り、糸繰り機で小枠(こわく)に巻き取ります。

    工程4: 経尺(へいじゃく)

    経尺工程では糸繰りされた糸をさらに経尺枠に巻きとっていきます。経尺枠の外周は4尺(120.12cm)あり、帯〆一本にようする長さ8尺(240.24cm)の半分、枠を回しながら組み上げに必要な長さと本数を整えます。

    工程5: 撚(より)かけ

    経尺で糸の長さと重さを合わせた糸は、八丁撚糸機というよりかけ車を使ってよりをかけます。

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    工程6: 組みあげ

    各組台と製組機によって美しい組紐を組み上げていきます。組紐は、大きく分類すると、丸組紐、角組紐、平組紐の三種に分けられます。組台には、丸台、角台、綾竹台、高台の四種類が今日では一般的で、組台はそれぞれ特徴を持っているので、組紐の種類に応じて使い分けます。

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    工程7: 仕上げ

    組み上げられた紐は、両先の房付けにはじまる仕上げの工程におくられます。一本一本手作業で糸を解し(ほぐし)、房目をしっかりと糸で結び、房は蒸気で湯のしされ、整えられていきます。最後に、転がし台で組目を整え、美しい平組の帯〆が完成となります。

     

概要

工芸品名 京くみひも
よみがな きょうくみひも
工芸品の分類 その他繊維製品
主な製品 和装飾用、帯締め、羽織紐(ひも)、和洋服飾品
主要製造地域 京都市、宇治市
指定年月日 昭和51年12月15日

連絡先

■産地組合

京くみひも工業協同組合
〒602-8205
京都府京都市上京区新白水丸町462-4
TEL:075-441-6755
FAX:075-411-3778

実店舗青山スクエアでご覧になれます。

特徴

くみひもは千年以上も前から利用されており、神社や寺、衣服、鎧兜、刀の下緒等あらゆるものに使われています。用途に応じた組み方があり、その数は3,500種類にも及んでいます。明治時代以後は和装小物の帯締めとして使われてきました。

作り方

京くみひもは、糸割り、糸合わせ、経尺等の準備工程、組工程、房付け、湯のし等の工程を経て仕上げられます。主要工程である組工程では、丸台、角台、高台、籠打台、綾竹台、内記台を用いて手作業によって組み上げられます。

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